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シンメトリア戦記  作者: 羽原 輪
神皇誕生 編
8/21

第8話 〝闇〟の裏切り

闇葉族ダーク・リーフ達が相次いで疑問を口にした。


「呪いの印?どうしてそんな物がこいつ等に付いてるの?」

「あぁ。それに顔見知りという事だが、こいつ等とは一体どういう関係なんだ?」


マーリンがヴィーゴを見つめた。(どうする?)という問いかけである。ヴィーゴは頷くと立ち上がった。


「オレの生い立ちの事を説明した方が判り易いだろう。この事は魔導士の方々だけが知っている事だがいつまでも島の者達に隠しておくべきじゃないと思う」

「お前の生い立ち?」

「皆はこの島から船で西へ三日ほど行ったところに島がある事は知っているか?」

「あぁ。知ってはいるぞ。この島の幾つかの部族も交易をやってたし今もやっているんだったか?まぁ、今後は〝国〟になるのだから貿()()と言った方が正しいのかも知れないがな。それがどうしたんだ?」


ヴィーゴは一呼吸おいてから自らの事を話し始めた。


「その島の名前は〝タルタロス〟と言う。別名〝闇の島〟とも言われている」

「闇の島?・・・何だか物騒な感じのする名だな」

「その通り。この国だけじゃなく大陸の者達にとっても危険な島だ。来る者はこばまずだが、去る事は難しい。そんな場所だ」

「どんな島なんだ?」

「タルタロス島は元々はわずかな漁民だけが暮らす特に何もない島だったそうだ。だが、今から150年ほど前からその様相が変化し始めた。発端は大陸の何処ぞの貴族が何人か集まって避暑地と観光を目的に別荘やら賭博場を作った事が始まりだとされている。そして、年を追う事に規模はどんどん大きくなり次第に政争に敗れて国を追われた王族や貴族、罪を犯して国を追われた犯罪者達までもが逃げ込む場所になって行った。今では密輸、密造酒、賭博、煙草たばこ製造、資金洗浄、奴隷売買、暗殺、この世の全ての悪徳あくとくが詰まった地獄みたいな場所になっている」

「・・・絶対に行きたくない場所だな」


闇葉族ダーク・リーフ達が全員うんうんと強く頷いた。


「けれど、どうして出て行く事が難しいんだ?」

「そんな島へ外から入って来る連中はすねに傷を持つ連中がほとんどだ。当然、自国に居られないから流れて来たのだし、そんな連中だからこそ島の中でも大概たいがい、何かをやらかしたり借金漬けになったりしているからだな」

「な・・・なるほど」

「だが生い立ちと言うからにはヴィーゴはその島で生まれたのか?」

「そうだ。オレはその島で売春婦の息子として生まれた」

「売春婦?黒豹族ダーク・ネスのか?」

「あぁ。男だろうが女だろうが性欲がある以上、その手の仕事に関わる者達は種族を問わず大勢いる。特にあの島はそうだ」


全員が押し黙った。何となくヴィーゴの過酷な育ち方を察したからである。


「おいおい、暗くなるな。オレは別にあわれんで欲しくてこんな話をしている訳じゃない」


務めてヴィーゴは明るく言い放った。


「オレは、まぁ、そんな場所で親父の顔も知らぬまま碌な育ち方はしなかった訳だが、ある時、母親がオレをとある組織ファミリーに売った。多分、オレを育てる事が面倒になったか金に困ったかだろう。〝フェディーニ〟という名前の組織だった。ボスの名前はローラン・フェディーニという」

「え?苗字(ラスト・ネーム)とかあるんだ」


この島に限らず大陸でも一般的には名前だけの者がほとんどである。どの様な種族もそこは変わらない。何故なら名前さへあれば苗字など必要がないからである。同じ種族で同じ名前の者が近くにいれば面倒だがそう言った事は滅多にない。例外は貴族や王族で、領地を所有している為に家名を付けて代々引き継いで行く為に苗字(ラスト・ネーム)が存在する。王族とも成れば家名が国名になる事もあり中間名(ミドル・ネーム)すら存在する。


