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銀河の一滴  作者: 樽おじさん
銀河を駆けるコメットハンター
1/3

パシフィック星域にて、僕の朝食。

彗星をめぐる人間の記憶

ピピピピ、、、、

インカムから目覚ましのアラームが聞こえる。

「イリス、いま何時?」

『銀河統一時間で8時30分です、滞在中のパシフィック星域統一時間では12時30分ですが。』

イリスの無機質な機械音声がスピーカーから返す。

あくまで僕の主張だが、機械音声は無機質に限る。感情移入がないからだ。

「ちょうどいい睡眠。酒抜いたからかな」

『健康管理モニターを実施。異常ありません。』

「若干の肥満だろ、嘘つき」

『ノーコメントで。』

ここで何かしらコメントを返したらAI相手にマインスイーパーでもやらせようかと思ったが、腹が減ったので飯にしよう。

「今日のご飯はサンドイッチ。明日もサンドイッチ。明後日もサンドイッチ。」

今日はツナと卵のサンドイッチ。あったかい珈琲と共に食べるのが起き掛けの幸せだ。

コックピットのメインディスプレイでアプリを操作。

SNSで今日のトレンドを確認する。映像番組は無思考に情報を得ることができるが、なんだか疲れてしまうのでSNSのほうが好きだ。

「タグ、パシフィック星域、タグ、彗星、、、」

3日後に邂逅する彗星を捕獲する仕事を請け負ったはいいものの、少し早めに出すぎてしまった。

宇宙の真ん中で漂うのは大好きだから苦ではないのだが、時間は伸び縮みしないので退屈はする。

給料が発生するのは明日からで、今日までは休日扱い。

地に足つけているのもいいが、なんだかんだお金を使ってしまいそうで結局いつも早出をしてしまう。

サラリーマンだから給料はきっちり発生するのでそれ通りに動けばいいのだが、僕には向いていないようだ。

SNSをすらすらと流していくと、”落とし物”の目撃報告があった。

「ちょうどここから1光年以内の距離だな、小遣い稼ぎぐらいにはなるか」

『その座標はここから出発して2時間以内に到着します。』

イリスはSNSを覗き見していたらしい。

「覗き見はいかんだろー」

『出発しますか?しませんか。』

「行くよ、行くって。早出した分の資材代くらいにはしよう。交通費だ」

『パシフィック星域の行政が捕獲を許可するまで1日以上ありますが。』

「大丈夫、ごみ拾いに行くだけだ。掃除だよ。ボランティアのな」

僕は”落とし物”の目撃された辺りの座標を適当に入力し、自動航行命令を出した。

「イリス、なるべくエネルギーは節約するように。恒星まで距離がありそうだ」

イリスは無言で機関を始動させた。わかってるという返事の代わりに。

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