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玖の6 ジャーナリストの成果物

 URコミュニティ神奈川西住まいセンター課長、神田裕治、日本総合住生活神奈川西支店副支店長、遠藤邦夫ら三人との面談が不調に終わった二日後、おれは対面がかなわぬ相手、日本総合住生活社長、伊藤治に宛て、こんな内容の文書を郵送した。


《 二〇二三年六月十六日

日本総合住生活株式会社

代表取締役社長 伊藤治様


  〒二二七-〇〇三六

  横浜市青葉区奈良町二九一三

  奈良北団地二-八〇五

  森史×

  〇九〇-××××-××××

  ファクシミリ 〇四五-九六一-二〇七七

  メール ×××××@×××××


冠省 奈良北団地管理サービス事務所職員から受けた被害ほかに関し本年六月十四日、貴社神奈川西支店副支店長、株式会社URコミュニティ神奈川西住まいセンター相談課課長ら三人と面談した件について申し述べます。

 彼ら三人は事の本質、問題の根幹をまったく理解せず(あるいは理解していないよう装い)話がかみ合わないため、やり取りをあきらめました。彼らに示したメモ(複写)を同封します。現場でなにが起きているのか、貴職配下従業員が末端で当方ら入居者に対しなにをしているのか、ご自身の眼と耳で直接お確かめになることを強くお勧めします。

 上述メモのほか、三人の名刺(うち一枚は同副支店長の同六月六日付け裏書き入り)の複写、当方が現住所に入居する経緯をつづったペンネーム(森史之助。現在この名義は使っておりません)による文庫本、同ペンネームで雑誌『週刊朝日』『ZAITEN』に寄稿した同テーマの記事複写、同六月四日付け同管理サービス事務所宛てならびに本日付け相談課課長宛て文書複写を同封します。

 本状についても、面談の際などで同副支店長らに告げたのと同様、貴職あるいは周辺の方による返信は特に求めません。半面、貴職らによるなんらかのリアクションを、当方は拒むものではありません。  草々》


《追伸)六月六日貴宅に停まっていたホンダの白い小型車は、町田市金井五丁目の、旧貴宅を保管場所として町田警察署に申請・受理(いわゆる「車庫証明」)されそのままではありませんか? もしそうなら、違法な「車庫飛ばし」(自動車の保管場所の確保等に関する法律第一七条ほか)ですよ。》


 同封した複写メモは、神田、遠藤らに示した十一項目に、伊藤邸宅前での鹿の巡査長、河内、牛の巡査、石川とのやり取りなどを書き加え、《そのほか》を含め十七項目になった。

 文庫本は、UR都市機構の特別募集住宅に応募し入居することになった体験記『事故物件に住んでみた!』(彩図社、二〇一二年初版)。『週刊朝日』『ZAITEN』に寄稿した記事は、不動産業界における、心理的瑕疵いわゆる事故物件の取り扱いに関し問題提起した内容で、文庫本の上梓より先に発刊されている。

 伊藤社長宛て文書で触れた、神田宛て書簡はこんな内容だ。


《 二〇二三年六月十六日

株式会社URコミュニティ

神奈川西住まいセンター 顧客相談課

課長 神田裕治さま


  〒二二七-〇〇三六

  横浜市青葉区奈良町二九一三

  奈良北団地二-八〇五

  森史×

  電話 〇九〇-××××-××××

  ファクシミリ 〇四五-九六一-二〇七七

  メール ×××××@×××××


冠省 本日付け日本総合住生活株式会社・伊藤治社長宛て送付した、拙著(現在は使用していないペンネーム「森史之助」名義)と、同テーマを同名義で雑誌『週刊朝日』『ZAITEN』に寄稿した記事コピーを貴職にも送ります。

 文庫本『事故物件に住んでみた!』(彩図社)p六〇にある謎の「大島てる」氏の居所は、特許庁の、貴職がいうところの「()()()()()」の手を借り調べました。

 本状に対する返信は求めません。  草々》


 さらに翌日付けで、田代宛てにも。


《 二〇二三年六月十七日

日本総合住生活株式会社

神奈川西支店総務業務課

管理主任 田代修様


  〒二二七-〇〇三六

  横浜市青葉区奈良町二九一三

  奈良北団地二-八〇五

  森史×

  電話 〇九〇-××××-××××

  ファクシミリ 〇四五-九六一-二〇七七

  メール ×××××@×××××


冠省 貴社代表取締役に宛てた文書のうちの一部を、貴職にも送付します。文献は同封しないので、必要であれば貴職において入手してください。

 返信はいりません。  草々》


 UR都市機構周辺からの反応は一切ない。返信はいらないと文書で通告しているのだから、当然かもしれない。

 神田、遠藤ら三人との空虚な会談から三週間、田代、高瀬らによる凶行にさかのぼればそこから一カ月が経過し、おれは、次の動きに出た。伊藤社長らに、返信用切手同封で回答を求める文書を郵送した。