「まぁ、組織として一致団結する意味もあるが貴族だの王族だのに対する憧れみたいな物があるのかも知れない。取り合えず、そこは置いて()いて、親に売られたオレは当時10歳だったが適正を調べられて()()に廻される事になった」

「裏方?なんだか嫌な響きがあるな」

「その通りだ。組織の裏方と言えば、恐喝、強盗、破壊、工作、暗殺くらいな物だ」

「・・・・・・」


誰もが黙り込んだ。ヴィーゴはこの島では冷静沈着で落ち着いた大人という印象を多くの者達から持たれていた。それが、犯罪組織と繋がりがあっただけではなく怖ろしい仕事にいていたと言うのだから無理もない。彼らのヴィーゴを見る目が変わるかも知れないが、そんな事など意に介さず彼は話を続けた。


「オレはそこに十年間いた。裏方に必要な様々な知識や技術を教え込まれて20歳の時には特殊部隊の幹部になっていた」

「・・・組織の幹部か。そりゃ・・・まぁ、出世したって事になるのか?」

「出世か・・・裏方の幹部なんて碌な物じゃないぞ。確かに金回りは良くなるが危険な任務にく事が多くなるんだ。表の幹部は命令するだけの奴もいるが裏はみずから部下を率いて危険な仕事に乗り出す事になる」


余りにも過酷な人生に、もはや誰も軽口を言えなくなった。


「ある時、所属していた組織がかなり()()()状況になった。島を揺るがす大事件と言って良い。対立組織との間で縄張り(シマ)を巡って抗争が始まったんだ。最初は良くある小競り合いからどんどん規模は大きくなって最後には相手のボスの首を取るという処にまで行った」


周囲の誰かがゴクリと生唾を飲み込んだ。


「ボスから直々にオレに命令が来たよ。敵のボス、イーヴォ・アルデーニの首を持ってこい。とな。オレは五人の部下を引き連れて下水路から相手の縄張り(シマ)に乗り込んで行った」

「・・・で、どうだったんだ?」

「・・・・・・」

「どうした?」

「待ち伏せされていた。途中までは上手く行ってたんだ。夜中に下水路から敵の縄張り(シマ)に出たオレ達は、いつも通りすみやかに行動しながら敵対組織のボスの住居すまいに乗り込む事が出来た。だが屋敷に侵入して標的ターゲットがいるはずの寝室に入った時、魔法士ソーサリスやら戦士共がわんさか待ち伏せしていた。オレ達はすぐさま撤退を開始したが何せ敵地のド真ん中だ、敵組織の手下共と斬り結びながら何とか屋敷を抜けて下水道に逃げ込んだ。だが、下水道の中でも追いかけられて、一人、又、一人とやられて行って敵の縄張り(シマ)から抜け出した時にはオレ以外は誰も生き残っちゃいなかった」

「・・・・・・」


幾らヴィーゴが強かろうと多勢に無勢、一歩どころか半歩間違えれば死ぬしかない。そんな状況で彼が生き残る事が出来たのは僥倖ぎょうこうだった。


「オレは真っすぐ拠点アジトには帰らなかった。オレ達は作戦を実行する為に念入りに下調べを済ませて敵側の内通者や子飼いの情報屋からも色々情報(ネタ)を仕入れて仕事に取り掛かっていたんだ。それが相手にバレているという事はオレ達の組織の中に敵側の内通者がいた事になる。しかも、作戦を知っている者は限られている。だから血塗(ちまみ)れの身体からだを引きづりながらオレが懇意こんいにしていたちた聖霊士スピリタリアの処まで何とか辿り着いて治療をしてもらった」

「墜ちた聖霊士スピリタリア?なんだそりゃ?」


マーリンとヴィーゴ以外の全員が思わず聖霊士スピリタリアであるクラリスの方を向いた。クラリスはため息を付きながら口を開いた。


おおよ見当(けんとう)がつきます。恐らく身を持ち崩した聖霊士スピリタリアの事ではありませんか?」

「その通りだ」

「身を持ち崩した聖霊士スピリタリア?」

聖霊士スピリタリアになる者達は元々、真面目な性格の人物が多いのですが、逆を言えば世間知らずなのです。様々な場所にある聖霊士スピリタリアの学びを出た後に各地に派遣されたり自らおもむいたりするのですが意思の弱い者達は世間の()()に負けてしまう事もままあるのです」

