10話 森での戦い
「「「きゃきゃ」」」「「「ごがぁ」」」「「「ゴブゥ」」」
「なにやら多すぎるぞ、敵が。」
あれから門を出て歩いていた。門番も反対側から出たため。先ほどの騎士は居なかった。ギルドカードを渡したら簡単に出れた。
北は東寄りに行くと大きな森、真っ直ぐには大きな道路が続いており。西側は草原が続いていた。
街の近場であるためか、それともテリトリーの都合なのかは定かではないが、近場にはモンスターは存在していなかった。
「さて。ご飯が食べたいから、食べやすいものを頼む。」
薬草採取に来たのか、ご飯を食べに来たのかわからない文言を言いながら、森の中へ入っていった。
薄暗い森だ、匂いは土の香りが強いな。大きい動物はこの辺にはいないっぽいな。
先に進むが、やはり木の枝よりは木刀の方が気分がいい。木をもらうぞ。
近場の木の枝を手刀で切り、それを細かく削っていく。
これは前に持っていたものより硬いな。しかし馴染みにくい。纏がほどほどにしかかからん。
超常の力は気や仙道の力に近い。生命のエネルギーなどを大いに使う技であり、魔力とは似て非なるものだ。
この森は大地からたくさんの魔力を吸い取り、魔法使いの杖として使われている木であるため、超常の力に反発している。
ゴリ押しで纏を成功させている八千代の恐ろしさが垣間見えることでもあるが。
「ぐぬぬ。ふー、なんとか纏は出来たな。」
「ところで?さっきからこちらを見ているのはわかってるぞ?」
その一言で木がざわめき出した。葉の中から10数体のサルが出てきた。
日本でいるような猿と違い、こちらはかなり大きい腕と鋭い爪が特徴的だ。しかも人間の顔程度の石を持っていた。
「ふむ。かかってこい。相手になろう。」
「「「「「「ぎゃぎゃぎゃ」」」」」」
一斉に10の石が飛んできた。当たったら最悪骨折。普通なら死んでしまうだろう。
しかし
八千代が木刀を石に触れるとまるでクッションに当たったように、スピードがなくなった。
一振りで全ての石がポトリと地面に落ちた。
「ふむ。仕舞いか?」
「「「「「「ぎゃ!」」」」」」
木から飛び降り、こちらへ全員で飛びついてきた。
石ならまだしも。体全体でぶつかれば誰かが殺せる。そう猿たちは考えた。
しかし
「ふん!」
風のように流れる太刀筋により、一太刀で全員を倒した。
本人曰く、数人を相手にする時、上から下に振り下ろすと一太刀では倒せない。
しかし、一筆書きのように剣をこねくり回すと一太刀で何人も倒せるのだと。
そのためには関節や筋肉含めてかなり必要であり、それだけでは不可能である。
超常を生まれた時から持っているからこそ、できた技でもある。
「猿は食えないんだがな。一応貰っておこう。」
猿は斥候なのだろうか、一瞬で倒した私に攻撃をするのは得策ではないと思っているのか、あれからしばらくは敵とは出くわさない。
薬草に集中できるため、楽ではあるのだが。大きいモンスターを倒したいと思っている。あの時の動物たちはよかった。
その願いを知らずか、モンスターが奥から見えてきた。
「ふむ、餓鬼か。あまり興味がないんだがな。」
「「「「ごぶ」」」」「「「「「ごぶ」」」」」
8体いようが、関係ない。サクッと倒そうかと思った時、さらに奥から大きな足音が聞こえてきた。
「なんと!!二足歩行の豚とは!」
「「「ごがぁ」」」
大きな木の棍棒のようなものをもち、大きな肉体に豚の顔。そんな面妖なモンスターが来た。
破壊力もあるだろう。その上体は分厚く、剣で刺しても致命傷にはならないだろう。
「しかし!だからこそ燃えるものだ!私はお主の腹を刺す!そして殺すのだ!」