《 二〇二三年七月七日

日本総合住生活株式会社

代表取締役社長 伊藤治様

神奈川西支店総務業務課管理主任 田代修様


  〒二二七-〇〇三六

  横浜市青葉区奈良町二九一三

  奈良北団地二-八〇五

  森史×

  電話 〇九〇-××××-××××

  ファクシミリ 〇四五-九六一-二〇七七

  メール ×××××@×××××


冠省 貴社・田代修管理主任から本年六月五日に受けた凶行にまつわり、依頼ごとを申し述べます。

 田代管理主任は同日、当方が居住する団地管理サービス事務所前において、当方に対し、「正規の手続きを取るということでやらせていただく」「セッキンキンシメイレイ(接近禁止命令のことか?)を出してもらう」と強烈な暴言を伴い予告しますが、それから一カ月が経過した現在において、「正規の手続き」「セッキンキンシメイレイ(同)」の類いが当方の身に迫る気配は一向にありません。このことは、本状名宛人外、株式会社URコミュニティ神奈川西住まいセンター・神田裕治課長がいうところの複数の「(当方の)()()()()()」や、当該「()()()()()」が所属するやはり複数の公的・民間諸機関に照会してみても同様です。

 ついては、貴社ならびに貴職らによる当該「正規の手続き」「セッキンキンシメイレイ(同)」への対抗・反撃を当方は備える必要があるので、貴職らにおかれましては差し当たり、早急に当該関連「手続き」方、ご手配いただくようお願いいたします。

 神田課長の日時指定に基づく六月十四日の面談において、本状名宛人外、貴社神奈川西支店・遠藤邦夫副支店長はしどろもどろで、田代管理主任から事情をまったく聴取できていない(おそらく田代管理主任が聴取に応じていない)ことが明白なありさまなのは、ご案内の通りです。

 当方への通信連絡用に、郵便切手(額面百二十円)を貴職ら二名宛て本状にそれぞれ同封します。金額に不足があれば、着払いで郵送していただいて構いません。

 前回の六月十六日付け伊藤社長宛て郵便に引き続き、参考のため別紙「目録」の著作に当方が携わった文献資料コピーを同封します。田代管理主任宛て便には目録のみ同封しますので、必要でしたらご自身で入手ください。  草々》


《【別紙】


目録

参考文献該当個所コピー


一 『TJ-MОOK 恐怖!「事故物件」案内“出る“部屋は実存する……!』(二〇二〇年九月『宝島社』発行)に、当方が雅号(現在は使っていない)で寄稿した署名入り記事「10年目の『事故物件』暮らし/実録・体験ルポ」(p一四-一七)。


二 『怖い噂 Vоl.14』(二〇一二年八月『ミリオン出版』発行)に、当方が雅号(同)で寄稿した署名入り記事「すべてのフロアから死者を出した“呪われたビル”の怪/足立区某所―“最凶”事故物件の真実」(p五二-五五)


三 上述二 の出版物に、当方が雅号(同)で寄稿した署名入り記事「指貫/樹海がら憑いてきた“遺品“」(p一二〇-一二二) ※ UR、事故物件とは関係ありませんが、上述二 に併載されていることから、同一ホチキス留めで添付します。


四 『怖い噂 Vоl.13』(二〇一二年五月『ミリオン出版』発行)に、当方が雅号(同)で寄稿した署名入り記事「実体験“体当たり”ルポルタージュ/“事故物件“に住んで『幽霊』と遭遇できるか?」(p一二-一三)


五 『朝日新聞』(二〇一一年十二月六日付け、東京本社版朝刊)に掲載された、当方が雅号(同)でインタビュー取材に応じた記事「訳あり物件、意外な需要/入居者の自殺・孤独死」(三七面トップ)


六 『内外タイムス』(二〇〇九年六月十四日付け)に、当方が戸籍名で寄稿した署名入り記事「殺人マンション大人気/家賃半額ワケあり物件」(最終〔二四〕全面) ※ 六月十四日の面談時、遠藤副支店長らに示し手渡したのと同じもの。

(以上)》


 当時の郵便料金は、定形外五〇グラムまで百二十円だった。


(「玖の7 現在のところ予定はございません」に続く)

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