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15-18

童貞が転生できるのは桃太郎の桃ぐらいしかなかったので、とりあえず桃太郎より先に鬼退治行きます。

ぜひ、最後まで読んでいってください! ↓↓↓


はぁ。また友人が結婚だと。これで29歳独身の俺は、高校からの仲良しグループで唯一の独身になってしまった。虚しい。結婚式の食事会でしみじみと寂しくなる。フォアグラ、おいしかったぜ。

「最後にデザートを。桃をまるごと使った、ピーチパフェでございます」

やったあ!桃だ!俺はフルーツの中なら桃が一番好きだ。好きなのに、昔は家が貧乏だったから全然食べれなくて…今ではマシだけど、桃をぼっちで食べる機会がなかなかなかったから久しぶりかも。

…では、久しぶりの桃、いただきまーす!!桃にかぶりつく。

うめー!!ありがとう桃!ありがとう結婚式!


カラン


フォークが落ちる。

「ァガッ……ガハッアッ…アアッ…ア…ガ…」


なんだなんだなんだなんだなんだなんだなんだ!?

息ができない。何かに首を絞められているようなほどに、息ができない落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け。首が締まっていく感覚がする痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いあああああああああああ顔が熱い熱い熱い熱い熱い顔だけじゃない全身が焼けるように熱い痛い熱い痛い熱い痛い痛い痛い熱い痛い熱い熱い痛い熱い気持ちの悪い気持ちは悪い吐きそうだというかもう吐いている泡も吹いている感覚がもうない


「…大丈夫ですか!?」


これは大丈夫じゃないかもしれないああ、まぶたが腫れて視界が狭くなっていく。助けに来た係の人もよく見えない。痛い痒い痛い痒い熱い気持ちが悪い痛い


「……ですか!?いま……しゃ……びました…ら」


何言ってるんだ?もっとはっきり喋ってくれ。…ああ、それももう意味ないか。もうなんか、痛みを感じなくなってきた。死ぬんじゃねこれ?死因は…桃を食べたことによるアレルギー?のアナフィ…なんだっけかショック。ダサすぎ。あーあ。ごめんな、せっかくの結婚式なのに。友人が死ぬとか……ないわー

でも……あ…限界だ…じゃあな、この世界。今までありがとう。でも、彼女はやっぱり欲しかったな……来世は異世界でチートハーレム……………


 ○ ○ ○


『おはよ』


白髪ロングの女の子?が目の前にいた。白色のフードのついたロングコートを着ている。頭には天使のわっかみたいなのが。なんだこいつ?女の子とも男の子ともとれる顔立ちをしている。


『あなたは死にました』


「……?俺、死んだ?もう?」


『はい。死にました』


「享年29……まだまだあったのにな……で、ここどこ?」


死んだら謎の空間とか、こ○すば みたいだ。


『切り替え早いですね…はい。ここは転生案内所です』


「あー知ってる!なろうとかのやつだ!」


『理解が早くて助かります。ここでは前世に積んだ得によって、次の来世を選ぶことができます』


「俺の得、いくつ?」


『2500です。そもそも転生できる最低ラインが2000ですが。よかったですね、ぎりぎりです』


「普通はどれぐらいなの?」


『4000ぐらい?まあ、2000切らなければラッキーですよ』


「その1500の差はどこから来るんだよ…」


『たぶん、童貞なので』


「……は?」


『想い人と婚約して一生を遂げる。これがたいへん素晴らしい得です。ちなみに離婚すると減ります。再婚で返せますが』


「いや、生きてたらたぶん結婚してたよ…?そのうち……そう。そのうち」


『はい、じゃあ本題です。その2500得で買える転生先を探します。希望の転生先はありますか?』


「イケメン。チートスキルで異世界ハーレム」


『いかにもDTらしい……キッショ』


「泣くよ俺?」


『ああーはい。無理です得が足りません』


「逆に転生できるのは…?」


『ええっと……あ、人間は無理です。得4000からですねー』


「人間は無理…?じゃああれか!クソ強魔物に転生して勇者とかぶっ殺しちゃう感じ?」


『あなたが転生できるのは……地球世界だと、スギ花粉2000得、古い本の隙間とかにたまにいるあのキモい虫2500得です』


「来世ひどない?」


『DTですから。あとは異世界だと、スライムの餌の石3000得ですがおまけしてあげます。あとドワーフの金床は……3500得だ。やっぱナシで』


「……生き物は本のゲジゲジしかないの?」


『ないです。ですが……あ、あなたラッキーですね。今だけセールの転生先がありますよ。それも物語系の異世界です』


「物語系……あれか、乙女ゲーとかエロゲとかっ!?は○ふら とか ぬ○たし みたいな……」


『桃太郎の桃です』


「……え?昔話?」


『500得です』


「やっす。安すぎて心配」


『なんかみんな避けて転生不足らしいです。元は4000得です』


「まあそりゃ、人間選べるんなら人間にするよな……」


桃安いな。それに今までのに比べたらなんか桃でもマシに思えてくる……ん?


「そういえば、余った得はどうなるの?」


『うわーあなたそこ気づくんだーDTなのに』


「DT関係ないやろ」


もしやこれ、勘のいいガキは嫌いだよムーブか…?


『余った得は、来世でスキルと交換できます』


「はあああ?そんな大事なことは言えよーっ!!」


『気づいた人限定です』


「とんでもねージャックポットだ…」


『こちらスキルの見本です』


念話1500得 結界4000得 隠密4000得……

え、解析が500得って安すぎん?なろう系では序盤から主人公が乱用する普通に強いスキルだが……よし。転生したら一番に交換しよ。


『で、転生先は決まりました?ぶっちゃけもうゲジゲジでいいですけど』


「ゲジゲジはやだ。桃にするわ」


『はい。桃太郎の桃で1名様決定でーす』


視界が急に白くなっていく。これが転生ってやつなのか……


 ○ ○ ○


目が覚めると、桃太郎の桃になっていたーっ!?

……気がする。実際には何も見えない聞こえないし。まあ桃だもん。五感はないよねー


『おはよございます。転生成功ですね。スキルの交換はこう……脳の右奥をポチッって感じでできるので。じゃ、せいぜい来世も楽しんで』


え?もうガイド終わり?ねーえ聞こえてる?ね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!ねーえ返事してよねえねえ、どうせ聞こえてるんでしょ?こういう系は。ねええ無視しないでよぉー!!

ったく、クソガイド。


『クソDT』


っっは?お前もっかい出てこい!!

その後、数分語りかけたが返事が返ってくる気配はなかった。

しゃーない、あいつのことは忘れよう。ヨシ!

とりあえず、スキルを見てみようか。んーと、脳の右奥をポチッと……んぐぐぐぐぐ、そもそも桃に脳はあるのか?でも、俺の意識も思考もできるしあるのかも。脳がある桃、うん、きっしょ。

あ、できた。これ俺のステータスか。


種:桃 名前なし

サイズ:80cm 232kg(内桃太郎3kg)

装備:なし

スキル:〔固有スキル〕思考 記憶継承 開封 揺動

徳:2000

役割:地点までの桃太郎の護衛・輸送

魔法:なし


桃太郎いるー!!テンションが上がった。やっぱり俺は今どんぶらこしているのだろうか。

役割ってことは、これをすればいいのかな?

