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その5



○登場人物


  宮尾大和・みやおやまと(特に何かに秀でたこともなく毎日を生きている)


  橋山加奈子・はしやまかなこ(生まれつき病気を抱えたまま生きている)


  南江くるみ・みなみえくるみ(加奈子の友達で良き理解者)


  山津高志・やまづたかし(大和の小学校からの友達)


  村石樹・むらいしいつき(大和の中学校からの友達)


  武正七恵・たけまさななえ(大和の高校の同級生、自由人で大和を気にかけてる)


  橋山達夫・はしやまたつお(加奈子の父親、医者で加奈子の病気を気にかけてる)


  橋山時枝・はしやまときえ(加奈子の母親)





 小学校は一学期が終わり、夏休みに入った。


 授業を受けなくていいのはありがたかったけど、それに代わるだけの嫌な条件もきち


んと揃ってくれていた。


 まず、夏休みの宿題。


 せっかくの待ちに待った長い休みだっていうのに、こんなときまで勉強から逃れられ


ない。


 何が一番苦しめられるって、日記だ。


 一日たりとも宿題のことを忘れるなよって念じられてるようだ。


 毎日同じようにしかならない日々を書くしかない日記にどれだけの意味があるんだろ


うか。


 小学一年生の日常にそんなに変化なんてありはしない。


 だいたい変わりばえのない日々が続いていく。


 それを日記に書いていく。


 当然、変わりばえのない内容になる。


 書いてる側のモチベーションはまったくもって上がらない。


 そして、長い時間。


 一月以上の休みなんて夢のようだけど、蓋を開ければ特に何があるわけでもない。


 具体的なやることなんてほとんどない。


 あったとしても、別に普段の休日でもできるようなことばかりだ。


 結局その多くが暇な時間になって、だらだらと過ごしてくことになる。


 一日ならいいとしても、それが続いてくごとに地味に嫌な気分になってしまう。


 いっそ夏休みを減らして、いつもの週末に分散させてってくれないだろうか。


 そう叶わない考えに行きついてしまうぐらいに時間はあった。


 そして、夏の暑さ。


 当たり前だけど夏は暑い。


 ハンパなく暑い。


 ただ、子供のころの無邪気な元気はそれを力にするだけのものがある。


 汗をだらだら流しながら遊んでられるスタミナが備わっていた。


 だから、ここについてはそこまでの問題ではなかった。


 そんな大したことでもないものとにらめっこしてた僕とは違って、加奈子ちゃんはま


た不自由さを抱えていた。


 長期の休みを利用して、加奈子ちゃんは検査入院することになった。


 体に問題が発生したわけじゃなく、そうなってないかを検査するために時間をとって


調べることとなった。


 前のときとは違って、今回は体調不良での入院じゃなかったから心配な要素は少なく


てすむ。


 けど、僕より数段自由のきかない状況にいるのは辛いものだったろう。


 本人はそんな様子は出してはなかったけど。


 僕はできるかぎり面会に行くようにしていた。


 病院に行くのはもう慣れたもんだったし、時間はいくらでもあったから何も問題はな


かった。


 しいて言えば、面会に行くのが僕だけじゃなくなったっていうのはある。


 前は僕だけが同世代の子で来てくれると重宝されてたところもあったけど、今回は学


校の友達もいるからそれはなくなる。


 かといって、怪訝にされるわけじゃないし、それにスネてることもない。


 友達が面会に来てるときは時間をずらして、違う時間帯にまた面会に行くようにして


いた。


 僕が面会に行くと、加奈子ちゃんは前と変わらない笑顔を見せてくれる。


 「大和くんだ」


 その表情と言葉はあいかわらず僕の心をほっこりさせていった。



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