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とらべるぼーる  作者: 原雄一
序章 配達《とど》く
7/74

鷹は、何匹もの仔羊に楔が届いていた事を知る

 昼休み。


「ヨネぇ」


 将治は給食を片付けて直ぐ、米川の処へ寄って行った。二時間目と三時間目の間の休み時間で多少詳しい話はしてみたが、やはり大した情報は仕入れられなかった。


「あ、由樹」


 外に遊びに出ようとする由樹も呼び止めた。しかし由樹が外に出ようとしていたのは何故か厭々のようで、将治が呼びとめると「何?」と目を輝かせて寄って来た。


「あのさ、今朝の話なんだけど――ヨネはさっきの話ね。正八面体ってやっぱり、差出人不明だった?」


「うん」


 二人は直ぐに肯定した。

 そこで横から、別の声が飛んできた。


「正八面体って言えばさ」


 ――朝山だった。独特の高い声が特徴的で、直ぐに判る。椅子を前後逆にして、背もたれに腹を寄り掛けて話していた。


「昨日俺んに正八面体が送られてきたんだよね」


 瞬間、三人の眼が朝山に注がれる。朝山はそれに一瞬たじろいだが、直ぐにまた腹を椅子に預けた。


「…それってもしかして」三人の気持ちを代表したのは、由樹だった。「半透明で、中に黒い球体が入ってる?」


「そうそう! 何で分かったの?」


 朝山は一旦興奮して見せた後、直ぐに訝った。当然だろう。朝山は、それらしいヒントなど一言も発していないのだから。

 そんな朝山を余所に、三人は顔を見合わせた。まさか。朝山の処にも?


「…実はさ」今度は将治が切り出した。米川は先程から一言も喋っていない。「俺らの家にも届いたんだ、それ」


「えっ」


 朝山は、これまで三人全員が言ってきた感想を発した。それは感嘆であり、疑問。『!』に『?』を足した感じだ。即ち、驚愕。


「……嘘でしょ?」


 朝山は控えめに発した。三人を順繰りに見廻している。


「――実は俺だけじゃないんだ。正成と宮川……あと隆の家にも届いたって……今朝言ってた」


「え?」


 そう言えば、朝山は今朝彼らと一緒に登校していた。

 しかしまさか、田沼も? 正成も? 宮川も?

 ――将治は漠然と、何か厭な予感を感じていた。

 死亡:零人

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