まあ一旦おいといて、固有スキルか…思考と記憶継承は転生の効果かな。んで、開封と揺動か…たぶん、あのパカッと割れて桃太郎が出るやつが開封で、どんぶらこーどんぶらこーして揺れるやつが揺動かな……やってみないと分からないが、何も見えないままでやるのは怖い。

ってことで、スキル交換を見てみよー!


……いっぱいある。効果は分からないのがほとんど。それに高い…

あっ!視覚のスキルがあるぞ!いくらかな……1500徳。うん、高ァい!

でも、欲しい解析が500徳だからそれで全部でもまあありか…?

ヨシ、交換しよう!異世界もとい桃太郎の世界に来たのに、世界をこの目で見られなきゃつまらないさ!さあ、俺の1500徳よ、俺にこの世界を見せておくれ!!


のどかだ。自然豊かな森、そびえる山、せせらぐ川と泳いでいく魚。そして……川に浮かぶ巨大な桃、俺。まあわかってたけど、田舎だ。

目が見える。そうなんだけど、チートとは程遠い……

いや、目が見えたことだし、固有スキルを試してみよう!

解析の500徳は使うときまで取っておく。一応ね。


まずは、まだ平気そうな揺動から。

では、固有スキル 揺動 発動!!


どんぶらこ、どんぶらこ。


よく知っているオノマトペと共に、俺の体が左右に少し揺れた。

……クッソしょぼい!でもカヌーとかと同じ原理で、左と右に交互に動くことで、少し前に進める、はず。

まあこんなもんか、桃太郎の桃って。


とまあ、次!気になるスキル、開封!

リスキーな予感もするが、スキルは全部試してみないとな!

やってみよー!では、固有スキル 開封 発動!!


パカッ

俺は、真っ二つに割れた。

……ん?え………ああああああああ!!!割れた、俺割れた!!死ぬ?これ死んじゃう系!?まてまて、落ち着け俺。集中して……戻れるはず。元に、戻すんだ体を。スーーーーハーーーーよし。

カパッ

俺は、元に戻った。

よっっっっっっっっかっっっっったーーーー!!マジで。いやマジ。死ぬかもって思ったもん俺。はぁ……一安心。


『桃太郎を虐待。徳-200です』


は?あいつまた呼びかけて……ってか桃太郎を虐待?いや、徳-200ってヤバいぞ…俺の解析……って、いやいやいや!今は悩んでる場合じゃない!

桃太郎ーーーー!!!愛しき我が息子ーーーー!!!

息子かどうかは知らんが。

さっき開封したときに落ちたのだろうか、桃太郎が川に浮かんでいる。

頼む、生きててくれ……!


固有スキル 揺動 を全力で発動する。進め進めー!追いつくんだ!!

そして、固有スキル 開封 を発動して桃太郎をキャッチする体勢を取る!

見た目は、なんていうか桃がパ○クマンみたいな形でバタ足をしてる感じだ。自分でも何言ってるんだか。


なんとか追いついて、桃太郎をキャッチした。パクっと。

桃太郎が生きていてとりあえずよかった。


『桃太郎を保護。徳400です』


え?徳増えるん??ん?どゆこと???

桃太郎を保護するいい事をすると徳が増えるの?

あの、200も徳増えちゃってますけど、設定ミスってません?

返事はない。

……つまり、桃太郎を川に流してその後保護すると200徳増えるチートバランスってことか……


…ハハッ!桃太郎って便利な道具だなあww


その事に気づいた後、俺が何をしたのかは言わなくても分かるだろう。

何回か繰り返しているとき、ふと思った。

これさすがに桃太郎死ぬくね?

万一桃太郎を死なせたら得がいくら減るか恐ろしい……もしくは代償として殺されるかもしれない。

……せや!解析を交換しよ!これなら体力も見れるはず。

そして死ぬギリギリまで徳を稼いで……

ウヘヘヘヘヘヘヘヘ…

俺は欲望まみれで500得を使い、念願の解析を交換した。

さて、桃太郎を解析!!


種:人間 名前なし

サイズ:身長50cm 体重:3kg

装備:なし

スキル:〔固有スキル〕急成長 洗脳 熟練

徳:0

役割:鬼の討伐

魔法:なし


ふーん。名前はおばあさん達に付けてもらうまでないのか。

……っていうか、固有スキル 洗脳 怖すぎる!!もしかしてお供ってスキルで……いやいやいや、やめとこう。

まあこれで桃太郎の体力も見れるはず。さあ、得稼ぎの時間よー!!


そして俺は、開けて閉じて計25回繰り返し、計5000徳となった。

正直、スキル交換の値段的にはもっと欲しかったが、桃太郎の命が危なそうなのでこのくらいで辞めざるを得なかった。

桃太郎を解析して、体力を見ながら死なない程度まで得稼ぎ。これぞ、スキルの有効活用!ゼハハハハ!!!


 ○ ○ ○


非人道的(もう人じゃないけど)なことをして桃太郎を虐めていると、川岸におばあさんが洗濯をしているのが見えてきた。

ちゃんと昔話のストーリーにそって進んでいるんだな。

……あれ、おばあさんに家に運ばれた後ってどうなるんだっけ…?

俺がぼんやりしていると、おばあさんに捕まった。


……何か言っているが、耳が無いので聞こえない。これは聴覚のスキルを入手しろってことだな?

聴覚聴覚ーっと。

……1000徳、しゃーない。俺は5000徳から1000徳を使って、聴覚を獲得した。

そんでもって発動!!


「……あれま、こりゃ大きい桃じゃないか。そうだ、おじいさんと一緒に食べましょう。よいしょ、持てるかしら」


わー転生して初めての生声だー。あのクソガイド以外で久しぶりの声、感動。

……え、持つ?

押してくとかじゃなく、持っていくんだっけ?

次の瞬間、おばあさんは俺を持ち上げた。片手で。

俺一応232kgあるんだけど。

反対の腕では洗濯物と選択板を抱えている。


「フゥ。毎日体力づくりしていた甲斐があったわねえ。精が出るわい」


俺はとても怖くなったので、おばあさんを解析した。

……正直もっと怖くなったのだが。


種:人間 おばあさん

サイズ:身長145cm 体重:50kg

装備:ボロい布 洗濯板

スキル:〔固有スキル〕怪力 身体強化 錬成

徳:10000

役割:家事・桃太郎の育成・養育・きび団子の錬成

魔法:なし


怖い。身長に対しての体重とか重すぎだろ。たぶんほとんど筋肉で……

固有スキル 怪力 これ絶対ヤバいやつ。

っていうか、徳が10000もあるのにスキル交換はしてないのか……やっぱりこれは転生者しか知らないのか?うーん。


そんなやべーおばあさんに持ち上げられながら、俺はおばあ宅に連れて行かれた。


「こんなに大きな桃を見せたら、おじいさんはさぞ喜ぶでしょう。おじいさんが帰ってきたら、一緒に食べましょうかねぇ」


うぇ?俺、食べられ…はしないのか。この後は桃太郎が産まれてそれどころじゃなくなるし。

……もしや俺、桃太郎をパカッと出したら用済み?好きにしていいのか?もう自由か。早いな…

……この世界で俺は何をしようか。

やっぱり、前世で後悔したDT卒業かなっ!!