「要するに女や賭博で身を持ち崩すって事だ」


ヴィーゴの言葉にクラリスはにがい顔をした。彼女自身そうした者達を目にした事があるのかも知れない。


「そうした背徳者に墜ちた者達がタルタロス島に流れ着いているという事ではないですか?」


クラリスの言葉にヴィーゴが頷いた。彼女はやれやれという表情になった。


「それで、どうしたんだ?裏切り者は判ったのか?」

「・・・・・・」

「?」


ヴィーゴが重い溜め息を吐いた。


「判ったよ。コイツを知るには敵側の人間に聞くのが一番だったからな。アルデーニ側の幹部を一人、拉致してな。聞いて見た」

「・・・ま・・・まさか拷問とかそういうキツい事をして?」

「ふっ!そういう事も出来るが面倒だったんでな。島の魔法士組合ソーサリス・ギルドに連絡して魔法士ソーサリスに一人、来てもらった。彼らは何処の組織にも組していないからな」

「あ。そうか。〝告白コンフェッション〟の呪文か」


魔法士ソーサリスが使う第一種魔法の中に〝告白コンフェッション〟という魔法がある。これは尋問をして相手が口を閉ざしていたとしても聞かれた事に何でも答えてしまうという怖ろしい呪文だった。コレをもちいれば拷問などでうそまことか判らない事を相手に自白させるよりも余程、効率的で確実に情報を引き出す事が出来た。只、呪文を掛ける側よりも強い精神力を相手が有していた場合には呪文が無効化されるという弱点も有している魔法だった。


「オレと仲間を売った者・・・それはオレ達の()()だった」


ヴィーゴと事情を知るマーリン以外の全員の頭には当然、疑問符が湧いた。


「ん?」

「は?」

「え?」

「いや、だって命令したのはボスだよね?」

「どういう事なのですか?」


次々にヴィーゴに質問が浴びせられた。彼は何かを思い出す様にギュッと一度、両目を閉じてからゆっくりと開くと口から何か不味まずい物を吐き出す様に話し出した。


「結論から言うとオレ達が敵のボスであるイーヴォ・アルデーニの首を取りに出かけた後に組織同士で()()()が行われたんだ」

「えっ!何だその急展開は」

「敵もウチの組織に内通者を送り込んでいたんだろうな。しかも極秘任務に就いたオレ達の存在を知っていたとなると幹部の誰かだろう。相手組織のボスに暗殺部隊が送り込まれた事を流した奴がいたのさ」

「滅茶苦茶だな・・・」

「それを耳にした敵のボス、イーヴォ・アルデーニが突然、手打ちの話をオレのボスに持ち掛けたそうだ。オレ達の存在は何処の組織にも怖れられていたからな。怖くなったんだろう。縄張りの境界線近くにあるホテルでボス同士の会談が行われて、揉めていた地域から相手組織が手を引く事が決まったらしい。だが、そうなると困るのは今度はオレの組織のボスになる。もし、手打ち破りをすれば他の組織から白い目で見られるだけじゃない。下手をすると敵対行動を取られる事になる。スジを通さない者は消される。そういう社会だからな」

「色々、考えた挙句にボスが遠回しにイーヴォがいる前で()()()を呟いたそうだ。とある日にお前の屋敷が襲撃される情報ネタを得た。とな。コレで完全にオレ達の運命は決まった」


さすがに誰もが余りにも余りな状況に呆れて二の句がげなかった。


「部隊は五日前から互いの組織の縄張り(シマ)ギリギリの処に潜伏して状況をうかがってた。その時には味方と連絡を取る手段が既になかったと言える。通信球なんて高価な物を持っている訳がないんでな。それにこういう任務がおりると普通は引き返す事など無い。失敗が許されない仕事なんだ」

