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とらべるぼーる  作者: 原雄一
第五章 死守《まも》る
34/74

鷹は狼の死に怒り、虎に跳びかかる

 剣を持った阿修羅の右手は、直ぐ隣にあった銅像までも斬っていた。その像は両手に一本ずつ剣を持っており、阿修羅はその左手を斬りおとしていたのだ。

 その腕が落ちる前に、一番下の右手がそれをキャッチした。剣にひっ付いていた。腕を木端微塵に砕くと、そのまま剣を取り目の前を薙いだ。

 田淵の身体が一刀両断にされた。

 いくらバトルスーツでも、剣による斬撃までは防げないらしい。将治の先程の判断は正しかったと言う事だ。そうでなければ今頃は、三途の川を渡っていただろう。

 阿修羅の空いている手は相変わらず地面を砕き続けていた。将治達にはなかなか当たらない。こうしている間にも時間はどんどん過ぎてしまう。結城が来るまであと九分八秒――。

 将治は決死の覚悟で阿修羅に跳びかかった。残っている四本の手が全て剣を手にしたら、それこそまずい。そうなる前に何とか斃さなければならなかった。

 将治はヴァン・ソードを振るった。両手で柄を持ち、全力で。

 ――しかし、銅でできた阿修羅の巨体は斬れなかった。


「なっ――」


 将治が言葉を漏らすと同時に、、一番下の右肘が落ちてきた。延髄を激しく打ち付ける。「がっ」と短く悲鳴を上げて地面に落ちた。全身に痺れるような痛みが走る。

 阿修羅が剣で将治を突いた。――鮮血が舞った。

 飛び散る血を見ながら、将治は密かに安堵していた。


 ――ああ、これでもう戦いから解放される。みんなの死を見ずに済む――


 しかし、飛び散った鮮血は将治のものではなかった。将治は痛みすら感じていなかった。何故なら、阿修羅の剣が貫いたのが、将治ではなく――大西だったからだ。

 大西は血を吐いた。将治の方へ向いた口から、鮮血が降りかかる。


「大西――」将治は驚きに目を見開いた。「お前なんで……」


「国井……お前、は…こいつらを……残った、奴らをまとめて……頭脳…で、この理不、尽な戦いから……救って――くれ」


 言い終わると同時に、剣が引き抜かれた。大西の腹から血が溢れ、身体は将治の上に落ちてきた。――安らかな死に顔だった。


「大、西……、嘘…だろ……?」


 将治は嘔吐しそうだった。死体が上から被さって来たからと言うのではない。自分のために、人を一人殺してしまったからだった。


「……っくそがアァァァァァァァァァ!!!」


 将治は大声を上げ、大西の身体を押し退けてジャンプした。ヴァン・ソードを思い切り振るう。阿修羅が真ん中の右手に握っていた剣が折れた。将治はそのままの勢いで阿修羅の腕を蹴り、駆け上がった。頸を薙ぐようにして斬る。切れ目が入った。

 将治はそのまま阿修羅の後方に跳び、着地すると同時に向きを変えた。そしてまた向かって行く。ソードを振れば、一番下の剣にひびが入った。

 阿修羅の左拳が飛んで来たので、将治は後ろに飛びずさった。が、そのに闘志は失われていない。またヴァン・ソードを構えた。

 阿修羅の顔が切り替わる。――悲しみ。

 阿修羅は全ての腕を下ろした。そしてゆっくりと首を捻る。

 また顔が切り替わった。――怒り。

 阿修羅は手近にある銅像の剣を取った。右に二本、左に一本。合計は三本である。怒りの顔は、心成しか先程までより怒りを増している気がする。

 剣が振り下ろされた。三本の剣と三本の腕が代わる代わる飛んで来る。将治は、ソードで弾いたり避けたりしながら、チャンスが訪れるのを待った。

 なんか、将治に対して『彼』という表現が使えません。なーんか他人のような気がしないんだよなー……。

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