彼女を作って、もしできればやっぱハーレムしたいなぁ……

いやいや、俺桃だぞ?どうやって桃がモテるんだ……人化のスキルとかないのか……?

……頑張って探したが、人化のスキルは見つからない。

しょーーん。がっかり。そういう特殊性癖の人を見つけるしかないのか……?いやぁー無理ゲーだ!


 ○ ○ ○


俺が一人悩んでいると、おじいさんが帰ってきた。


「ばあさんや、ただいま戻ったぞ……って、のわああああああ!こりゃ大きな桃じゃのう。どうしたんじゃいこんな桃」


「さっき洗濯していたら流れてきたんですよ」


「ほう、それはすごい!きっと縁起物じゃ。早う食べよう」


「まだ刈ってきた芝も降ろしてないんですから、ちょっと落ち着いてくださいよ」


「おお…そうじゃったそうじゃった。……よいしょと」


この芝、おそらくただの芝ではない。俺は芝に解析をかけた。


対象:トリフィドの死骸


ほら。モンスターの死骸だった。

いかにも人を殺しそうな植物モンスターを、カゴいっぱいに持ち帰っている。

このおじいさんも、おばあさんと同じでかなりヤバそう。

じゃあ解析で見てみよう!


種:人間 おじいさん

サイズ:身長155cm 体重:50kg

装備:ボロい布 達人の鎌

スキル:〔固有スキル〕熟練 動体視力

徳:10000

役割:芝刈りによる家計管理

魔法:上級火魔法


なる。おじいさんもやべー。おそらく鎌と火魔法で芝もとい植物モンスターを狩っているのだろう。

熟練って桃太郎にもあったな……これ、桃太郎もこんな風になるのでは?こっわ。

思った通り、おばあさんはゴリゴリのパワー系で、おじいさんはテクニック系。どちらにも俺は勝てる気がしない。


「さ、じゃあ切りましょう」


おばあさんが包丁をギラつかせてこっちに来た。

え、ちょっと待って、あのーおばあさん?腕の血管がビキビキになってますけど、え、ちょ、おばあさんが力いっぱい振り下ろしたら、さすがに私と桃太郎も死にますし、家も壊れますよ!?ねえねえ、私スキルで開きますので!!ちょ、ちょっと!?すとっぷ!!すとぉぉぉおおっぷ!!!


固有スキル 開封 早く発動してくれ!!


パカッ


おぎゃーおんぎゃー!!!


危ない危ない。もう少し遅かったらただのグロ映像だ。

そして無事に桃太郎が産まれた!!……今までに何回か川に流したが。

ま、まあ気にせずに産まれたてってことにしよう。


「こりゃおどろいた。桃の中から赤ん坊がでてきたぞ!」


「きっと神様が子供のいない私達のことを想って授けてくださったに違いないわ」


「そうだ。この子に名前を付けよう。桃から産まれたから……桃太郎なんてどうだい?」


「…ダサくないかい?」


「よし。この子の名前は桃太郎だ!」


「聞いてる?」


ナイスお爺。桃太郎のネームセンスはこのダサさ加減がいいのだ。かぐや姫なんておしゃれすぎる。

にしても……

やっぱ俺は桃太郎を出したら仕事終了なのか?

二人共こっちには目もくれないし。

……出発しちゃう?彼女探しの旅へ!!


最初で最大の関門なのが、このおじいさんとおばあさんに気づかれずに家から抜けることだ。二人の手にかかればたぶん一発死亡。

隠密のスキルは4000特だから、交換するのは気が引ける。

ヨシ!生身で逃げ切るぞ!俺!!


固有スキル 揺動 を静かに、かつ早く発動する。

陸でもこれで動けるはず!頼む!

そろ…そろそろ……ゆさっゆさっ……少しずつ少しずつ動いていこう。

ゆさゆさ……よし、もうすぐで玄関だ…!


「あら、おじいさんそういえば桃はどうしたのかい?」


「え?うーん…さっきはここにあった気がするのじゃが……」


「ええ?おじいさん、ボケてないで思い出してくださいよ」


「うん?いやぁ確かにここに……」


「あら、いま玄関になにかいなかったかしら?」


おじいさんとおばあさんがこっちを見た。

…………の前に、俺はギリギリ玄関から出て家を脱出した。

危ねえ。まーじ危ねえ。まだ玄関出てすぐ横にいるから、視線も全部感じる。

心臓バックバクやで。心臓ないけど。

動いたらどんぶらこ鳴りそうなので、おじいさんとおばあさんが警戒解いてから動こう。


 ○ ○ ○


さて、29歳DTの俺は桃太郎の桃に転生したけど、役目を終えたので彼女をつくる旅を始めた。

つっても彼女かーどこにいれば俺に見合う人がいるのやら。

俺は自然の中を揺動を使って進んでいく。

うーん……すると突然、天才的な考えが頭をよぎった。


_人人人_

> 鬼 <

> 討 <

> 伐 <

> す <

> れ <

> ば <

> モ <

> テ <

> る <

> ん <

> じ <

> ゃ <

> ね <

> ? <

 ̄Y^Y^Y ̄


そう、そうなのだ。勇者はたいていモテるのだ。一寸法師みたいに、鬼を倒せばモテるのだ。

たぶん桃太郎は興味なかったのさ。だって、鬼を倒す力と手に入れた財宝を持ち合わせた男なんて、モテるに決まってるだろう!……桃でも。

そうと決まれば、これから桃太郎の歩むストーリーを俺が先に進んでいく!!お供は討伐に便利そうだし、お供も捕まえて鬼退治といっちゃいますか!!


……ただ、鬼を倒せるほど強くなるには強いスキルが欲しいよな……徳もそんなにはないし……

今の俺のステータスは……


種:桃 名前なし

サイズ:80cm 229kg

装備:なし

スキル:〔固有スキル〕思考 記憶継承 開封 揺動 〔通常スキル〕視覚 解析 聴覚

徳:4000

役割:済

魔法:なし


……吾輩は桃である。名前はまだない。

俺の名前は、将来の奥さんにつけてもらおうかなーデュフフフフ。

さて、それはおいといてスキルが弱い。うーん、これから交換したいスキルを計画して徳は有効活用していこう。


欲しいスキルは……そうだな、お供がほしいから念話とか洗脳とか……あとは攻撃系と回復系はいるよなー

あ、せっかく彼女つくるんだから、やっぱ人化とかないのかな。やっぱり、この!DTを!俺は卒業したいっ!!

