7話 話しあい
む。何時間くらい寝たんだ?案外疲れていたのかもしれない。
むくりと目を覚ますと、目の前に4人の大人が立っていた。
「あまりじーっと乙女の寝顔を見るものでもないぞ。」
「だったら早く起きてくれ。私たちだって君を何度も起こしても起きないから困っていたんだ。」
「だったら交代で1人で居たらいいのに。」
「君の前に1人でいるのは怖いよ。マーシャ様を連れ去って輩を全員殺したんだろ?」
「まあそうだが?でも通常なら捕まえて連れてくるぞ。あの時は色々あったからな。」
「まあ正解だ、あいつらを連れてきても、次の日には公開処刑だ。町の奴らのイベントにしかならん。」
「それよりもだ。君のことを詳しく聞いても良いだろうか?というか聞かないといけないんだ。」
「それはもちろん。街に入るのに身分も分からずに通せない。道理だからな。」
「それはありがたい、マーシャ様からは聞いていたが、善人で助かったよ。」
「アッハッハ。私が悪いわけなかろう。人並み以上には善人であるつもりだ。」
「それはよかった。ところで家名は教えたくないと聞いたが、流石にこれは聞きたいのだが?」
「むう、言いたくないだけで、こういう場では伝える。近衛と言ってだな?ここでは知られていないが、遠くでは警邏隊のトップは近衛で決まってるんだ。」
「コノエ?知らないな。警ら隊というのは?」
「治安を守る、国直属の警察だな。」
「なるほど?騎士団の総長みたいなもの、ってとんでもない人じゃないか!」
「まあそうなんだが。こことは違う世界での話だ、家名はあってないようなものだ。」
「異なる世界?どういうことか説明できるか?」
日本で起きていた、生贄の話、そしてその鬼たちの話。なぜ八千代がこの世界に来たのかを説明した。
「なるほど。多分古代文明の時にあったものだろう。異世界を行き来できるものなど聞いたことがない。」
「でも異世界って勇者ってことですか?」
若い男が話に入ってきた。
「勇者伝説?知らないな。」
「あれ?そうなんですか?その昔剣技のみでとんでもない強い魔王を倒したとかあるんですよ。」
「私は聞いたことないぞ?」
「隊長はそういうの疎いでしょ?俺はばあちゃんから聞いたんですよ。」
「すまない、勇者とやらは知らないが。私は剣術などでは負け知らずだな。」
「でも剣持ってませんでしたよね?木の枝だけでは?」
「まあそうなんだが、枝でもこの通り!」
枝を持ち。とてつもないスピードで若い男の腰に刺してあるショートソードに当てた。
そのまま横に真っ二つに切り裂いた。
「この通り。脆い鉄なら切れるのだ。」
ぽかーん。男全員が止まってしまった。強い人だとはマーシャ様からは聞いていたが、実際に目にするのは違う。
ドラゴンのように見た目的な強さは無い、その上美しい少女でもあったのだ。
八千代はなんでこうなったんだと。少し考えて、ふと
「どれどれ。もう一度やれば疑わないな?」
「「「ってやめてくれ!!安くないだぞ!」」」
「びっくりした。やりすぎたな。」
「でも、どうします?この人強すぎますよ?」
「どうといってもだな?騎士団も持て余す。どうせいっそのこと町の…」
「おーい?私抜きで私の話はやめてくれー?」
「あー。すまない。途方もない力を目にしてだな。現実逃避していたんだ。」
「まあいいんだが。でも私はしばらくは1人で旅をするぞ。目標があるんだ」
「目標?なにをするんだ?」
「こちらへきたであろう母を探してるんだ。母は私くらい強いから死んだとは思えない。」
「八千代殿と同じくらい。そんな人見てないな。」
「あの人は力は誇示しない方だ。知る人ぞ知る感じだろう。」
「でも母探しなら止められないな。しかし、八千代殿の力を持ち合わすのも勿体無い。そこで、冒険者はだうだろうか?」
「冒険者?私は武士だ。」
