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第15話
朝会社を出て、ケンジのメールに喜び、家に帰り、子供たちと食卓を囲み罪悪感に悩むケイコ。その繰り返しの日々が続く。
正しいか正しくないかの答えは出ない。おそらく正しくないということはわかっている。ただ、変わらない日常の中で、ケンジと出会ってから、家族に対して、周りに対して、優しくなった自分がいた。
会社の後輩からも、『雰囲気変わりましたね』 なんて声をかけられるようになった。
『お化粧のノリもいいのかもしれないなー』
なんて考えながら会社を出たところでケイコの携帯が鳴る。
『お疲れ様です。タカハシです。もう会社出られました?』
ケンジからの電話だ。
『お疲れ様です。ちょうど会社を出たところですよ。』
ケイコが平静を装いながら応える。
『ちょうど近くまで来てるんで、30分だけコーヒーに付き合ってもらえませんか?』
またケンジに逢うことに少なからず危険を感じながらも、ケンジにもう一度逢いたい気持ちを抑えられず、ケイコは待ち合わせの駅前の広場の大きなChristmas treeに向かって歩き始めた。




