第1部 隔離 01
小柄な老婆が跪き、自分に向かって手を合わせていた。しわくちゃの手はよほど力が入っているのか、指先が小刻みに震えている。
「ああ……。助けてくだしゃい。助けてくだしゃい」
石黒俊は、その様子を呆然として見ていた。何が起こったのか、自分自身でも理解できなかった。
老婆の背後には、男が倒れている。
のけぞるようにして、背中と膝裏が接触するまで曲がっていた。目は大きく見開いたまま動かず、口から大量の血液が溢れていた。
別の男は、壁にもたれかかっている。やはり目を開けたままで、鼻血を垂らしていた。
壁には、大量の血痕が付着していた。後頭部は耳から後ろが陥没し、壁にぴったりと貼りついている。
三人目の男はまだ生きていたが、うつぶせになり、ひぃっ、ひぃっ、とわずかにうめき声をあげていた。這って逃げようとしたのか、道路には、足下から一メートルほど、大量の血痕が流れ出ていた。
もう動く力は残されていないようだ。腹の辺りから、血だまりが道路へ広がり始めている。足下から、引きちぎれた腸のようなものが覗いていた。
俊はふらふらと危なっかしい足取りで後退した。初めて走れるのに気づいたかのように、いきなり前を向き、全力で走り出す。
パニックを起こしていた。
いつの間にか、駅前の商店街に出ていた。これでは家と反対方向じゃないか。立ち止まり、激しく息をしている自分に気づいた。めまいがして、頭がふらふらしてくる。自転車を置いてきたのを思い出したが、もうあそこへ近づく気にはなれず、商店街をとぼとぼ歩き出した。
少しずつ落ち着き始めた。同時に、ついさっき起きた出来事を思い出していた。
俊がその路地を通り抜けようとしたのは、少しでも家に着く時間を短縮しようとしたからだった。今日は母親が、昼間からカレーを煮込んでいた。肉がとろとろに軟らかくなったカレーは、俊のお気に入りだった。早く帰って、最低二杯は食べなければと思っていた。
路地を三分の一ほど進んだときだった。夕暮れで薄暗くなった中、狭い道を何人かの男たちがふさいでいるのに気づいた。体格は大きく、派手な色のジャンパーを着ていた。一見してチンピラとわかる風体だ。
やばいなと思いながら、俊はスピードを緩め、Uターンしようとハンドルを切った。しかし、道が狭いため、そのままでは回りきれず、一旦足を着けて車体を動かさなければならなかった。それをチンピラの一人が見つけて走り出し、自転車の荷台を掴んだ。
「なんだよ、俊じゃねえか」
見覚えがあった。前にゲームセンターにたむろしていた不良グループの一人だった。仲間内からレイジと呼ばれていた男だ。当時俊は小学六年生で、レイジのグループは中学生だった。彼らは金がなくなると、俊のような年下の子供から、カンパと称して金をせびっていた。
これが小遣い程度だったので、俊たちは渋々払っていた。要求はだんだんエスカレートし、金額が増え始めていった。とうとう支払えなくなった子供が親に話し、悪さが発覚した。
レイジたちのグループは恐喝で補導された。それ以来、彼らはゲームセンターへ現れることもなくなった。噂によると、彼らは進学した高校をすぐに退学して、昼間から自宅近くをぶらぶら徘徊しているらしかった。同級生から、ヤバイ奴らがいると言われていた地区が、この付近だったのを思い出した。
「久々じゃねーか。ちょっと付き合えよ」
レイジはにやけた笑いを顔に張り付かせていた。逃げようにも、自転車の荷台を掴まれたままなので、動きようがない。俊は迷ったものの、ほかに選択肢がないのを悟り、自転車を降りて、レイジの後に従った。
