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次なる虎は、翼竜
六月三日、昼。
将治は、不安と安堵がないまぜになった、何とも言えない感情を抱いていた。
今日は昼まで召集が無かった。これは絶望の前兆か、希望の前触れか。できれば、後者である事を信じたい。
そう言えば、集団失踪事件のニュースを聞かなくなった。と言うよりも、聞いたのはあの一度だけだった気がする。自分達以外に戦っている者がいないと言う事だろうか。自分達が戦っている時はどうしているのだろうか。教科担任は慌てふためき、緊急の職員会議が行われているのだろうか。
不意に、カチリと音がした。
白い部屋――。
ヴァンの映し出した映像は『プテラノドン』だった。大昔に絶滅した筈の翼竜。尖った頭を持ち、体毛は白色。基本的には魚食性で、魚を食していたらしいが、今となってはどうなるか分からない。
将治は、昨日〈ヴァン〉について調べて分かった事を皆に伝えるべきか逡巡していた。皆の心を大きく揺らがすような情報だ。将治自身、実は動揺している。
カチリ。将治の胸の内にはお構いなしに、時間はやって来た。