とりま交換所見るか……


見てみると、念話は1500徳、攻撃系は体刃2000徳、回復系は回復上昇2000徳、そして人化のスキルは……残念ながらなかった。おい。

他にも強そうなスキルは攻撃とか特にあったんだけど、まあ徳が足りないよね。

つってもこれで5500徳…足りへんなぁ……まあ必要なときに交換すればいいっしょ!

でも1500徳はどうにか貯めなきゃ……


 ○ ○ ○


もーもももさん、ももももさーん、お腰につけたきび団子ー♪

きび団子ねえや。というか腰もねえや。

俺はとりあえず山道を歩いている。どういうルートで桃太郎が鬼ヶ島に行くのか知らないが、なんとなくである。

すると、遠くから変な声が聞こえた。


「ワンです」


です?


「ワンワンです。桃太郎様のお越しを待っております。ワンでございます」


……嫌な会社員の感じがする。せっかく仕事のない世界に来たと思ったのに。思い出しちまうじゃねえか。

…………え?

声のほうに行ってみよう。


「ワンであります。ワンであります」


……白い日本犬だ。…人の言葉を喋ってるけど。

これは……もう確定じゃないか?

……ヨシ、凸ってみるか。

1500徳で念話を交換!


「ワンワンでござい……」


「…あ、はじめまして……私桃太郎の桃と申します……」


「ま……えっ!?」


……そりゃ、ビビるよな。毛がめっちゃ逆立ってる。


「あの、あなたは桃太郎様の桃様……なのですか?」


「はい。そうでございます」


なぜか俺まで会社員の口ぶりになってしまう。


「あの、失礼ですが桃太郎様は……」


「ああ、まだ子供ですよ。さっき産まれたので」


「左用でございますか……ところでやはりあなたも転生者なのですか?」


「そっす。なのでそんなにかしこまらなくていいですよ。気軽に話してください」


「ああ、これは私の口癖のようなもので、なかなか直すのが難しいのです。それで…えっと桃さん、は自分の役割を終えて、フリーなのですか?」


「そうそう。それでやることもないし、桃太郎より先に鬼退治をしてみようかなって。それで…お供を探してたんですが…」


「なるほど、それは面白そうです。ですが…なぜ鬼退治を?ロマンですか?」


「あ、いや……あの…実は俺、前世で一度も彼女いなくて…彼女がほしいんですけど、こんな桃なので、鬼退治でもすればモテるかなーと…しょーもない理由っすよね」


言ってて恥ずかしいよ俺!


「……ははっ、確かにしょーもない」


グサッ。いや自分で言ったけどやっぱ辛い!


「……でも、それがとても面白そうです。あの、私一緒に鬼退治に行ってもいいでしょうか?」


「え?いやぜんぜんいいですし、嬉しいですけど……イヌさんのメリットが…」


「…私、前世に妻と娘を置いてきてしまいまして…転生してからずっと、元の世界に帰る方法を探していたんです。あなたが鬼退治すれば…この世界の話が変わって、なにか起きないかと」


うっ…イイハナシダナー

生涯DTだった俺には無縁の、家族を守る父としての愛……


「まあ無理な気がしてるので、鬼を見たいっていうのが本音ですけど」


「えっ、何で?」


「私、鬼娘が好きでして…角の生えてる感じとか…牙とか…いいですよね…」


尻尾をぶんぶん振り始めた。おまけに舌を出してハッハッと息を吐いている。

いい話が台無しだよ!!!最低だなお前!でも…


「わかります」


「…っ!ですよねですよね!東○鬼嫁伝とか……」


 ○ ○ ○


それから俺たち、桃と犬は前世のこととか、転生するときのこととか、俺の転生してからの話とか、諸々話した。んで、今はスキルの話をしている。


イヌさんを解析!


種:犬 名前なし

サイズ:42cm(体高) 20kg

装備:なし

スキル:〔固有スキル〕思考 記憶継承 威嚇 鋭牙 人化

徳:1000

役割:桃太郎の護衛・援護

魔法:なし


ふむ。得は1000しかなくて…スキルは全部攻撃け…

……人化!?!?!?!?!?

は?まてまて、人化のスキルはあるのかよ!?交換所にないってことは…固有スキル限定?

は?訴えるぞマジ


「あ、あのー固有スキルに人化っていうスキルがあったんですけど…」


「えっと…ああ、これですね。やってみます?」


「ぜひ」


すると、イヌさんは光に包まれ、光が消えるとそこには犬耳と犬尻尾、T○ckTockの犬加工みたいな口元、そしてインテリな黒縁メガネとスーツ、ピシッとした七三分けのサラリーマンが立っていた。


「い、イケオジ…」


「おお、これは…」


イヌさん、もとい犬コスイケオジサラリーマンはどこかに走っていった。

待て待ていずこに!?

イヌさんは近くの水たまりを覗いていた。


「やはり…これは前世の私の姿です。…こんなコスプレをしていますが」


「え?前世の姿?」


「はい…紛れもなく……」


「そうなんだーへーいいですねー」


俺には人化のスキルを入手する方法はないし、本当にへーそうなんだーという感想しかない。


「で、ですがこのスキルを使えば、武器も使えますし、大きさの急差から隙をつくこともできそうですよ…?」


「おおーそれは助かるなー」


「ちょ、人化使ってくださいって言ったの桃さんですからね!?急に興味失わないでくださいよ!?ああっ、桃さんちょっとどちらへ!?」


別に人化が羨ましいとかはない。断じて。

ただ早く鬼ヶ島に行こうとしてるだけだ。

決して羨ましいからイライラしてるとかではない!


「桃さん、待っ…てうわあああっ!怪物でございます!!」


「怪物!?今行く。それと敬語が変だぞ」


「ひぇっ…よだれ垂らしてますこの人…怖……」


「たぁあああああい!!」


俺は揺動を思いっきり発動して突進。そして開封でパカッとして怪物を挟み込む!!


「今です!イヌさん!ガブッとやっちゃってください!!」


「え、ええ…気持ち悪い……」


犬だろお前!!鋭牙はどうした!?


「ちょ、ちょっと本当に、スキルで倒しちゃってください……」


「ごめんなさい無理です気持ち悪くて……」


そんなに気持ち悪いのか…?おれはずっと背中側にしかいないから分からないけど……よだれとか言ってたな……でも、俺は動けないし……見れないな…


仕方ないなあ、体刃を交換!…これで残り500徳か…はぁ。

スキル 体刃 発動!

