生徒会長
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壇上から講堂を眺めると、そこは地獄絵図でした。
なんてどこかの文学作品の冒頭のような感想を感じつつ、私、セシル・バーズナーはその様子を楽しんでいる。上級生による一方的な蹂躙にも思えるが、この行動にはちゃんと意味があるのだ。新入生全体のレベルの把握と有望な新人のチェック。この2つを行うためのものであり、決して日頃の鬱憤を晴らすためのものではない。ないはずなのだが、
「おらぁぁぁ!死ねや1年坊ぅぅぅ!!!」
「あはっ、あははははははははは!!!」
「ほらほら、逃げなさい!無様に泣き叫び許しを請いなさい!!」
なんていう上級生の壊れっぷりを見ると、少し自信が無くなってしまう。とりあえず、今度の会議で授業の改善案を話し合おうと心に決めると、壇上に2つの人影が飛び上がってきたので、そちらに視線を向ける。
「ご機嫌よう、生徒会長。1人じゃ寂しそうなので思わず来てしまいました。」
そう言って笑顔を浮かべる蒼銀の髪と同色の瞳の男子生徒と、その後ろに従者のように付き従うまるで人形のような美しさの赤金の髪と同色の瞳を持つ女子生徒。2人とも自分の記憶には無い人物なので、新入生だと把握するが、新入生が上級生の壁を突破してきたことに驚きつつ声をかける。
「ご機嫌よう、確かに1人で退屈だったんです。それで、あなたはどのようにエスコートをしてくれるのでしょうか?」
腰に下げている機刃を抜き、男子生徒に問いかけると、
「そうですね…では、ダンスなんていかがですか?」
そんな言葉を返しつつ、彼もまた腰の後ろに両手を持っていき機刃を抜き放つ。どうやら、短剣型の二刀
使いのようである。他にも腰に片手剣型の機刃を下げているようだが、どうやらそちらは使わないらしい。
「そうですね、悪くないです。あなた、名前は?」
その言葉をスイッチにして、自分の状態を戦闘に向けて切り替える。なんとなくではあるのだが、彼と闘うのは楽しそうだという想いを抱きつつ。
「俺の名前はエッジ。エッジ・アルクレスですよ、生徒会長!」
楽しい楽しいダンスの時間が始まった。
「俺の名前はエッジ。エッジ・アルクレスですよ、生徒会長!」
名乗りを挙げた瞬間、生徒会長が俺に向かって突っ込んでくる。見た目とは裏腹になかなか攻撃的な性格であるらしい。そういう性格も嫌いじゃないと考えつつも彼女の刺突を左の機刃で受け流す。機刃の形からして、おそらく突き主体の剣技だと予想はしていたが、どうやら間違いではなかったようだ。
「ふっ!」
息を吐きつつ、鋭い突きを連続で放ってくる。そのたびに左の短剣で受け、いなす。なかなかの速度で刺突を放ってくるが、このぐらいの速さであれば特に問題はないし、なにより女性の力とういうこともあるのだろう。一撃が軽いのだ。おそらく、彼女の剣技は機刃の能力を使用してこそ真価を発揮するのだろう。そう予測をたて、反撃に出る。
「はぁ!」
勇ましい声を上げつつの突きを左の機刃で受け流し、会長に向って一歩踏み込む。たったその行為だけで
自分が無防備な状態にさせられたのに気づいたのだろう。会長が驚愕の表情を浮かべたのが見て取れた。
そして、今まで使用していなかった右手の機刃の柄で彼女のこめかみを狙う。さすがに刃で女性の顔を狙うのは躊躇われたので、これなら怪我もしないだろうという配慮なのだが、その攻撃はバックステップで後ろに引かれることでかわされた。
「機刃の能力を使ってないとはいえ、新入生にこうも手玉に取られるとは思ってもみなかったです」
会長は呆れたような声音で俺に話しかけてくる。その雰囲気からして、会話をして隙をつく。なんていう作戦ではなさそうなので、その会話に乗ってみる。
「いやいや、会長の方こそさっきの攻撃を簡単に避けられたじゃないですか。あれ、けっこう自信あったんですよ?」
「ちょっと危なかったけど、私もここの生徒会長をやっている身なので簡単には負けられないんですよ。と、いうわけなので本気でいかせてもらいますよ」
「本気ですか?」
どういうことだろうか?見た感じでは会長は全力であったように思えたのだが、奥の手でも隠し持っているのだろうか?
「致命傷になるような場所は狙いませんので安心してくださいね」
そんなまったく安心できないセリフを吐きつつ、会長が再び構える。先ほどとなんら変わらないように見えるが、嘘をついているようには見えないので、意識を集中する。と、構え自体は変わっていないのだが、剣先を揺らし始めた。
そして、こちらに突っ込んできたので、先ほどと変わらないように左の機刃で受け流そうとした瞬間、左腕に鋭い痛みが走り、ぱっと鮮血が舞った。
戦闘描写って難しいですね(汗)全然動いてるように書けませんorz