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3話 私は元"殺し屋"

「グルルルル……」


グル…ルルル…?謎の音に反応して上を見た。


巨大な毛むくじゃらの謎の生き物。大きな狼さん?それともくまさん?それとも…。でも私は恐怖なんかしない。だって………。


「……可愛い」


これしか思わないからだ。くまさんや狼さんを見て私が最初に思うこと。それは…


「寝たら……気持ちいい……!」


このふかふかそうな毛を枕やベッドにしてしまうこと!これ、よく見たらおっきなクマ!絶対気持ちいい!!


「グルルルル……!(おい、人間!)」


「……???…幻聴?」


異世界に来て私の脳がおかしくなっちゃった?それとも疲れすぎて幻聴が聞こえた?


「グルグル…!(違うわ!これはわしの声だ!)」


「私…、頭…おかしい……」


「グルグルル!!(違うと言っておるだろうがぁぁぁぁ!!)」


あ、私の頭がおかしくなったわけじゃないのか…。というかなんで声が聞こえるんだろう?


「(直接脳に向けて話しかけておる!)」


問う前に向こうから答えてくれたので聞く手間が減ってラッキー!


「グルルグル!(ここから出ていくがいい!)」


「………え?」


「(私はこの地の主、この地に来た人間に対しては容赦しないつもりだ。だが貴様からは悪意を微塵も感じられん、つまりは迷い込んだのであろう?そんなものをいきなり殺すほど私も酷くはない。早々に立ち去るが……)」


「やだ……」


「(えっと…)」


「やだ」


解答は最初からNO一択だ。私は旅をしてる。それなのによくわからない理由で旅を邪魔されるのは許せない。とはいえ向こうの事情もあるのでそこは折り合いをつけたい。


「なんで人を殺すのか…教えて」


「(えっと…)」


「教えて」


「(はい)」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「(何十年も前のことにはあるが、人間どもは戦争をした。この地で…だ。森は焼け、川は血で真っ赤に染まり、多くの同胞が殺された。彼らは私たちのことを悪い生き物、"魔物"と呼んだ。私たちからすればそれは逆だ。彼らこそ、我らからすれば魔物だ。それから我らは一つに団結し、人間を追い出した。最初はこの地を手に入れようとするものもいたが私たちはそれに対抗した。結果、この地はだれも手をつけない、人間の生活から離れた美しい世界となった。もうこの地を汚させるわけにはどうしてもいかないのだ)」


「それで、私を追い出したいと…?」


「(そうだ、もうこの地に忌まわしい人間はいれまい!)」


うーーん。確かにこれは同情の余地しかない。実際に悪いのは人間側でしかない。これに関しては彼?のいい分もとてもわかる。でも…


「やだ」


「(…………は?)」


「私もね昔は悪いことはしちゃった。けどね、ちゃんと辞めた。人は変われる。確かにあなたたちの受けたことを考えると信じれないかもしれない…。話し合えばどうにかなる。あなたには話す力があるのだから…」


「(だが……)」


「あとね」


「(???)」


結局御託を並べようとも私の思うことはこれだけだ。


「私の旅…邪魔、許さない…!」


如何なる理由であれ私の旅を邪魔するのは許しません!私は旅をしたいだけなのになんで過去の人たちの罪を背負わされなきゃいけないの?なんで私のことを知りもしないのに追い出すの?


「(ならば力づくで追い出すまで!!)」


巨大な爪を使って私を切り裂こうと上から巨大な手が勢いよく振り下ろされる。その攻撃を後ろに避けた私は近くにあった彼?の半分くらいの大きさの岩に飛び乗った。


私への攻撃によって二足歩行の姿勢から普段の姿勢であろう四足歩行へと移り、私とくまさんが睨み合うような姿勢になった。


「あのね、本当はこんなことしたくはないんだけどさ。ごめんね」


鞘から〈天涯〉を引き抜かれ、片手でそれをしっかりと握られる。地面と水平…よりも少し先っぽが高くなった〈天涯〉の側面に彼女は片手をそっと添える。


久しぶりで戦いで握るこの刀から昔の私が流れ込んでくるような感覚。


「アハハッ!!!!始めよっか!!!!!」



※彼女は二重人格ではありません

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