デュクシ。パカッと割れた桃の中から、桃太郎の如く刃が飛び出す。

刃は怪物の腹部を貫通。殺ったな。


「ふぅ」


「桃さんありがとうございます!どうしてもこいつが気持ち悪くて……」


「そ、そんなに…?う、」


そいつの顔と腹部は、ハスコラみたいだった。みたいというか、完全にハスコラ。……正直、めっちゃキモい。

まぁ、ハスコラならしかたない…かぁ。


「……鬼はガブッといけますよね?」


「はい…頑張ります…」


まあ許すけど…徳がもう500しかないんだよな……


『……あっ、魔物の攻撃から保護、徳200です』


え、徳くれるの?あと怪物じゃなくて魔物ね…はいはい。

……ははは


「イヌさん!この調子でどんどん魔物に襲われちゃってください!!」


満面の笑みby俺。


「ええっ…」


まあ無事に済んだので、旅を続けていこうか。

……隙あらば、徳を稼いで。


 ○ ○ ○


「「あーげましょーあげましょーそれなら鬼の征伐にーついてーいくならあげましょー♪」」


その後、魔物がいたらとりあえず倒して俺の得は1100まで貯めた。イヌさんも400ぐらい増えてるんじゃないかな。

まあそんなわけで二人?ともご機嫌である。

イヌさんは犬と人をよく切り替えている。やっぱり手が使えるのは便利らしい。いいなあ。

俺も人化欲しいよぉ…


「…お、イケオジじゃん!!」


「誰だっ!?」


俺とイヌさんはすぐに警戒態勢をとる。言葉を話せる魔人とかだったら面倒くさいな…


「あーいやいや、そんなに警戒せんでいいよ。だってその格好、サラリーマンでしょ?なら、ウチと同じ転生者ってことやろ?そこのやつは…よくわからんけど」


茂みの中から、茶髪のデコ出しオールバックポニーテールの女が出てきた。服は…なんつーの?つなぎみたいな…まあそんな感じ。πも申し分なく…そして茶色い尻尾が出ている。

転生者って言ってるし…こいつも…


「サル役の人っすか?」


「そうそう!ウチ、前世でアル中で酒飲みまくってたらいつの間にか死んでもーて、なーんか酔っててよう分からんかったけど、桃太郎のサルに転生したみたいや!!よろ!!…ってか、あんた桃なんや…桃に転生とか残念すぎるやろ」


「イヌさん、こいつ殺していい?」


「倫理的にちょっと…」


「まてまて!ウチ本当に猿やから!!見てみ!」


サルさんが光に包まれ、猿になった。まあ分かってたけど。


「ほら、本当に猿やろ?どやっ!ウチは猿と人になれるねんで!!」


「ああーはい、イヌさんと同じっすね」


イヌさんも人化を解いてイケオジから犬に戻った。


「ええっ!?も、もしやあんたも桃太郎のお供の犬…?」


「左様でございます」


「うっ…セリフはイケオジ…」


俺とイヌさんはまたいろいろ話した。2回目はちょっとダルかったな…


 ○ ○ ○


「えーと、あんたらは桃太郎の桃と犬に転生した人で、モモちゃんに誘われて桃太郎より先に鬼を討伐しに行くと…」


「うん」


「そんでモモちゃんだけ人化ができない可哀想な人やと…」


「モモちゃん怒るよ?」


「ごめんて!なあ、ウチも鬼ヶ島ついて行くから許してや!」


「えっ?…なんで?」


「戦力が増えるのは助かりますが…」


「だぁって、桃太郎と討伐なんて、普通でつまらなさすぎやん!それに…」


「「それに?」」


「あんたらやったら、鬼ヶ島にある宝からウチが酒だけ全部貰ってっても怒らなさそうやん!!」


は?さすがアル中…本当に酒しかないのか……

…へっ、利用できるぞ、こいつ。


「うーん、俺も酒は飲みたいし…イヌさんだって飲みたいと思うし……」


チラッ。イヌさん、話の流れに合わせてくれ!!


「あ、私下戸なので飲めな…」


おいおいおい


「ウッゲフンゲフンッ!ほら、そう言ってるし、ちょっと承認し難いな…」


「え?イヌちゃん今下戸って…」


「さ、さあ???」


「……」


「…まあ分かったで。ウチがなんでもするから、酒貰わせてや!頼む!!」


理解が早くて助かる!


「そう。だから一旦サルさんを解析したくて…」


「ええー何?ウチのスリーサイズとか解析したってつまらんよー?」


また人に戻った。ダルぅこいつ。ノリがマジで酔っ払いのテンションでダルい。

いたなーこんな女上司。ガチでタイプじゃない。無理。

……まあそうやっていろいろ拒絶してたからDTだったんけど。


「ハハッくだらねー」


「ノリ悪いなー」


だまらっしゃい!はい解析ー


種:猿 名前なし

サイズ:56cm 13kg

装備:なし

スキル:〔固有スキル〕思考 記憶継承 威嚇 器用 人化

徳:0

役割:桃太郎の護衛・援護

魔法:なし


固有スキルは…武器で戦う系か。さすが猿。


「武器戦闘が強そうっすねー」


「ふふん!まかしとき!!」


頼りにはなるな。

……ってか…


「徳0じゃん!!乙www」


「えっ!?徳って何か使うん?」


「へへへ…」


スキル交換のことを話した。どうやら持ち徳を使い切って猿に転生したらしい。


「やってもた…」


「まあまあ、こんなに素敵な俺らと出会えたし、いいじゃないっすか」


「そうですよ。ほら、顔を上げてください。」


「イケオジワンちゃんありがとう……せやな。確かに桃よりはマシやわ」


「モモちゃん怒るよ?」


 ○ ○ ○


「「「いーきましょーいきましょーあなたについてー何処までもー家来になってーいきましょー♪」」」


「っていうか、イヌちゃん下戸なの?酒飲めないとか人生つまらなさすぎじゃん?」


「いえ、私は妻と娘がおりましたので、決してつまらない人生ではなかったですよ」


「ひゅ〜かっけえイケオジーー!!」


うるせーなあこいつら。特にサル。


「はいはいうるさいよーっていうか今はもう転生したんだし、お酒も飲めるんじゃない?」


「「確かに!!」」


「ねえイヌちゃん、鬼倒したら一杯やろうよ〜」


「誘うなお前!」


こいつ心配だぁ…イヌさんも惑わされないか心配。


「なあイヌさん、サルさんに完全に狙われてますよこれ。嫌なら嫌ってはっきり言ったほうがいいですよ?」


「え?あぁ…そうだったのですか…」


ほらー気づいてなかったよイヌさん。鈍感おじ感出してるしなー


「じゃあ、サルさん、あの…私は特にあなたにそういった好意はまだないのですが…」


ちょ、直球すぎへん!?イケオジもうちょっと工夫してくれよ…

まあ、俺もDTなので女性の対応が上手いどころかむしろ下手だが。


「ふぇ、ウチ全然そんなつもりじゃ…ごめんなあ……」


あら、泣きそう。まあやんわりとフラれたしな。

これに懲りてしっかりしてくれればいいのだが……


「じゃあウチ、イヌちゃんを振り向かせられるよういい女になってやるから、待っとき!!」


はぁ。こいつは結局こういうやつな訳で。うるさい集団だよまったく。

でも、やっぱりちょっと楽しいけど。


「モモちゃんは別に狙ってないから、安心せえよー?タイプじゃないし」


前言撤回、モモちゃん泣くよ?


