入学式
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壇上に立ち、熱弁を振るう初老の男を視界に収めつつも、その言葉には一切興味を示さずに思考する。なぜ、俺はこんな所にいるのだろうか?答えは単純、師匠に嵌められたからである。考え始めてから僅か数秒しかたたずに出た答えに溜め息を吐く。
(師匠め、今度会ったときは覚悟してもらうぞ。)
声には出さずに内心で呟き、俺は自分が今いる場所について思い出す。
刃≪エッジ≫養成学園、ブラックスミス
誰が考えたのかは知らないが、刃を鍛える場所に『鍛冶師』とはうまい名前を考え付いたものだ。うんうんと1人頷き、壇上に意識を戻すとタイミングよく男―学園長が刃の説明を始めた。
「えー、ここに入学したみなさんはすでに知っているとは思いますが、刃とは機刃を用いて悪魔を屠る者たちです。そうですね、例を挙げるならば騎士や発掘者といった者たちが分かりやすいでしょう。彼らは、日夜悪魔と闘っています。その理由は国を守るためであったり、遺跡を探索し機戒|≪きかい≫を得るためであったりします」
男の話を聞きつつ周囲の様子を見ると、ちょうど騎士や探索者といった名前が出たところでみな一様に全身に力が入ったようだ。それもそうだろう、自分と同じ10代の若者にとっては憧れの職業なのだから。
(まぁ、そんないいもんでもないんだけどな)
そんな周囲の様子に苦笑していると、学園長の話がちょうど終わりそうであった。
「…機刃を持つということの意味をよく考え、この学園生活を有意義なものにしてくだい。私からは以上です」
学園長が壇上から降り、職員席に戻ったところで司会役である生徒が次のプログラムを読み上げた。
「生徒会長の言葉。セシル・バーズナー会長、お願いします」
「はい」
柔らかく澄んだ声が響き、上級生席から1人の女生徒が立ち上がり壇上に上がると、講堂を一瞬で沈黙が包んだ。そのようになった理由は簡単に想像がつく、生徒会長がとてつもなく美人なのだ。
まるでルビーのような美しさの肩口で切りそろえられた紅髪と、同色の瞳。顔のパーツも整っているが、どこか柔らかい雰囲気を持っていて、優しそうな微笑を浮かべている。そして特筆すべきはその体!男性諸君ならばこの時点でわかるであろう。そう、巨乳!!そしてその胸の大きさにも関わらず、すらっとした手足である。ザ・癒し系美人とでも言うべき女性が突然出てくれば、そりゃこうなってしまうのも仕方ないであろう。なんて1人考察していると、俺の後ろ横に座っている女子生徒が、脇腹を軽く抓ってきた。
「いきなり何をするのかな?ミザリア君」
突然訪れた軽い痛みの刺激に顔をしかめ、女子生徒―ミザリアの方へ顔を向けると、そこには先ほどの生徒会長とはまた違ったタイプの美人がいた。
やや赤みがかった金髪をポニーテイルにし、その髪と同色の瞳に整った顔のパーツ。そして透き通るような白い肌にモデルのような体型。生徒会長を癒し系美人と評するならば、こちらはクールビューティーとでも呼ぶべきであろう美女が面白くなさそうに、こちらを見ている。
「マスター、生徒会長を欲情した獣のような目で見るのはやめていただけますでしょうか?」
見た目通りの美しい声ではあるが、その声は今は冷たい。
「いやいやいや!俺はそんな目で生徒会長を見てないよ、ミザの勘違いだろ?」
ミザリアの言葉に慌てて否定すると、
「本当でしょうか…疑わしいものです」
完全には信じていないようではあるが、一応は納得してくれたようである。そんなやり取りを、自分のパートナーとでもいうべきであるミザとしているうちに、生徒会長の言葉は終わりそうになっていた。
そして、そちらへと意識を戻した瞬間。生徒会長は言葉―爆弾―を投下した。
「ではみなさん、今から上級生と闘ってもらいますので、怪我に気をつけて頑張ってくださいね」
その美しい顔に柔和な笑みを浮かべたまま。
主人公の名前が出せなかったorz
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