「レイジ、そいつは何なんだよ」
チンピラの一人が訝しげに俊を見た。体格はレイジよりもさらに大きい。剃った眉毛と、一見眠たそうな印象の一重まぶたが、凶暴な印象を与えた。
「昔のダチだよ」レイジは俊の肩へ腕を回した。「こいつも一緒に遊びたいんだってさ。そうだろ」
俊が答えずにいると、空いた手でいきなり髪の毛を掴まれた。
「どうなんだ、答えろよ」
レイジの顔から笑みが消え、細くなった目で睨み付けた。恐ろしくて「は、はい」と返事を返すしかなかった。
「そうか。俺たちとツルみてーんだな」
一重の男はレイジの趣向を理解したのか、下品な笑みを浮かべた。
「ヒデ、ちょっとこいつに手ほどきしてやれよ」
「はい」
薄闇の奥から、二人よりも若干やせ気味の男が現れた。その顔にも見覚えがある。俊と同じ中学へ通っている滝本という男だ。俊より一つ年上だったが、何度か教師を相手に校内で暴れているのを見ていた。
滝本のすぐ横には老婆がしゃがんでいた。傍らにはサンダルが転がり、黒い乳母車が倒れ、中身が散乱している。
「このババア、すれ違いざまに俺たちにぶつかってやがんだ。だからよ、ちょっと懲らしめてやってんだ」
「ごめんなしゃい。助けてくだしゃい」
老婆は入れ歯が外れているのか、空気が漏れるような声だった。皺だらけの頬は涙に濡れている。
「慰謝料をもらおうとしたらさ、こいつ、財布に千円しか入ってねえんだぜ。変だと思わねえか」
「そこでだ」レイジが俊の肩を押さえた。「お前にこいつの身体検査をしてほしいんだ」
「パンツの中に札束を挟んでいると思うんだけどよ、こいつ、加齢臭がきついんだ。触るのが嫌でさ、困ってたんだ」
滝本が酷薄な目で俊を見た。
「そういえばオメー、熟女好きじゃなかったっけ」
「ち、違います」
こわばった声で否定した俊に、三人は爆笑した。
「そうか。そいつは残念だった。でもな、オメー、東条二中だろ」
「はい」
「だったら、パイセンの滝本さんにやらせるわけにはいかねえだろ」
レイジが掴んでいた肩を揺らした。俊は答えなかった。
「オラ、何とか言えよ」
いきなり滝本が腹を蹴ってきた。
「げほっ」
腹に力を入れる間もなく、内蔵を圧迫された。体を折って倒れる。
「ヒデは相変わらずキレやすいよな」
大柄の男は薄笑いを浮かべて言いながら、ポケットからタバコを出して、百円ライターで火を付けた。
「はあ、すんません」
「まあいいや」しゃがみ込むと、俊の髪の毛を掴んで顔を上げさせた。「小僧、このババアの身体検査をするか、ヒデにぼこぼこにされるか、どっちを選ぶんだ」
一瞬、男の理不尽な要求に、俊は怒りを覚えた。
それが顔に出たのか、いきなり頬を張られた。「なんだよ。文句あんのか」
「梨山さん、おれにボコらせてくださいよ」
滝本がニヤニヤ笑いながら迫った。
「待て、こいつに決めさせろ」
梨山は俊の髪の毛を掴んだまま立ち上がった。必然的に俊も立ち上がるしかなかった。
「早く決めろよ。時間がねえんだ」
三人が俊の周りを取り囲んでいる。路地にはほかに誰も入ってくる様子はなかった。
頭が真っ白になり、吐き気がしてきた。
恐怖と緊張が入り交じり、さらに怒りが再び膨らんでいく。
俊はそれがまた顔に出ないよう、下唇を噛み、噴き出しそうな感情を抑えた。
「もたもたすんじゃねーよ」
滝本が、右の拳で殴りつけてきた。無防備な顔面にヒットし、飛ばされて壁にぶつかる。
その瞬間、感情のたがが外れた。
恐怖が吹き飛び、緊張と怒りだけが爆発的に肥大していった。
あまりの強さに、俊自身が戸惑い、おののくほどだった。
「アアアアアーッ」
