始まり
人生を面白いと思えるなら、それはそれで武器だと僕は考える。例えば、僕は高校に通っているわけだけれど、中途半端に頭が良く、推薦を受けることが出来た。そこまではよかったが、僕が推薦で合格することは無かった。
なぜなら、自分に自信が無いからだ。推薦の面接は自己が如何に素晴らしい人間であるかを説明する場であるにも関わらず、自分に自信が無いため自分の良い所を説明することができなかった。幸い、中途半端に頭がよかったので、学力試験によって僕はその学校に合格することはできた。
だが、高校生デビューを案の定失敗し、推薦で受かった人達は輝く青春を行う中、僕は一人疎外感に包まれながら生活を営んでいた。独りであることが苦痛という訳では無い。今までそうして生きて来たわけであって、これはつまり当たり前なわけだから寧ろ、高校生になってこの生活が変わってしまえばいみじくも驚天動地と言ったところだ。
だから、独りになったと言う事実は僕に安心すら与えていた。きっと、これが僕に友達ができない証左なのだろう。
そんなことを考えながら道を歩いていると、独りの女性が視界に入ってきた。
その女性は、女子高生であるということを周知させたいと言わんばかりなセーラー服を着ていた。(いや、学校指定の制服だと思うのだが)そして何より瞠目したのは、彼女の雰囲気だった。もちろん、空気に色などないのだけれど、確かにそこには色が存在するかのようだった。そして、その色とは漆黒だった。病んでいることは一瞥して明らかだった。だが、そこが僕には妙に魅力的で、魅了されていた。学校でも話す言葉と言えば定型文のみで、会話という会話はしたことが無い。だと言うのにも関わらず、僕はその女子高生に声をかけて見ようと思った。
そう思った瞬間彼女は前に進み始めた。
その目の前にあるのは、横断歩道と赤い信号だった。彼女は車に轢かれようとしたのだ。僕は慌てて走った。他人のためにここまで必死になったことは無いだろう。それほどの戦慄だった。そして車に轢かれそうになった寸前、彼女の腕を掴むことが出来、女子高生を無事助けることが出来た。
「あーあ、助けちゃったか。これでまた失敗だよ。」
彼女が発した第一声がそれだった。
「君も私を見初めちゃったんだね。まぁいいよ。慣れているからさ。それに、自殺したいって気持ちはそこまであったわけじゃないし。一応、ありがとうとは伝えておくけど、自殺させてくれてもよかったのになーって思うよ。」
「なんで自殺しようと思ったんですか。あなたは美しいし、若いんだから人生楽しく過ごせそうなのに」
「それ、同じようなこと色んな人に言われたよ。異口同音ってやつだね。飽きてるんだよねこっちはさ。まぁでも質問に答えるとするなら、私が」
不老だからかな。
たしかに彼女はそう言った。