大胆な発言。当然オークには言葉は通じないが、ドヤ顔に似た表情。そして目はこちらを舐めている。侮っていることはわかっていた。
「「「ごがぁ!!!」」」
ブチギレたオークは八千代に突進した。
「壁!そして刺ーす!!!!」
足元に出現した透明でとてつもなく硬い壁を踏み上げ、その勢いでオークに突きをした。いや八千代ごと突き抜けた。
「やはり、柔らかいだけではダメだろう。」
「ごがぁ…」
腹が貫通されたオークは一体、力を失いながら倒れた。
「さて。まだまだやる気だな!」
オークの1人が思い切り棍棒を振り下ろした。
その攻撃は、八千代の剣により、力を失い、横にずれた。
その隙に。心臓に剣を突き刺した。
「ごがぁ?」
「わからんのも無理はない。」
行動全てには起こりがある。そして弱点と言われるものが。それを触れると急激に力を失う。そのため棍棒の振り下ろしが途中で止まったのだ。
その上、起こりを壊されると余程の達人以外は何が起きたかわからないのだ。
まるで目の前に死んだ人がいたかのような。現実とかけ離れることに脳が理解をしないのだ。
あとは棍棒の振り下ろした重力は軌道を流した。合気の技の一種である。
腕に力を込めた八千代は、オークの視界から消えた。そして衝撃が胴体に感じ、その瞬間には息絶えていた。
「掌底にはこういう使い方もあるんだぞ。どれ。豚に似てるのだ。美味だろう。」
猿の肉は置いて、豚肉を大量に捌く。あっという間にまるまる一頭。
焚き火を作り、木に刺した肉を焼いて食べる。
「美味い!これは油は強いが、旨味も強い。」
2キロ近くを平らげ。木のツルと大きい葉で残りの肉を包み。
「腹がいっぱいだ。戻るとしよう。」
「それで?美味しいお肉にうつつを抜かして?薬草を取り忘れたんですか?」
「うむ。とても美味だったのだ。これ分けようか?」
「いいんですか!?…ってダメですよ。依頼はしっかりやってもらわないと。」
「うむ。そこは申し訳ない。」
「このお肉は売りますか?一応買い取れますが。」
「猿の腕は?」
「要りません!!」
ちなみにこの肉はある程度の値段で売れた。その値段で宿は三泊できると聞いたので、受付におすすめの宿を聞いたら憩いの宿がいいと言われた。
ギルドからでて西に数分間歩くと着く少し遠い場所であったが、外観は綺麗であった。
野宿も覚悟していたが、ここなら安心して寝れる。あの受付はなんと言ったか。感謝をしよう。
「頼もう!」
「はい、あらお綺麗な方ですね。何日宿泊されますか?」
「うむ。3日で頼む。」
「3日なら銀貨1枚に大銅貨5枚ですね。」
「これで頼む。」
「銀貨2枚ですね、ではおつりに大銅貨5枚のお返しです。」
「ありがたい。ここでのルールというものはあるか?」
「モノは壊さない、ベッドは綺麗に使う。ご飯は呼んだら来る。1時間過ぎたらご飯は有料。」
「ふむ、簡単だな。」
「当然。冒険者相手の商売ですから。面倒なことを言っても胸ぐらを掴まれるだけです。」
「違いない!私も冒険者だが、絡まれたものだ。」
「流石ですね。お嬢さんはとても強そうに見えますしね。」
「まあそうだな。私より強い相手がいるなら是非戦ってみたいものだ!」
「お主無理してるだろう?普通の話し方でいいぞ?」
「そう?ありがとうね。でも自信家ね。こういう人がいつの日にかSランク冒険者になるのかもね。」
「なってもいいかもな。まずは旅を続けるからな。では休ませてもらう。」
「あーあ、名前を聞くのを忘れちゃったわ。あとで聞こうかしら。」
「ところで私の部屋はどこだ?」
「あ。204ね。これ鍵。」
「すまんな。今日は疲れて変だな。」
「お嬢さん。最後に名前を聞いても?」
「私は八千代だ、お主は?」
「私はマールよ。ではゆっくり休んでね。」