自分が叫んでいるのを、まるで他人のように聞いていた。
「オメー……。やんのかよ」
滝本が目を輝かせ、拳を構えて迫ってきた。
怒りが、強烈な力になって発散された。
一瞬、目の前がフラッシュを焚かれたように真っ白になり、何も見えなくなる。
気づいたとき、滝本は向かいの壁に飛ばされていた。目は大きく見開き、口を半開きにしている。そして、そのままずり落ちた後の壁には、べっとりと鮮血が付着していた。
「お前……」
梨山とレイジが逃げだそうとしたが、俊は二人を捕まえた。
しかし、手は使っていない。見えない何かが二人を捕らえていた。
「ぐおおお」レイジが苦悶の声を上げ、体が反り上がった。よく見ると、体が中に浮いている。
体から、ゴキッ、と鈍い音が響いた。
一気に背中側へ折れる。
レイジは口から血を吐き、地面へ落ちた。
「助けてくれよお」
梨山が泣きながら、恐怖で顔をゆがめていた。
さっきまで偉そうな顔をしてただろ。助けを請う姿に、怒りは増幅した。
鈍い音が響く。梨山の鼻が陥没した。透明な物質が、顔面へ直撃したかのようだった。
下あごが潰され、顔が縮んだ。
体をくの字にかがめる。背中から何かが突き抜けた。大量の血が噴き出し、地面に倒れた。
怒りが急速に衰え、落ち着きを取り戻す。
老婆から、蚊の泣くような悲鳴が聞こえてきた。横にはレイジと滝本の死体。そして、大量に流血している梨山が倒れていた。
商店街から出て、家へ向かって歩いていく。無論、事件のあった現場は避け、遠回りをして歩く。遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきて、どんどん大きくなっていった。それをどこか別世界での出来事のように聞いていた。地に足が着いている感覚がない。強い風が吹いたら、吹き飛ばされてしまいそうな気がした。
すっかり暗くなった頃、自宅に着いた。ドアを開けると、カレーの香ばしいにおいがしてくる。玄関のすぐ右側が台所だったが、そのまま階段を上り、自分の部屋へ入っていった。
ベッドへ横たわり、ぼんやりと天井を見た。様々な考えが、頭の中を濁流に翻弄されるゴミのように荒れ狂っていた。手が、小刻みに震えていた。
「お兄ちゃん」ドアが開き、弟の文哉が顔を覗かせた。「お母さんが、カレー食べなさいって」
文哉は俊より二歳年下の、小学六年生だった。もう夕食を食べ終えたのか、口の端にカレールーが付いている。
「食欲がないんだ。今日は食べないって母さんに言っといてよ」
誰とも話したくないので、体を壁に向けた。
「ふうん」
バタンと、ドアの閉まる音が聞こえた。大きく息を吐く。
しばらくして思考がまとまり始め、仮説が大きくふくれあがり、確信となっていく。その重大さに恐怖を感じ、おののいた。手が、さっきよりも激しく震えていた。
「俊、どうしたのよ?」ドアを開ける音とともに、母親の明子の声がした。「早く食べちゃってよ。後で食べられると、片付けがめんどくさいんだからさあ」
「文哉にも言ったじゃないか。今日は調子が悪いから食べないよ」
「あんた、熱でもあるの?」
明子は部屋の中へ入ってくると、ベッドへ乗り出して、俊の額を触ろうとした。
「やめて」
鋭く叫び、母親の手を払った。
「どうしたのよ」
顔を向けると、訝しげに自分を見下ろす母親の姿があった。丸顔で、髪の毛を後ろで束ねている。自分と同じ小さな目は、彼女から生まれてきたことを物語っていた。
「カレーだったら、ちょっと調子が悪くても食べていたでしょ」
「いいからさあ、出てってよ」
