次なる虎は、豹
六月六日、四時間目。
白い部屋――。
将治たち六人は、黙ったままバトルスーツを着た。残っているのは男子四人、女子二人。将治、由樹、朝山、米川、西嶋、山木である。体力のある米川、すばしっこい朝山、野球をやっている由樹、身軽な山木、ダンスができ体育も得意な西嶋が生き残ったのは順当と言えるが、将治が生き残ったのは奇跡だろう。
ヴァンから映像が投影され、将治は我が目を疑った。いや、信じたくなかった。
投影されたのは他でもない――結城忍だったのだ。
今まで〈死闘士〉として将治たちを救ってきた結城が。ロボットとの戦いで命を落とした結城が。今度は敵として将治たちの前に立ち塞がる。〈支配者〉はどう言う意図を持ってこれを計画したのだ。
カチリ。戦いの始まりだ。
――しかし、辺りの景色は変わらない。どこを見ても真っ白。中央に佇む黒い球体。ここは間違いなく、〈白い部屋〉だ。
つまり、ここで戦えと言う訳か。
不意に爆発音がした。後ろからだ。振り返る。何かが飛んだ。生温かい液体が飛び散る。そちらを見ると、山木の首が宙を舞っていた。
「な……」
将治が呟く。倒れ込む山木の傍には、ヴァン・ソードを構えた結城が立っていた。
「結城!」
将治は呼びかけた。まだ自我が残っているのでは、との願いを込めて。――しかし、その願いは容易く砕かれた。
結城はじろりと将治の方を睨んだ。その瞳は、将治が知っている結城の眼ではない。怨念。憎悪。憤怒。そんな言葉が似合いそうな、殺気に満ちた眼だったのだ。
――あそこに結城は……いない!――
将治は悟った。同時にヴァンを変形させる。サーベルだ。柄を両手で握り、結城を睨む。
西嶋は〈ヴァン・ライフル〉に変形させた。遠距離からの援護は彼女に任せる事にする。
〈ヴァン・ライフル〉は文字通りライフルだった。長い銃身を持ち、遠距離からの狙撃を得意とする銃だ。それは存外重かったようで、西嶋は少しふらついた。
将治はサーベルを持って飛び掛かった。同時に米川、朝山、由樹も結城に接近する。結城はライフルを構えた西嶋を睨んだまま、構えようともしなかった。
将治の腕に、物凄い衝撃が走った。同時に吹き飛ばされる。他の三人も同様だ。結城が一瞬にして同心円状に斬撃したのだ――と理解すると同時に、発砲音が響いた。
それは西嶋の構えるライフルの発砲音である。銃弾は結城に向かって飛んでいき、命中――したかと思ったが、最早そこに結城はいなかった。結城は、西嶋の背後に立っていた。
西嶋の左肩から右脇腹にかけてが、切断された。
将治はそれを横目で見ながら、何とか着地した。サーベルを血が滲むほど強く握りしめる。
結城の兇刃が将治を狙って迫って来た。将治はサーベルを前に突き出し防ぐ。そのまま結城の剣を上に払い、もう一度サーベルを縦に振るう。結城は身体を斜めにしてそれをかわした。サーベルは地面に最接近していた。
結城はそれを足で踏みつけ、動きを封じた。その上でソードを横に薙ぐ。将治はサーベルを離して間一髪のところで避け、後ろに飛び退いた。
結城は将治の離したサーベルを手に取り、背後から迫っていた米川を真一文字に切り裂いた。米川の胸から鮮血が吹き出した。