「うるさいなー僕のお昼寝の時間がだーい無しじゃないかー!」


誰だよ。知らない声だ。


「また頭ヤバいやつだよ。逃げようよ今度こそ」


本当に、向こうから話しかけてくる厄介クレーマーみたいなやつはマジで無視したほうがいい。


「ひどいなーこーんなにかっこいい僕が話しかけてあげたのにさー」


話しかけるっていうか、厄介つけて文句言ってきただけだけどな!!


「とうっ!!スタッ。僕は雉さ。フッ…ここで桃太郎が来るまで、待っているのさっ」


宝塚の男役みたいな髪型に、目の下に赤いラインでフェイスペイントをしている。

両手には翼がついていて、長い尾がお尻から伸びている。

服装はビジュアル系バンドっぽい感じ。おしゃれとダサいの狭間的な。


「君たちは…何者だい?犬と、女と、……バ○ミヤン?」


「うるせえ!バ○ミヤンじゃねえよ」


なーんか普通に答える気なくすわーだりー


「まずそっちから教えるべきだろ。なあ?」


「ウ、ウチだって最初に会ったときは自分から自己紹介したしー?」


「そうですね、仕事を滞りなく進めるためには相互理解として十分なコミュニケーションが必要です」


「は?僕からは嫌だよ」


俺は体刃を出して、イヌさんとサルさんは威嚇を発動した。


「ま、まてまて!話し合うから、話し合うから痛いのはやめよう!な!?」


そして、面倒くさい話し合いタイム〜3回目〜


「…僕はキジ役で、向こうの世界では交通事故で死んだんだ。そして、美しい雉に生まれ変われるって言われたから、迷わず転生したよね。…ただ桃太郎の雉とは知らなかった……」


俺たちが転生者である旨を伝えたら、変に高圧的な態度は直った。ウザかったから、非常に嬉しい。


「ただ、人化を使ったときは前の美しい僕の姿のままだったから、それはすごくうれしーんだ。この美貌が失われちゃあ勿体ないだろ??」


まだウザい。一回イヌさんにガブッとしてもらおうか……


「い、痛いのやめて!」


あら、いつの間にか声に出てしまっていたらしい。


「あーあーしないから!大丈夫大丈夫!でも、ちょっと解析してお前のステータスが見たいんだけど…」


「いいよ!僕の美しさを存分に解析してくれっ!!」


ウザい。普通にウザい。すぐ解析。


種:雉 名前なし

サイズ:80cm 1.0kg

装備:なし

スキル:〔固有スキル〕思考 記憶継承 飛行 超視力 人化

徳:100

役割:桃太郎の護衛・援護

魔法:回復魔法


回復魔法…!こいつぁ使えるぜ!!飛行とか超視力とか、索敵にも便利そうだ。

ぜひ仲間にしたいが…そのまま言ったら調子に乗りそうで、言いたくない。

ちょっと難癖つけるか。今度はこっちが厄介になる番だ!


「ふーん、ステータスはこんなもんね。で、鬼ヶ島の件だけど…お前はどうする?」


「お前じゃなくて…」


「イケメンキジくん?」


「はーい!」


ちょろい。こいつ一番ちょろいかも。


「ウチこいつタイプじゃなーい」


「せめてもう少しお互いを知ってはどうですか?嫌うことはいつでもできますが、好きになるには初めの頃しか難しいのですよ」


「イケオジかっこいー!さすがー!」


「あ、あれがかっこいいなのか…?」


俺もあんま何がかっこいいのかわからんが、ナイスイケオジ。


「そうだ。あれが"モテる"かっこいいだ。お前もああいう風になりたいんなら、俺たちと一緒に来れば身につくかもしれんぞ?」


「ああ、別にモテるのはいいんだ」


「は?」


「いや、僕は僕が美しくかっこよくあればいいから、別にモテるとかは興味ないかな。フッ」


「モモちゃん地雷じゃーん!!乙www」


やめろその攻撃は俺に効く。


「モテるとか、そういうことにこだわってちゃあ、本当の美しさは磨けないさっ!」


「こいつ殺していい?」


「「倫理的にちょっと…」」


「倫理的にちょっと…」


「お前後から乗っかってくんじゃねえ!」


「お前じゃなくて、イケメンキジ様だろ?」


ああー!もう、話が進まねえ!!!


 ○ ○ ○


「なるほど、回復魔法が便利だから、僕に来てほしいと。それならそうと言えばいいのに」


ウゼえー結局そのまま言うしかなかったのがウゼえー


「まあ、僕のお陰で討伐が楽になるなら、もちろん行くさ。ただ、痛いのは本当にやめてくれよ?」


「うん、遠くから俺たちを回復させてくれればいいから」


「うん。じゃあこれからよろしく」


……?やけに真面目だな…いや、このほうがいいのだが…

なんか、やっぱり僕がいないとダメなんだろっ??僕の魔法と美しさで、君たちをとっても回復させちゃうからさっ!

とか言うのかと思った。


「……なんかあったか?」


「いや、別にないよ。大丈夫さっ!」


それならいいのだが……


「酒切れた?早く鬼倒して晩酌しようぜー」


「まあ、鬼退治に向かうというのは、なかなか緊張しますからね」


「………」


……なーんか怪しいんだよなー


 ○ ○ ○


「「「「そーりゃ進めーそりゃ進めー一度にせめてー攻めやぶりーつぶしてしまえー鬼ヶ島ー♪」」」」


「そういえばさーみんなは前世何の仕事してたのー?ウチはねー居酒屋のバイトー!」


「さすがアル中…俺は普通に食品メーカーの経理やってたよ」


「私は…特に目立つような仕事ではなく…銀行で営業をしておりました」


「イケオジ…やっぱデキる人やな…」


「順風満帆すぎません?俺なんて、転生してもこんなですよ」


「かわいそうだね!キジちゃんは?」


俺の相手雑すぎない?


「…ああ、僕は……まだ大学生で、演劇サークルをやっていたよ」


「え…大学生……お酒は飲めたよね?」


やっぱそこ?


「うん。飲めたよ。でもあんまり飲むとお肌に悪いから、ほろよいとかだったよ。ほろ酔いで顔を赤らめる僕…魅力的だろ……?」


「そっすねーでも演劇かー確かにキジくんはクセ強いからなー」


「そうですが…そんな個性を生かして、役を体で表現できる力はとても魅力的ですよ」


「「「イケオジ…」」」


なんなんだこの人、イケオジか?

