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第10話
一次会が終わり、ケンジは一人で駅に向かう。駅前の広場は12月に入ったばかりだというのにクリスマスモード一色だ。
『今年のクリスマスは、家族3人で過ごす初めてのクリスマスだな。』
ケンジは独り言をいいながらクリスマスツリーを見つめる。
街を歩く若いカップルたちを横目に、『俺もパパか』とつぶやく。
酔いが回り、子供の顔を思い浮かべて、自然に笑みがこぼれる。人生はうまくいっている。仕事もそう。プライベートもそう。
贅沢なんか言ってられないことはわかっていても、ロマンを求めてやまない男の性を感じるケンジがいた。




