鷹は怒る
阿修羅の持つ剣は徐々に増えて行った。将治がかわしている間に別の腕が銅像を壊し、その像が持っていた剣を取るのだ。今や阿修羅の剣は、五本に増えていた。
将治のヴァン・ソードが阿修羅の剣を砕いた。阿修羅は新たな剣を取る。その流れを殺さぬまま、阿修羅は剣を振り抜いた。
そして遂に、将治がブチ切れた。両手にありったけの力を込めソードを振るった。阿修羅の持つ五本の剣の内三本が砕けた。
将治はそのまま跳び、ソードを横に振った。――阿修羅の、怒りの顔が砕けた。
『――お』阿修羅は声を漏らした。『お、おああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
阿修羅の顔が回った。――悲しみ。
将治は右に流れたソードを左に振り抜いた。阿修羅の首が切断される。ゴドォンと鈍い音を響かせて、阿修羅の三面が転がった。
と同時に、阿修羅の『生き物』としての動き――機能も停止し、折れた剣を振りかぶる、首のない銅像となった。
阿修羅の首は、悲しみの顔を上に向けて転がっていた。まるで、そこにいる者たちの気持ちを映し出したかのようである。
否、将治の心に『悲しみ』はなかった。無論、暫くすれば生まれるだろう。しかし今現在将治の胸を占めているのは、激しい『悔しさ』だけだった。
「くそっ……」将治は奥歯を噛み締めた。「また――死なせちまった……!」
他人を死なせまいとするのは傲慢な事である。己の命を守ろうとするのも傲慢である。しかし人間は、傲慢にも生き、傲慢にも他人を守ろうとする生き物なのだ。
カチリ。十五分までには、まだ充分時間があった。
なんか……将治強いね……




