7話 雨は不吉の象徴?
「雨、降りすぎ」
「(この時期は毎年こうなるから仕方ないさ)」
突然だが、何も出来ない。雨が酷すぎて何も出来ない。ここ3日ほどずっと雨。灯りがないからずっと暗い上にまともな食事を食べれてもいない。ずっと作り置きしていた燻製だけ食べて生き残っています。
「やっぱり働かなきゃなのかな…」
「(そういえば何で働きたくないんだ?)」
「めんどくさい」
「(……そのためだけにこんな大変なことしてるの?絶対働いた方が楽よ?)」
「うぅ…返す言葉、ない…」
でも働きたくないんだもん。労働?何それ美味しいの?
「(しかしお金があれば発展は楽だ。働かずにお金を稼ぐなんて…)」
「そうだ、ベルが稼いで」
「(私をパシリ扱いするのはやめてもらえるだろうか?)」
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「お金を稼ぐのにはまず街に行くべき、というわけで行くわよ」
結局ベルと話し合った結果、世界を放浪すれば良いという結論に至った。いやまあ最初からそのつもりだけど、できれば人里からは離れたかったなあ…。
「(ここからは割と近い位置に街はある。10kmほどだったはずだ)」
10kmか…。まあ雨さえなければ1人でパッと行ける距離なんだけど…雨降っちゃってるし…。
「ベル、運んで」
「(どうやって?運ぶってあなた絶対濡れるわよ?)」
「もう、諦めた」
この雨、絶対何日も降り続けるタイプ。待ってたら餓死する気しかしない。
「(では背中に捕まってください。全速力で街まで向かわせて頂きます)」
「お願い」
背中にぴょんと飛び乗ってゴロンと寝転がって毛を毛布代わりに全身が隠れるように被った。
「(行きますよ…!)」
ベルが洞窟から飛び出して森の中へと走っていく。今のところ雨の被弾ゼロ。ベル、グッジョブ。
「ベル、ありがと」
「(私はあなたのお友達であり、あなた様の部下です。上を助けるのが私たち下の者の責務。しっかりと果たさせてください!)」
「大好きだよ」
ここまで言われると流石の私でも少しだけうるっと来ちゃうなあ…。いつも感謝しかない。多分私1人だと無理してそのまま死んじゃってたと思う。
ベルには今度たくさん魚でも取ってプレゼントしようかな。ていうか速度すごい速い。私の1.5倍くらいの速度で森をかけているベル。これならほんとに街まですぐ着けそう。
「(あっ……)」
「えっ……?」
突然暗かった周りの景色がさらに暗くなった。落ちているような感覚…ていうか冷たい風も来てるし完全に落っこちてない?!?!
「(ごめんなさーーーい!!ダンジョンの入り口に間違えて落ちてしまいました!)」
「ええ?!きゃあああああ!!」