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異世界に召喚された俺が魔王だと言われましたが何か?  作者: けろよん
第四章 委員長の挑戦

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現実世界 三人の来た朝

 次の日の朝、俺は自分の部屋のベッドで目覚まし時計の音で目覚めた。

 向こうの世界では魔王として学校に通っている俺だが、こっちの世界でも留年するわけにはいかないのでまた学校に通わなければならない。二足の草鞋とは大変である。

 まあ、最悪学校は授業にさえ出ていれば寝ていてもいいので何とかなるだろう。

 この生活がいつまで続けられるか俺には分からないが、まだ始めたばかりなので余裕はあった。帰宅部でぼっちの俺には部活や友達付き合いをしなくていい分の放課後や休日の余裕があるしな。

 なんて思ってて悲しくなる事は止めよう。それにリアルの付き合いが無いにしてもアニメやゲームの時間が減るのは辛いしな。

 ちなみに二つの世界の時間のずれがどうなっているのかは俺は学者でもSFマニアでも無いので分かりません。

 ある程度は俺の都合のいい力(チート能力)が融通を利かせてくれるようだ。

 考えなければならない問題は他にあるので、ここは余計な力や頭は費やさず手早く行動する事にしよう。




 俺は自室で服を着替えて部屋を出た。すると良い匂いが鼻に漂ってきた。この匂いには覚えがある。

 機嫌をよくした俺は踊るような足運びでリビングへ向かった。するとそこには案の定、見覚えのある三人娘が揃っていた。

 ヒナミが料理して、フェリアとセレトがテレビを見たり新聞を読んだりしている。こいつらすっかりくつろぐことを覚えているな。

 俺達の間柄だ。こっちの世界の俺はしがない人間だが、こいつらが相手なら俺は向こうの世界の魔王である事を意識して挨拶してやる。


「おはよう、ヒナミ」

「おはようございます、魔王様」

「フェリアとセレトもおはよう」

「おはようございます」

「おはよう」


 ふう、言えた。何とか挨拶する事に成功したぞ。こいつら相手に何で緊張してるんだろうな。やっぱりこっちの世界は慣れないぜ。

 挨拶を終えた俺は料理をしているヒナミの邪魔をしないように部屋を横切り、フェリアとセレトの機嫌を損ねないように気を使って一緒にテレビを見たり新聞を覗きこんだりした。

 こいつら相手に気遣いは無用だったかもしれないが、楽しめた。

 そうしているうちにヒナミの料理が出来たので一緒にテーブルを囲んで食事をした。何か三人が珍しく無言なのだが何をしに来たのだろうか。用事も無しに来たとは思えない。

 まあ、俺の考える重要な事は他にあるので気にしないことにする。友達、どうすればいいんだろうな。

 これから友達のいない学校に行っても分からない気がする。だが、分からなくても留年は嫌なので行かねばならぬ。

 食事を終えた俺は立ち上がる。


「じゃあ、俺は学校に行くからお前達は留守番を……」

「魔王様!」

「ぐえっ!」


 俺は留守番を三人に任せて家を出ようとしたのだが、ヒナミがいきなり顔を上げて大声を出すものだからびびってしまった。

 いかんいかん、魔王である事を心掛けねばな。俺は落ち着いて訊ねることにする。


「大声は上げなくていいぞ。今日はどうしたのだ? 何か用があって来たのであろう?」

「はい、実は……」


 ヒナミはもじもじと考えていたが、部長である彼女が決めなければ始まらない。

 時間はまだあるので俺は考えがまとまるまでヒナミの頭を見下ろし、フェリアとセレトも待っていた。

 やがて、彼女は再び顔を上げてはっきりと言ってきた。


「魔王様の学校にまたお邪魔させて欲しいんです!」

「ええ!? ……こほん、何用でだ?」


 ついうろたえてしまった。落ち着こう。

 前にヒナミ達が学校に来た時の事を思いだす。あの時はいろいろ誤魔化すのに苦労した。

 それが迷惑な行為であることは賢い彼女は理解したようで、あれから学校に行きたいと言いだしてくることはなかった。

 それでもあえて言ってきたのは彼女なりの理由があるからだ。それが理解できない俺ではなかった。

 ヒナミは言う。部長として決意を込めて。


「魔王様の迷惑になる事は分かっています。それでも……友達の事を知りたいんです!」

「え、友達か」


 ちょっと片言になった。フェリアとセレトがさらに追い打ちを掛けてくる。部長が決めればこいつらの行動も早い。


「魔王様の友達の事を知れば、あの委員長もギャフンと言わせられるはず!」

「わたし達には知識が不足している。だから……」

「そうだな……」


 ギャフンと言いたいのはこちらの方である。学校に行っても友達いないもん。

 俺は困ったが……


「駄目でしょうか?」


 こんな真摯に頼んでくる子供達の頼みを断れるわけがなかった。

 もうヒナミの作った朝ごはんも食べちゃったしな。

 すでに退路は断たれていたこの子やりおると思いつつ俺は頷くのだった。


「いや、いいぞ。一緒に学校に行こう」

「やったあ!」

「さすが魔王様!」

「これでやれる」


 何をやるんですかと訊くのは野暮というものだろう。

 三人はとても喜んでいる。だが、困ったことになったと俺は思った。

 どこの学校もそうだろうが、学校は関係者以外は立ち入り禁止になっている。当然三人も入れない。

 前は入ってきたがあれは知らずに入ってきたのでノーカンだ。

 学校にのら犬が入ってくることはあっても飼い犬を連れてくる人はいないのだから。知ってて連れて行ってはいけないのだ。

 校門の前まで行けば三人は満足するだろうか。難しそうな気がする。

 ああ、贅沢は言わないから断れるスキルが欲しいと願う俺だった。

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