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とらべるぼーる  作者: 原雄一
第六章 連続《つづ》く
44/74

鷹は目覚め、新たなる絶望を皆に与える

 誰かが、自分を呼ぶ声がする。何度も、何度も――。


「……お」


 将治は、まだくっつきかけている瞼を無理矢理にこじ開けて、辺りの景色を見た。


「国井が起きた!」


 そこは〈白い部屋〉だった。将治たちを囲う、檻。決して逃がしてはくれない鉄の檻。


「あ……ティラノは……?」


「斃した」俊が言った。「ついさっき」


「あ……そうか……」


 将治は呟くように言い、のっそりと身体を起こし――かけて、背中に激痛が走るのを感じた。


「つう……」


 中途半端に起き上がった状態で、腰を押さえる。


「大丈夫か?」


「あ、ああ大丈夫……」


 正直言うと、あまり大丈夫ではなかった。白い部屋に戻ると傷は治る訳だから、骨折も打撲も今はない状態だった。しかし、痛みは神経に依存したようで、寝た状態から身体を起こす時に激痛が走る。起こしきってしまえば大丈夫なのだが――。

 それもこれも全て、あの二連戦の所為だった。二連戦でなければもう少し良いコンディションで戦えただろうし、二連戦でなければ慶尚も焦らなかったに違いない。あれは、結城が出てくる前に敵を斃そうという意気込みの表れだったのだ。――そして慶尚は、この部屋にはいなかった

「ほんとに大丈夫か?」結城が声を掛けてきた。「傷は治っても、痛みは癒えない場合があるからな。切り傷なんかは大丈夫だが、打撲となると特に」


 どういう理論かは分からないが、とにかくそういう事らしかった。戦闘で負った傷は、百パーセントの確率で完治する。しかし、打撃などによって負った『痛み』は、白い部屋に来ても治らない事が間々あるらしい。


「で、今回の〈ヴァン・ウェポン〉だが、〈ヴァン・ガン〉だ。ま、その名の通り銃だな。リーチは言わずもがなだし、威力もまぁそこそこだ。結構使える武器――」


 カチリ。強制終了。



 五時間目はまだ始まっていなかった。とは言っても、開始までの残り時間は僅かで、多く見て二分というところだろう。

 将治は、昨日自分が調べて分かった事を、皆にも伝える事にした。


「聞いてくれ。昨日独自に調べたところ、新たに分かった事があった」


 将治は意を決するように深呼吸をした。


「この〈ヴァン〉に選ばれた者達は、モンスターと戦い抜いて、どうやら残った一人だけが逃げられるらしい。つまり俺達は、、三十四人が死に絶えるまで戦わなきゃならないって事だ」


 本当は言いたくなかった。皆に絶望を与える事になるからだ。しかし、情報を全員で共有する事で『信頼』や『絆』が生まれる。その摂理を壊す訳にはいかない。


「尤もこれは、昔ヴァンに選ばれたって自称している奴の個人サイトに書いてあった事だから、信憑性は薄いけどな」


 だから、最後にそう付け足した。絶望を少しでも和らげるために。

 しかし、生き残るのは唯一人――この情報は、あまりにも深く、皆の心の内に突き刺さった。信憑性云々は別にして、もしもこの情報が正しかった場合、このクラスは……必ず壊滅する。

 それは、紛れも無かった。

 第六章《vsプテラノドン&ティラノサウルス編》完結。


 死亡:二十人

    大西 亮

    加藤 健一

    加藤 慶尚

    黒川 幸太郎

    齊藤 正成

    杉山 克義

    遠山 英治

    宮川 将太

    望月 修

    八島 悠二

    石川 舞香

    大島 雪絵

    河本 詩穂

    柴田 遥子

    鈴鹿 美帆

    田淵 沙希

    出川 夕里

    土肥 優里枝

    御調 奈菜

    奥島 瑞穂

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