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異世界に召喚された俺が魔王だと言われましたが何か?  作者: けろよん
第三章 勇者現る

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勇者小羽と王子アレックス

 清見小羽は小学校に通う普通の女の子だ。

 明るく活発で自由奔放。先生からは小羽ちゃんは元気があって良いねと言われていた。

 成績は並だが、運動神経はとても良い。体育では男子も顔負けの活躍を見せて、掃除の時間にはさぼる男子と一緒に話をして友達の文乃によく怒られていた。

 日曜日の今朝は家が近くの文乃と一緒に勇者ごっこをして遊んでいた。


「あたしが勇者だぞー」

「小羽ちゃんそんなに走らないでよ」

「早く来なよ、文乃ちゃん。魔王の居城はすぐそこよ!」

「すぐそこなの!?」

「そう駅前の空き地に怪しい土管が現れてね……ん?」


 小羽は突然謎の光に包まれていた。不思議そうに見てしまう。文乃がびっくりして立ち止まった。


「小羽ちゃん、光ってるよ……?」

「なんだろうね、これ」


 疑問に答える声は無かった。ちょっとした浮遊感。景色が全くの別物に移り変わる。

 小羽は気が付くと、別の場所に飛ばされていた。

 どこかの祭壇のようだ。知らない場所だ。さっきまで一緒だった友達の姿が無かった。

 たった一人。だが、恐怖は感じていなかった。

 不思議とこの世界では勇気と力が湧いてくるような、そんな感覚がしたのだ。


「よし」


 自分はこの世界で何かを成す。それまでは帰らない。

 そんな決意を小羽は胸に抱いていた。




 王子アレックスは神に言われた通りに祭壇で勇者召喚の儀式を行った。

 自分が召喚術を学んだことは無かったが、召喚士が召喚獣を呼ぶところは見たことがあったので見様見真似でやってみたが、案外何とかなるものである。

 だが、やはり正式に召喚術を学んでいなかったせいか、現れたのはとても勇者とは思えない幼い少女だった。


「こんな奴が本当に魔王を倒せるのか……?」


 アレックスは疑問に思うが、呼んで現れたものはしょうがない。

 とりあえず声を掛けることにする。

 彼は小学生に声を掛けることを何も恐れたりはしなかった。


「お前が勇者か」

「…………」


 少女はアレックスの足元から頭の上まで見て、首を傾げて答えた。


「お兄さん、怪我したの?」

「……!!」


 イラッとしたが手を出すのは控えておいた。自分で召喚した召喚獣を自分で倒しては意味がない。

 それにダメージが術者に来ると何かの本で読んだことがあった。

 正式に学んだことはないので何が正しい知識なのかは分からないが。

 とにかく目的を伝えることにする。


「この怪我は魔王にやられてしまってね。みんな悪い魔王に困らされているんだ。だから僕は君に魔王を倒してもらうために君を呼んだんだ。勇者としてね」


 何も嘘は言っていない。全部真実だ。

 ただこの少女に魔王を倒せる勇者の力があるかどうかだけが疑わしかった。

 少女が戸惑うようならそれでもいい。すぐにこいつを殺して儀式をやりなおそう。

 アレックスはそう思っていたのだが。少女はなぜか明るい笑顔になった。


「あたしが勇者の役をやっていいんだね。うん、分かった。あたしが魔王を倒すよ」


 少女のはにかんだ無邪気な笑みに、戸惑ったのはアレックスの方だった。

 何が何だか分からない。そんな思いで彼は訴えた。


「正気か!? 僕は君に魔王を倒せと言っているんだぞ! 奴の力の前では王国の軍隊や近隣の国でもまったく敵わなかった。僕だってこんな酷い目にされたんだ。それなのに!」

「みんな悪い奴に困らされているんだよね。だったらあたしがそいつをやっつけるよ。勇者としてね」

「あ……はは……」


 アレックスは笑いが込み上げるのを抑えられなかった。

 こいつは馬鹿か愚か者だ。だが、勇気があるのは確かなようだった。


「ならばお前の力を見せてもらうぞ。この近くに魔王の軍隊に支配された小さな村がある。まずはそこから解放してもらうぞ」

「うん、了解」


 いきなり魔王の本陣に攻め込むほど王子は馬鹿ではない。愚かな小娘があっさりやられるのは構わないが、こっちまで目を付けられてはたまったものではない。

 まずは手頃な離れたところで様子を見させてもらう。

 アレックスは勇者の少女を連れて、魔王の軍に支配された辺境の村へと向かった。

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