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ナレーション4 その2

ナレ4:

ぷはっ、ではありませんでした、ゴホゴホ、ゲッホゲホ、と晶、猛烈に咳き込みまして口から水が飛び出る感覚が喉にあります。ゴホ、ゴホ、と水を吐きながら見上げる先はいつの間にか澄んだ夜空となっていまして、ぼんやりと人の声が聞こえます。カジカかと耳を凝らしますが見知らぬ、いえ、聞き知らぬ男の声です。「大丈夫ですか! 大丈夫ですか!」時々ぴしゃぴしゃと頬を叩かれ、「あ、痛い、やめて」と力なく返しますとピンボケの視界、晶を覗き込む男が安心したように一度頷き、離れ、続きまして「バカ晶!」の怒声に目が覚める思いであります、その声は紛れもなく同居の母のもので、おや? と次第に覚醒してきた頭で考えるに水音、これは川の流れのようで、背中に痛い砂利、これは河原の砂利と思われ、となると、そう、ここは晶が入水を計った近所の川でございます。「大丈夫そう」という救命救急士の声が聞こえます。湿った夜に川音がさらさらと流れています。

あははは、と晶は笑いました。「何笑ってるの、バカ!」と母が怒鳴ります。それでも晶は込み上げる腹の底からの笑いを抑えられず、「あははは、あはははははは」と笑いました。川辺のヨシ原からはカエルの鳴き声がゲコゲコ言いまして、晶は輪唱するように、あはははははは、と笑い続けたのでした。


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