ただ、この人はこれから鬼娘が見れるんじゃないかと、内心ドキドキワクワクしているのは俺だけが知っている……


 ○ ○ ○


以下、何事もなく鬼ヶ島到着。

途中で武器になりそうな物も調達した。

作者が締め切りに追われて書く暇がなかったとかではない。たぶん。


「いよいよ鬼ヶ島か……キジくんは敵に見つからなさそうなところから回復魔法で援護を。俺とイヌさんとサルさんで、鬼をぶっ潰す。……みんな、準備はいいか?」


「痛くならないとこで頑張るよ……ま、僕がいないとみんな心細いのは分かってるからさっ!」


「鬼娘…いるかな……せっかく転生したんだし、ちょっとぐらいかわいい鬼娘見たって…ブツブツ」


「ん?イケオジイヌちゃんどしたー?ま、全員倒して、今夜は晩酌だー!!」


「……あ、はい。頑張りましょうね皆さん!」


「……しゃあ行くぞ!」


「「「おおー!!!」」」


まず最初、一番速いイヌさんが走って相手の状態を確認。鬼の数と配置を共有する。あと、鬼娘がいたら殺さないように……

状況確認が済んだら、イヌさんとサルさんで威嚇を発動。怯んだ鬼達に攻撃を仕掛ける。

イヌさんは人化のときの体格差を利用して、犬の状態で鬼の背後に回り込み、人化をして岩で頭を殴る。

倒れた所を犬に戻って鋭牙で首元を噛む。犬の小ささと人化の手足の長さから、High&Lowで相手を惑わして攻撃をかます。


「はぁ…なんともまあ、噛み殺すのは気持ちが悪いですね……」


サルさんは、イヌさんが人化しても届かないような大柄の鬼に、弓で目を狙って撃ちまくる。

鬼とはいえども目に当たると辛いので、当然片手で目を隠そうとしてくる。

そうやって鬼の片手が塞がり、自分の手で視界を狭めたら大チャンス。

矢に気を取られて目を覆った隙に急接近。鬼の股下に隠れ、真上向かって槍を突き刺す。

鬼の急所も同じようで、なかなか痛そうだ。もれなくダウンするので、追撃し放題。


「股間刺して早く倒して晩酌晩酌ー!!」


キジくんは入り口付近の上空でホバリングしながら、みんなに回復魔法を撃ってくれる。たまに鬼にも当たってる気がするが……まあ練習だな。

暇なときは弓で援護もしてくれている。たまに俺達に当たるけど、すぐ回復してくれるので許してやるか。


「エイムもっと上達しないと…まあ僕美しいから許してくれるでしょ」


対して俺は、敵だと勘づかれないように、ゆっくり揺動で徘徊。遠くから弓などで攻撃してる奴や、バフをかける魔法を使ってる奴、寝てる奴を開封で挟んで体刃で刺し切る。

顔に向かって挟み込むので、応援も呼べなくする。

……メ○ロイドか?俺は。

まあこんな地味な戦い方だけど、ぶっちゃけこういうのが助かるのだ。


「みんな、鬼の援護部隊は全部倒した!そっちはなんとかいけそうか?」


「あと数体です!このままいけば勝てるはずです」


「酒寄こせーーーー!!!!」


「……」


俺もイヌさん達の援護に行こう。この調子ならなんとか勝てる!!


「……っ!あと数体なのですが…なかなかしぶといです……」


「股間何度も刺してるのに効いてねえよ〜」


「やっぱり、残った鬼はそれなりに強いのか……ヨシ、3人同時で行こう」


「了解です」


俺とイヌさんで敵の正面側を総攻撃。その間に、サルさんが股下に…

って、ヒップドロップしてきた!?


「酒がまだなんだから、そんなの効かねえよ!!」


サルさんが余裕で回避し、お尻に突き刺す。

……みんな戦闘強くね?

まあ、おかげでチャンスだ。急所の首筋や顔を総攻撃で斬りつけて……

ヨシ!倒せる!!!


「させないよ」


瞬間、鬼達に回復魔法がかかったのが見えた。

…………え?鬼の援護部隊は俺が全員倒したはず……


「こんなもんで戦いが終わっちゃあ、つまらないよ」


あいつだ。


「僕をもっと楽しませておくれ!!血を流し、美しくある姿をもっと!!ハハハッ!!!」


見たことのない顔で笑う、キジくんがいた。


 ● ● ●


「ねえねえ、今日もあいつカッコつけてる」


「だっさー!自分で気づいてないのかな?ナルシストとかイタいって」


うるさい。そんなもの、とっくに気づいているさ。…ただ僕には、こうするしか生きていけないから。


「おはよう!どうしたんだい?もしかして、僕がかっこいいっていう噂話かい?」


「あ…おはよう…う、うん、"ひ**"くんは今日もかっこいいいね!」


「そうかい?ありがとう!フッ…君たちも、僕に負けず劣らず美しくなってくれたまえ」


本当に嫌そうな顔をしていた。あの人たち、いい人だと思ってたんだけどな。


「ええ…キモッ…本当無理あいつ……なんで仲良くしようと話しかけちゃったんだろ」


「顔はいいと思ったんだけど…さすがにキモいよね……」


ああ、この顔か?この顔のせいか?周りからは美しい、かっこいいともてはやされて、ただそれだけだと突き放された……

だから、僕は美しくなきゃいけない。顔に似合わないことはせずに、似合わないことは言わずに…

ただ、空想の誰かの皮を被っているときは、自分を忘れることができる。

僕はただの男じゃない。ただ顔がいい男じゃない。僕は……


「はいカット!どうした"ひか*"くん?表情が固いよ。せっかくいい顔なんだから、笑えばもっとかっこよくなるのに」


また顔か。


「あ、すみません…なんだか眠くて……」


「らしくないな…肌に悪いから睡眠はいつもしっかり取ってるってこの前言ってたじゃないか」


「ははっ!そうですね…」


それも、僕じゃない。本当の僕は…


「あら、"ひかる"ちゃん、おかえりなさい。お夕飯の準備ができてるわよ」


「うん!いつもありがとう母さん!」


"ひかる"か…僕の顔だけがしっくりくる名前だな。

性格も、趣味も全部…僕だけが"ひかる"じゃない。

"ひかる"なら…こう言うはずだ。"ひかる"なら…こう接して、こういう友達がいて…

でも、"ひかる"でいないと、また……



死にたくなるから。



「……でさーそのとき俺の彼女が言ったわけよ、」


あーつまらないな。役を演じているみんなは好きだけど、普通のみんなとはやってられない。


「なあ?"ひかる"はどう思うよ?」


「……先輩のせいじゃないっすよー」


「だよな!"ひかる"もそう言ってくれるなら安心だ!」


…酒臭い。嫌だな。僕の顔まで臭くなるだろ。"ひかる"はきっとそう言う。

でも僕は…やっぱり僕だから。演じ続けてなんて、いられないよ。


「…ちょっと雉を撃ってきますねー」


「お、お前洒落てんなー行って来い!」


居酒屋にはトイレがないから、近くのコンビニに行かないと。

ああ…信号…長いな……

このまま突っ込んだら…僕の顔はどうなるんだろう。きっと…血に塗れて………美しい。

ああ、それはきっと…"ひかる"も僕も望むことだ。これで…僕は"ひかる"になれる。

…ああ、なんて……………










痛い



 ● ● ●


「…何、してるんだ、キジくん?」


「何って…鬼を回復させてるんだけど?」


「それは頼んでない」


「うん。知ってる。僕が君たちと鬼との戦いをもっと見ていたいからね」


「なんでそんなこと……」


「ああ、詳しく話してなかったね。僕は前世…交通事故で死んだと言ったろ?それは……

自殺だ」


??自殺をするような人だったのか…?こいつ…


「僕はそのとき、知ったのさ。流れる血はとても美しく、生きようと命を輝かせる素晴らしさを。だからね…僕はこの血塗れになって戦う君達をもっと見ていたいんだ。もっともっと血を流して、美しくあってくれ。僕が回復魔法はかけてあげるから、心配しなくていいよ」