「武士?いや、冒険者というのは、様々な土地に行き、そこでギルドと呼ばれる組合の依頼をこなす人だ。」
「ふむ。しかし、それは私がやってもいいのだろうか?」
「もちろんだ。困ったことにやりたくないだの、ごろつきが楽な依頼しかしなくてだな?各ギルドが困っているんだ。」
「つまりは?私はその面倒な依頼を受けろと?」
「つまりはそういうことだ。実際にやるやらないは良いんだが。強くて達成できないものなら、八千代殿にぴったり。長く放置してると、町に来ることも少なくない。」
「なんだ!ギルドの奴らは困った人を助けることすらできないのか!腑抜けめ!」
「まあそういう場合はドラゴンとか、強すぎことが多いんだがな。」
「ドラゴンだと?私も知ってるぞ、ドラゴン。」
「八千代殿の住む世界に居たのですか?」
「居たというか。技の名前にあったんだ。」
「それは強そうですね。今度見てみたいですが。」
「やめておいた方がいい。剣が二つ必要な上、町が無くなるぞ。」
「なんて恐ろしい技を知ってんだ。」
「書いてあったんだけどから仕方ないだろう。私も使わないぞ?余程のことがない限り。」
「余程って、使うかもしれないってことだろ。」
「うむ!ドラゴン相手には使ってみたいものだ。」
目をキラキラと話す八千代に、もう他の町で過ごしてほしいと思ってしまう、騎士たち。
「そういえば。マーシャはどうしたのだ?見えないが。」
「あのなあ。あの方は大貴族のおかたで、今健康状態を教会の奴らと見て、その後我々が無事送り届けるんだ。」
「ふむ。寂しいが、バイバイだな。」
「そんなわけないだろ?八千代殿も説明とか、諸々しに行くに決まってるだろ。」
「まあそれはそうだ。拉致された娘の事だ。詳しいことを知る必要があるな。」
「わかってるならいい。それでその事は私たちにも教えてほしい。」
連中のこと、そして追加できた男の話もした。
「うーん。最初の男どもはどこかの貴族か、金持ちに雇われた連中だな。最後のやつはわからないな。」
「しかし。あのダークボールとやらはかっこよかったぞ。」
「闇属性の魔法だな。初歩的な技だが。」
「知らんからな、未知のものは面白くてつい、しかし肩には傷があるだろうな。」
「よく木刀をぶん投げたよ、戻ってきたら剣なしだったろうに。」
「お主はわかってないな。剣神とまで言われた私ではあるが、剣がなくてもたくさんの技があるからな。」
その通りであり、八千代は剣術以外にも柔術に合気道などの近代武術から、
古武術や拳法などもある程度熟知しており、無手格闘もお茶の子さいさいなのだ。
実際、訓練の一つで、寝ている八千代に10人の男が寝込みを襲うというのがあったが。
無事全員をボコボコにして終わっていた。
「そ、そうなのかよ。」
「うむ。弱点をなくすためにな。だが剣が一番好きだ。」
「でも剣は高いぞ?冒険者でお金稼がないとまずいんじゃないのか?」
「そこまでいうならなってみるか。マーシャの親とやらは今すぐというわけではないのだろう?」
「まあそうだが、突然呼び出す可能性はあるからな。」
「わかっておる。家のものもスケジュールなどお構いなしだったしな。そんなもの珍しくない。」
「それならよかった。ギルドカードは必ず作れよ?後で謝礼を振り込みたいからな。」
「そんな便利なカードなのか。サクッと行くとする」
尋問部屋からようやく出れた八千代は、町に入れた。
ここがこの世界の街か、活気付いておる。良い顔をしてるな。
右手には八百屋だろうか、見たこともないが、美味しそうな野菜らしきものを売っている。その向かいには干した魚を売っていた。カラカラに干した魚は焼いたら美味しいのだと。私の口が言っている。
お金がないから、買えんのだがな。
しばらく露天を冷やかしていると、先に大きな建物が見つかった。日本語ではないが、冒険者ギルドと書いてある。
よし。入るとしよう。




