獅子は鷹の鋭い言葉を聞き、感嘆する
この辺からちょっとつまんないです。
『今日は、こいつの事を斃さないでほしい』
モニター越しに伝わって来る少年の声を聞いて、男は唸った。感嘆の唸りだ。なかなか鋭いじゃないか。
男は、手元に用意してあった三十五枚の書類を捲った。これには、新大西中二年二組の生徒たちの情報が書き込まれている。名前は勿論、生年月日、これまでの成績などなど、個人情報も大量に書き込まれている。
男は、書類を捲る手を六枚目で止めた。先程鋭い事を言った少年の顔と、書類の顔写真が一致したからだ。ふむふむ、国井将治十三歳――。
男には、将治の意図が分かっていた。鋭い奴が必ず言う台詞だ。将治は続けた。
『俺は結城と話がしたいんだ。つまり、今の状況をもっと詳しく解明したい。あいつに訊けば。詳しい事が分かると思う』
そこまでは予想通りだった。しかし、次に将治が呟いた言葉を聞いて息を呑んだ。
『あいつは多分、前に経験してるから』
「よく分かったなぁ!」
思わず立ち上がった。面と向かって褒めてやりたいところだ。
驚きを抑えきれないまま椅子に座りなおし、彼の次の言葉を待つ。しかし、将治はそれ以上何も言わなかった。
* * *
田沼が着替え終わった。どうやらまだ寝惚けているらしく、彼の動きは緩慢だった。しかし、田沼が着替え終わると同時にカチリと言う音がして、視界が歪んだ。