「なるほどね…狂気的な観戦ファンってことか……いつから考えてたんだ?」


「君たちが回復系スキルがないと知ってからさっ!僕が唯一のサポーターなんだろ?」


本当、その通りだ。こいつが回復してくれないと、だいぶ戦いづらい。結構捨て身の攻撃もしているし。


「モモちゃん、どうする?あいつどうにかしないときりないよ。ウチの槍で撃ち落とそうか?」


「いや、どうせ避けられる。それに武器を失ったら手痛いから控えてくれ」


「一回やってみたかったなー」


でも本当に、俺達は近距離しか攻撃できないから、空中に留まられるとどうしようもない。

……あいつが満足するまで戦うか?いやでも……


急に、どこからか、鎌が飛んできた。

キジくんが避けようとしたが、少しかすっていた。

あの鎌は……


「こりゃ、鬼退治どころじゃないのう」


「じいさん、手加減してあげないとダメですよ」


「じいさんもばあさんも、過保護すぎだって。俺一人で大丈夫なのに」


あいつは……


「さあ、桃太郎様の到着だ!!」


うわ、桃太郎来ちゃったよ。


「ワシたちがキジは狩っておくから、鬼退治でもしてくるといい」


「そうね。安心して闘ってらっしゃい」


桃太郎が鬼達に突進して行った。

まずい。このままじゃ良いところだけ奪われる!!

かくなる上は……


「みんな!鬼は桃太郎にまかせて、宝だけ奪っていくぞ!!」


「え、倫理的に……いや、もういいです」


「しゃおらーっ!!酒酒酒酒酒酒酒酒ー!!寄越せ鬼どもー!!」


「え!?待ってよ聞いてないって!待って、僕も逃げるからおいてかないでっ…!」


「お主の相手はワシらじゃよ」


「ひえっ……」


ああ、あの人達に狙われちゃあ、おしまいだな。


「キジくーん?その人達めっちゃ強いから頑張ってー!!」


「ええっ…待って、謝るから!ちょっ……」


あ、おばあさんがすごい脚力で空中に飛び上がり、キジくんの両翼をエルボーで一撃。

これはもう…気絶クラスだな。


「うっ……痛いっ!!!痛い……もう、痛いのは嫌だって……ずっと……」


お、意識を保ってる。なかなかやるではないか。


「炎よ、この世のすべてを焼き払え」

ゴオッと音を立てて、火柱が上がった。

あれが上級火魔法か…恐ろしや。


「ああっ……熱い……僕の顔が穢れる……やめろ…やめろお前……!」


「じいさん、殺してはだめですよ」


「わかっておるさ。少々懲らしめただけじゃよ」


…恐ろしすぎる。


火が消えると、焼き鳥がいた。

まああいつ、自分で回復魔法使えるだろうし、大丈夫だろ。


「モモちゃーん!!酒だよー酒ー!!こんなにあったぜー!!!」


「私も、金塊などを集めてきました」


「ヨシ、俺の中に入れてくれ」


開封!パカッ

じゃらじゃらゴトゴトと、俺の中に宝が入っていく。

昔は桃太郎を入れていたスペースが、こんな風に使われるとは。

はい、閉じる。


「ヨシ、逃げよう!イヌさん、キジくんも連れてきて」


「ええーあいつ死んでいいよー」


「ダーメ。あいつもなんだかいろいろ抱えてそうだったし、ゆっくり話聞くだけでもいいだろ?」


「すぐに連れてきます!ああ、あと鬼娘は……」


「………あ、桃太郎ー!!!女子供鬼は殺すなよ!」


「なんだ、どこの桃だか知らないが、そんなのは当然だろう」


「よかった…」


イヌさん、よかったね。ただ、この後アウトな行動を起こさないように、見張っとかないと。


「脱出脱出!!」


 ○ ○ ○


とりあえず、鬼ヶ島からは脱出し、その辺の開けた土地で晩酌タイム。

鬼退治の良いところは桃太郎に取られて、キジくんは焼き鳥。

イヌさんは念願の鬼娘と会えたし、サルさんは大量の酒をゲット。でも俺は……

宝の入った宝桃。モテるかと言われると……どうだろう。


「モモちゃーんもっと酒ちょうだーい」


「お前飲み過ぎだ!この酒は明日以降の分!!」


「イケオジ説得してよー」


「いえ、私はこのくらいの量で十分です」


「僕も」


「もう!寝る!!くかー」


なんだか、こいつもかわいく思えてきた。

いや嘘。そんなことない。ただのアル中イケオジ好きな猿だ。


「にしても…キジくんがそんなだったとは……」


「……ごめん」


「まあ、飲んで忘れましょ?ここはもう堅苦しい前世じゃないんですから」


「ありがとう……」


まあ傷心ボーイがき迷うことぐらい、そんなに怒らなくてもいいか。


「でもさーこれからどうしようか」


「鬼退治……はよく分からないけど終わりましたし、次の目標も特に…」


「……人になりたいなーあとモテたい」


「……徳って増えましたか?」


「え?ああ…でも、交換にないよ……」


まあ一応見てみるかー


火魔法とか、洗脳とか、念力とか……人化ないなー


『…宝ぜーんぶ使ったらそれぐらいあげてもいいよー』


おまっ……!!久しぶりだなー!!元気してたかー?


『キモ……あんたが宝全部持ってちゃうから、経済が回らないんだけど』


まさかこっちでも経済というワードを聞くとは。


『だから、宝全部寄越せ。人化やるからいいだろ?』


いーよー!!むしろ万々歳だ。


『はい、人化プレゼントーじゃーねー』


うおおおおおおおっ!!スキル人化!!!ゲット!!!!

はぁ…念願の…人化……発動。


「えっ…桃さん…?」


おおお…手が使えるし、歩ける。視覚と聴覚だけじゃない、5感が使える!!

これが……人間の体……


「ははっ……モモは前世そんな顔だったのかよ。なんか…DTっぽい。まあやっぱり、僕の顔のほうが美しいね」


え?

俺は急いで水たまりを探す。

うわぁ……これ……


前世の俺じゃん………

ガイドさーん!!イケメン化のスキルもくださーい!!!

来世もDTは嫌ですお願いしまーす!!


「んがっ!はっ!え?あんたモモちゃん?ねえ酒どうした?酒!!」


「えっと……あー酒も一緒に人化のスキルになっちゃったかも……」


「ウチの酒返せモモちゃん!!!てめえ!!!」


「ははっ、じゃあ次の目標はまた酒探しといきましょうか」


イケオジ、アル中、ナルシスト、そして童貞。

俺達はまた、酒を求めて旅立つ……かも。

いろいろ忙しいので投稿はマイペースですが、

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