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とらべるぼーる  作者: 原雄一
第十章 成仏《のぼ》る
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鷹は楔を破壊され、混乱する

 結城は朝山の手を狙って蹴りを繰り出した。爪先が見事に手の甲にヒットし、朝山は思わずヴァンを離した。慌てて取ろうとするが、それより早く結城の手が後方に弾いた。白い床にソードが刺さる。


「お……っと」


 由樹は何とか体勢を立て直し、もう一度ソードを振るう。結城はそれをソードで防ぎつつ、朝山に向かってサーベルを振るった。間一髪のところで飛び退き、それをかわす。由樹も止むを得ず距離を取った。

 結城は将治にソードを投げつけた。剣が迫って来る。将治は横に転げた。同時に右手を伸ばしソードの柄を掴む。結城は結城で朝山のソードを握り、飛び掛かって来る由樹を迎撃した。

 ソードを手にした将治と交代に、朝山が後退する。将治は結城に接近した。ヴァンをサーベルに変形させ、由樹と同時に斬りかかる。結城は左右の武器で器用にそれを防いだ。

 将治の腹に鈍い痛みが走る。結城の足だ。脚に力を入れていなかった将治は軽々と吹き飛ばされ、床の上を滑った。

 結城は空いたサーベルを振るった。由樹は後ろに飛び退く。結城はその脇をすり抜け、朝山に襲いかかった。

 武器を持たない朝山は逃げるしかなかった。しかし結城の動きは速い。右肩を負傷し満足に動けない朝山は、ついに貫かれてしまった。

 将治は地面を強く蹴り、二人に接近する。しかし将治が朝山を救い出す前に、結城はソードを横に振った。朝山の胸が真一文字に裂け、鮮血が飛び散る。


「結城てめぇ!」


 将治は叫び、サーベルを持って結城に接近した。それを見て由樹も駆け出す。将治が一足早く攻撃するも、結城に防がれた。代わって由樹が剣を振るう。しかし当たらない。

 結城の持つヴァンの一つが突然砕けた。朝山から奪い取った方だ。恐らく朝山が死んだからだろう。持ち主が死ぬとヴァンも壊れると言うのは、今初めて知った。

 これで正々堂々と戦える。向こうはヴァン一つ。こちらもヴァン一つずつ。選べる武器は結城の方が多いが、それはこちらが二人いることで相殺されるだろう。

 つまり、五分と五分の戦いなのだ。

 由樹が結城を斬撃する。今度は少し掠り、結城の服がささくれた。しかし結城は気にした様子もなく、続けて攻撃してくる。

 将治は結城の剣閃をかわし、反撃に転じた。由樹も同時に攻撃する。しかし結城は由樹のソードをサーベルで防ぎ、将治の腹部を蹴り付けた。またもや吹き飛ぶ。


「あ」


 由樹が間抜けな声を上げた。床を滑った将治はちりちりとする目を無理矢理に開いてそちらを見る――。

 結城が迫っていた。すぐ目の前まで。ランスを構えて。

 将治は咄嗟にシールドを展開した。結城のランスはその中心を正確に捉え――将治のヴァン、その本体を破壊した。将治自身は衝撃で吹き飛ばされ、白い地面の上を滑った。


「……これでお前は終わりだ」


 そう。ヴァンの本体を破壊すれば、その者は死に至る。それはつまり、ヴァンを破壊すれば殺す事ができる、と言う事である。それはマジシャン戦で実証済みだ。

 そして、将治のヴァンは破壊された。それはつまり――将治の命も破壊された、と言う事だ。

 将治は瞬時に思考を巡らせた。


 ――死ぬ? ここで、俺は死ぬのか? 死ぬ……死?――


 しかし、混乱する一方で考えはまとまらない。


 ――折角、ここまで、生き残って……。くそ、死ぬのか? 俺は――


「――馬鹿な」


 結城の声が聞こえてきた。

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