叫んだ瞬間、何かが再び暴れ出しそうな気がしてきた。恐怖に震え、それを押さえつけようと、横向きになって膝を抱えた。
「わかったわよ。ほんとに片づけちゃうからね」
明子はそれを自分に対する拒否だと思ったのか、大きくため息をついてドアを閉めた。その音を聞き、俊は母親と別の意味で大きくため息をついた。一瞬、母親が壁にたたきつけられる映像が、頭の中に浮かんできた。
石黒家に訪問者が現れたのは、それから二時間ほどたってからだった。食器を洗い終えた明子は、自分の部屋から出てこない俊を心配しながらも、あの子も思春期に入ったから難しくなってきているのねと思っていた。テレビでは、最近売り出し中のお笑い芸人が俳優の物まねをしていた。それを見て文哉が笑っていた。
不意に鳴ったチャイムに、明子は反射的に時計を見た。午後八時を過ぎている。こんな時間に誰かしらと思いながら、立ち上がり、インターホンのスイッチを押した。
玄関前の映像を映したモニターには、二人組の男が映っていた。一人は四十代でグレーのスーツを着ている。もう一人はまだ二十代ぐらいだろうか、白衣を羽織り、黒い鞄を提げている。
「夜分申し訳ございません。私、厚生労働省の衛生保険局の桂木と申します」
「はあ。どのようなご用件でしょうか」
「実はこの近所で、鳥インフルエンザを罹患した患者さんが発見されまして、ほかに患者さんがいないか調査を行っているんです。それでご家族の健康状況を把握するため、この周辺を訪問させてただきました」
「まあ大変、ちょっとお待ちください」
玄関へ行き、ドアを開けた。年上の男がポケットから身分証明書を取り出して見せた。
「感染された方が裏手のお宅に住んでいまして。蔓延を防ぐため、お手数ですが、ご協力をお願いいたします」
「何をすればよろしいんですか」
「ご家族で、様子がおかしい方はいらっしゃいますか」
「そういえば、うちの息子の調子が悪くて、今寝ているんですが」
「息子さんのお名前は?」
「俊、石黒俊です」
「そうですか。では、誠に申し訳ありませんが、俊君を診察させていただけないでしょうか」
「はい、わかりました」
一瞬、白衣の男の目が、鋭く光った気がした。明子は不安を覚えたが、本来この手の権威的なものに弱い性格ということもあり、「どうぞ」と言って二人を上がらせた。
階段を上り、俊の部屋へ入った。俊はさっきと同じように、ベッドの上で壁に向かって横になっている。
「俊、ちょっと起きて」
俊は転がって顔を明子に向けた。既に二人の男は部屋に入り、明子の背後に立っていた。訝しげに二人を見て、体を起こす。
「俊君だね」
桂木が微笑みながら尋ねる。俊はおずおずと頷いた。
突然、白衣の男が動いた。明子が声を出す間もなく、男は俊に飛びかかった。
「ぎゃっ」
俊が叫び声を上げた瞬間、白衣の男がはじき飛ばされ、向かい側にある、パソコンを置いた机に衝突した。激しい音を立てて、机の天板が割れ、白衣の男は壁にめり込んだ。
俊が立ち上がった。うつろな目で、桂木と、白衣の男を交互に見つめている。
目に見えない圧力を感じた。
何かが、じわりと膨れあがっていく。
息子に対して、言葉にできない恐怖を感じた。
何かをしなければと思い、口を開けてみるが、思考が止り、言葉は出てこない。
「俊君、落ち着くんだ。私たちは君を助けようとするため、ここへ来ているんだよ」
桂木が顔をこわばらせながら語りかける。
不意に、圧力が消えた気がした。
同時に俊の目が閉じて、その場へ崩れ落ちた。すぐに桂木が駆け寄り、俊の脈拍と瞳孔をチェックした。
「効きましたか」
白衣の男が体を起こしてきた。
「ああ。それより、お前は大丈夫か」
