鷹は父母の言葉を聞き、当惑する
前話で『明日休みます』とかいったくせに、予定変更で投稿しました。
自宅――。
帰って直ぐに、制服から私服に着替えた。服の選択は、箪笥に入っていた順と言う何ともぞんざいな方法で、将治はいつもそうしていた。
あまり頭に内容が入らない状態で勉強をし、終われば読書をする。が、どちらも上の空で、いまいち楽しくなかった。
将治はふと思いついて、母に訊いて見た。「そういや母さん」
「何?」
アイロン掛けをしていた母が振り向く。
「集団失踪事件ってどうなったのかな」
「集団失踪事件?」
母は、さも訝しげに反芻した。ピンと来なかったのだろう。
「ほら、朝『めざまし』でやってた……」
「■■、■■■■■■■■■?」
母の返答を聞いた瞬間、将治は目が回りそうになった。嘘だろ――? 思わず目を大きくする。将治は急いでテレビに駆け寄り、チャンネルをフジテレビに合わせた。
無い。目的の物は見つからなかった。次々にザッピングしてみる。やはり無い。そんな馬鹿な。
いや、偶然だ。偶然に決まってる。母があんな返事をしたのは単に集団失踪事件の事をぱっと思い出せなかっただけで、今テレビに目的の物が無いのは、丁度タイミングが逸れただけだ。将治はこじつけ気味にそう思ってみた。
最後にチャンネルをNHKに合わせる。日本放送協会。日本を代表するこのニュースチャンネルなら、目的の物も見つかる筈――。
しかし、NHKでやっていたのは、ニュースではなく子供番組だった。畜生。舌打ちをしたくなる。結局フジテレビに戻した。
暫く見ていたが、結局目的の物は現れず、将治はテレビを消すしかなかった。
六月三十日、朝。
翌日。今朝はやけに覚醒が早かった。起き抜け、直ぐに目が覚めた。「おはよう」と言われて『おあよー』と返す事はしない。はっきりとした呂律で「おはよう」と返した。
「そういえば父さん」朝食を摂っている父に向かって言った。「昨日の集団失踪事件なんだけど」
「集団失踪事件……?」
父の口調は訝しげだった。
「ほら、昨日の朝『めざましテレビ』でやってた奴」
「■■■■■■■■?」
父は答えた。やはりか――半ば予想していたとは言え、将治は当惑を覚えた。「あ、やっぱいいや」と早口に訂正し、少しだけ荒くなった域を整えた。
今日はクラス全員が正八面体を持ってくるだろう。三人には、かなり強く言うように指示しておいた。特に、米川に言われて持ってこない奴はいないだろう。将治自身も、手応えは悪くなかった。




