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とらべるぼーる  作者: 原雄一
第八章 敗北《まけ》る
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何匹もの仔羊が殺され、鷹は怒る

 不意に伸びてきた腕が、シールドを構えていた朝山の小さな身体を吹き飛ばした。ロボットの腕は、無限とも思える関節がそれぞれ伸びており、本来の長さである一・五メートルなど意味を成さなかった。ロボットと朝山との距離は、三メートル近くあったからだ。

 朝山の身体は何とか俊が受け止めたが、反動で俊まで尻餅をついた。

 ロボットは腕を一瞬戻すと、また朝山に向かって伸ばした。


「くそッ!」

 

 俊が叫んで、朝山の身体を横に投げ飛ばした。それと同時に、ロボットの拳が俊の肋骨を砕く。俊は一瞬目を白黒させて、その後息絶えた。


「俊ちゃん!」


 朝山がキレた。サーベルを手に、ロボットに突進していく。


「バッ……」


 将治は言いかけたが、ロボットの左拳が朝山の胸をサーベルごと殴りつける方が速かった。


「……ッカ野郎!」


 将治は、反動で吹き飛んだ朝山を、身を呈して守った。恐らく、あのまま落ちていたら朝山は後頭部を強打しただろう。ともかくこれで、一旦朝山は無事という事だ。

 ロボットの腕が将治たちの方へ伸びてきた。将治は朝山を押し退け、ヴァン・シールドを展開する。ロボットの拳が、ガツン、と鈍い音を立てた。地面に押しつけられた将治の背中に、鈍い痛みが広がる。

 ロボットは一旦腕を元の長さに戻した。そしてだらりと腕を下げ、半開きになっていた口を大きく開いた。――口の奥の穴が、ギラリと光った。


「――まずい避けろッ!」


 将治は叫んだ。同時に自分も飛びずさる。周りにいた連中は、訳も分からず将治に倣った。――途端に、ロボットの口から『何か』が発射された。

 その『何か』は、研究室の壁を貫いた。将治の肌を焦がした。そして、避けきれなかった者の身体を融かした。いなくなったのは、野際と安西だった。野際の身体の一部が、バラバラと地に落ちる。


「てめぇ!」


 将治は吠えたが、飛び掛かっていく事はしなかった。何の勝算もなく飛び込んでも、先程の朝山のように弾かれるだけだ。

 何か――何か戦い方を考えなくては。奴はでかい上に速い。リーチも長いし、先程口から放ったビームもある。一発放つと次までに時間がかかるようだが、それがどれくらいの時間かも分からない。情報が少ない上に時間もなかった。

 ロボットの拳が――いや掌が――将治に向かって伸びてきた。将治は咄嗟にサーベルを自分と掌の間に差し入れ、攻撃を防いだ。しかし、ロボットの力によって後退させられる。

 その後も、ロボットの猛攻は続いた。或いは将治に、或いは他の者に。或いは拳で、或いは掌で、或いはビームで。しかし少人数になった彼らにはなかなか当たらず、しかし彼らの攻撃も効き目はなく、まさに一進一退の攻防となっていた。

 不意にロボットの身体がぐらついた。どうやら後頭部に強い衝撃を受け、前につんのめったようである。ロボットは頸を回し、ビームを放った。

 しかし結城はそれをかわした。極太のビームが壁と天井の境目辺りを融かす。結城は、避けたそのままの勢いを殺さずサーベルでロボットの首元を斬撃した。しかしロボットは微動だにしなかった。

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