「何とか。壁が石膏ボードでよかったですよ。コンクリートなら確実に潰されてましたね」
白衣の男は右手に、銀色に輝く円筒形のものを握っていた。三文判より一回り大きく、よく見ると、先に注射針のようなものが付いている。
桂木はズボンのポケットから携帯を取り出し、「対象を確保した」と告げ、大きく息を吐いた。
明子は訳もわからず俊と二人の男のやりとりを眺めていたが、次第にその意味を悟り始めた。それはついさっきまで、自分たちの家族に降りかかってくるとは思ってもみなかった、冷酷な現実を突きつけていた。
嘆きとも悲鳴ともつかない声が、明子の口から漏れ始めた。
「対象を確保したそうです」
電話を受けた和久井の言葉に、室内の緊張した空気が解けた。職員たちが大きく息を吐いたり、安堵の声を上げた。
「安心するのは対象を移送し終わってからにしろ。和久井、電話を代われ」
和久井は厳しい視線に、ほころんだ頬を引き締め、電話を保留にした。
「桂木、状況を説明しろ」
「はい。対象は麻酔剤で昏睡状態にあります。初山君が対象に麻酔剤を刺したとき飛ばされまして、壁にぶつかりました。当人は打撲だけで異状ないと言っていますが、頭も打っているはずですので、一応病院へ行かせるようにします。対象の家族には簡単に説明しました。もっとも突然のことですから、かなり取り乱しておりますが」
「無理もないな。すぐにカウンセラーを手配する。移送車に対象を乗せるまで、特別強行斑は待機させていろよ」
堀田慶五が室長を務める「厚生労働省ヤノフスキ症候群対策室」は、霞ヶ関の合同庁舎の一角にあった。
静岡で三人が死亡した事件について、JS(ヤフノスキ症候群)患者が関与している疑いがあるあるとして、警察から連絡があったのが午後六時過ぎだった。それから堀田は急遽人員を集め、一時間後に対策本部を立ち上げた。
現場に保護対象が乗っていた自転車が放置されていたのが幸いだった。あれがなければ、対象を絞り込むのにもっと時間がかかっていただろう。自転車には名前や住所が記載されていなかったものの、型式から近くのホームセンター向けに卸されたものだとわかった。その販売記録から三家族に絞り込み、対象年齢に当たる子供の顔写真を入手して、唯一生き残っていた老婆に見てもらった。最終的に対象が石黒俊であることを確認できたのが、事件発生から二時間半後だった。
堀田は既に現場へ向かっていた桂木へ、石黒俊についての情報を伝えた。桂木は最悪の事態を想定して、石黒家の周囲に警視庁からの出向組で構成された、特別強行斑を配置させた。特別強行斑は七十口径ライフルの使用を許可されており、対象が制御不能に陥ったとき、射殺する手はずになっていた。移送車も到着し、一連の準備が整った後、桂木と初山は石黒家へ乗り込んだ。
さて、マスコミにはなんと発表すればいいものか。明日から始まるだろう各種の折衝を考えると、憂鬱な気分になった。今回町中で三人もの人命が失われているのだから、隠すわけにはいかない。そうなれば、また週刊誌が派手にヤフノスキ症候群脅威論をぶち上げるは間違いなかった。必然的にこの問題へ関心が高い議員たちが騒ぎ出し、ただでさえ忙しい中を、説明に回らなければならない。
「対象を移送車に運び込みました。渋滞はないようですので、一時間後には御殿場へ到着する予定です」
大きく頷くと立ち上がり、窓の外を見た。暗い闇の中、官庁が入っているビルだけは煌々と明かりが灯っている。他の職員に見られないよう注意しながら、ため息をついた。果たして、この問題に終着点はあるのだろうかと思い、憂鬱は深まっていく。