次なる虎は、機械
六月五日、二時間目。
将治たちは、授業の途中であるにも拘らず教室にいなかった。では特別教室かというと、そうではない。今彼らは、〈白い部屋〉にいるのだ。
バトルスーツを着込みながら、将治は妙な胸騒ぎを感じていた。何か大事な物が失われるような予感がしたのだ。しかし頭を振り、その思いを打ち消す。
今回投影されたのはロボットのようだった。人型で、頭からは三本の角が生えており、身体は灰色の鎧に覆われている。目は丸く、くすんだ黄色に輝いていた。口は常に半開きなのか、歯のような部分が見えるところで固定されており、その奥にはビームの発射口のような穴が覗いていた。腕は異様に長く、だらりと下げている。どこにも隙などなさそうだった。
将治がこのロボットとどうやって戦うかを考えている間に、カチリという音が鳴った。
着いた先は研究所のようだった。しかしそれは、自然や植物などを研究したり、薬品を混ぜ合わせたりするようなところではなく、どちらかと言えば『開発局』という感じだ。
どこかで、金属が地面を踏みしめるような音が聞こえた。いや、実際にそうだったのだろう。それは断続的に――しかし一定のリズムで聞こえてき、将治たちの不安を誘った。
その足音が近づいて来て、不意に止まった。将治たちはサーベル、ソード、ガンなど、思い思いの武器または防具を構えている。将治のこめかみを、汗が伝った。
ゴッ、という音が室内に響いた。金属が歪むような、そんな音だった。将治が振り返ると、部屋の鉄扉が歪んでいた。ゴッ、ゴッ……と音は不規則に続き、その音がするたびに鉄扉が歪んでいった。恐らく、ロボットが長い腕を器用に使い、扉を殴りつけているのだろう。鉄扉が破壊されるのは時間の問題と言えた。
そしてついにその時がやってきた。歪みが次第に大きくなり、中央辺りが将治たちの側にせり出てきたとき、不意に扉が吹き飛んで来たのだ。将治たちは瞬時に身構え、或いは飛びずさって扉を避けた。
足音が、大きく聞こえた。扉の付いていた部分から立ち上る煙が晴れると、そこにはロボットがいた。
大きな身体。二メートル以上はあるだろう。堅そうな鎧。サーベルでも斬れるかどうか分からない。長い腕。1.5メートル以上はある。三本の角。細く長い触角のようだ。黄色い目。射竦められそうになる。将治らを睨んでいる。
それはじりじりと距離を詰めてきた。急ぐ気が無いのか、余裕の表れか、ゆっくり、ゆっくりと歩を進める。薄暗い部屋の中、その足音だけが木霊していた。




