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とらべるぼーる  作者: 原雄一
第六章 連続《つづ》く
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鷹は虎に噛み付く

 己の手がヴァンを掴むのを、将治は確かに感じた。心の中で「しゃあ!」と意気込みながらそれを手繰り寄せ、何とか胸の前まで持ってきた。そしてイメージする。ヴァン・サーベルの形を。勝利への道筋を。

 サーベルの刃が、ティラノサウルスの上顎に突き刺さった。内部はある程度柔らかいらしい。刃は見事に突き刺さり、赤い血が滴る。


『ギゴォアァァァァァァァァァァァァ』


 苦しそうに呻けば、口が開く。そうすれば出られる事は分かっていたが、将治は脱出を試みず、サーベルの片刃をグリッと捻った。ティラノサウルスがさらに呻くのが聞こえる。鼓膜が破れそうだった。

 将治はそのまま、ソードをイメージした。突き刺さったままのサーベルは、ソードに姿を変え、恐竜の上顎をさらに深く抉った。

 ティラノサウルスは膝を突いたようだ。ズシリと重い衝撃が将治にも走る。


「ぬぁ……」


 将治はそのままソードを前に動かし、恐竜の上顎に裂け目を作った。


『ガァァァァァァァァァァァァァ』


 ティラノサウルスは、口の中の異物を吐き出すように大声を上げた。ぶんぶんと首を振り回す。将治は弾き出され、地面に強く背中を打ちつけた。


「ぐぁっ!」


 鈍痛が走り、その後すぐに激痛が走った。骨が粉々になるような衝撃を感じる。実際に背骨が折れたかもしれない。将治は悶絶した。


「国井! 大丈夫か!

 何人かが駆け寄って来た。


「あ、ああ大丈夫だ……そうだ慶尚は?」


「分かんねぇ。あいつは飲み込まれたっきり出てこない」


 将治は、拳を地面に打ちつけた。自分の不甲斐なさに反吐が出る。かと言って起き上がる事も出来なかった。


 ――くそ、んっとに……――


 本当に、役に立たない。「よくやったぞ国井!」と仲間が掛けてくれる声が、今は皮肉に聞こえる。


「悪い、あと頼めるか?」


「当たり前だ! 俺達に任せとけ」


 何人かが将治を護るように、また何人かがティラノサウルスに立ち向かうように構えた。


「まとめて行ったら何とかなんだろ!」


 誰かがそう言ったのを引き鉄にして、数名が跳び掛かっていった。

 そこから先は、将治の記憶には残らなかった。気絶したのかもしれないし、意識が朦朧としていたのかもしれない。とにかく仲間の戦いは記憶になく、逆に仲間を失ったという記憶が強く残った。

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