「成功させなきゃ次はないって事か?」


ヴィーゴが頷いた。


「しかし、そんな命令を出しながら自分から裏切るってのはどういう了見なんだ?スジを相手に通すなら部下にも通せよ」


義憤に駆られたのか闇葉族ダーク・リーフの男の声には怒りの様な物が混ざっていた。


「オレ達を敵に売り渡しても大きな見返りがあったって事さ。組織にとって部下の命なんて紙切れほどに軽い。手下を大切にしてくれる組織はあの島だと少ない」

「それにしてもだ。得られる利益が大きいからってそんな事をしてちゃ、その内、組織からどんどん人が離れて行かないか?」

「オレ達は裏の部隊だ。おもむいた全員が死ねば身内には『失敗した』と言えば納得させる事が出来る。ボスや幹部連中が誰かに話さない限り誰も気づかない。だが、今回はたった一つだけ問題が発生した」

「・・・・・・判るよ。お前が生き残った事だろ」

「その通り。オレが逃げ延びたと知って焦ったのはボスや幹部共さ。今度はオレの口を封じる為に躍起になり始めた。身内には『ヴィーゴが敵と内通して裏切った』って嘘を広めて懸賞金まで掛けてオレの足取りを追いかけ始めた」

「ひでえ・・・」

「・・・あんまりだ」

「オレもさすがに頭に来たさ。ボスを暗殺する事も考えたが、さすがに一人じゃ無理だ。だから逃げる事にした。しかし手配書はオレがいた組織だけじゃなく他の組織にも出回ってた。オレは最後の手段に掛ける事にした」

「最後の手段?」

「そうだ。またしても魔法士組合ソーサリス・ギルドさ。島内には組織に所属していない魔法士ソーサリス達も大勢いる。その魔法士ソーサリス達で作られている組合だ。ある意味、何処の組織よりも怖ろしい存在と言える。そこに島からの脱出を依頼したんだ」

「あっ!そうか、判った。連絡を受けたこの島の魔導士の誰かがヴィーゴを迎えに出向いて連れ帰ったって事かッ!」

「その通りだ」


話は簡単。こちらからタルタロス島に出向いて帰りは‶大転移グラン・テレポーテーション〟で戻ってくれば良いという話だ。


「迎えに行ったのは私だ。連絡を受けた私が魔法士組合ソーサリス・ギルドが指定した場所に転移した。別に船で行く必要はない」


そう発言したのは今まで一言も(かい)さず見守っていたマーリンだった。


「え?それってマーリン様もタルタロス島に行った事があるという事ですか?」

「行った事があるか?か・・・私はあの島に25年ほど住んでいた事がある」


周囲は驚きに包まれた。驚かなかったのは、タルタロス島、出身のヴィーゴだけだった。この島で知らぬ者は誰もいないというくらい有名な魔導士マーリンだ。そんなに長く住んでいれば、タルタロス島でも名は知れ渡っていた事だろう。


「魔導士と呼ばれる者にとって時の流れは無意味よ」


マーリンはそう言ったが周囲の者達は(一体、何歳なのだ?)と、思わずにはいられなかった。


「オレがこの島に来た経緯は今、皆に話した通りだが重要なのはココからだ」


ヴィーゴの言葉に皆が現実に引き戻された。彼は寝かされている三人の死体を見つめていた。


「昨日の夜、監視に就いて驚いたよ。こいつ等は昔、オレの部下だった連中だ」

「なんだってッ!?」

「オレは昔、戦闘術の教官もやっていた。だから()()だった裏方の者達を忘れる事はない」

「そうすると、コイツらがヴィーゴが今まで話していた‶フェディーニ〟とかいう組織ファミリーの連中か?」

「あぁ。裏の部隊に所属している者達だ。そして、何故、()()()()()まで判る。それは、最初に少し話しかけたが胸に付いている〝呪印じゅいん〟が関係している。コレをほどこしたのは恐らく組織に所属している自然魔法士ドルイドだ。任務に失敗して敵に捕らわれた時の用心の為にな」

「ど・・・どうなるんだ?まさか体が爆発するとか?」


周囲は一瞬ギョッとした顔になったが、ヴィーゴが笑みを浮かべた。


「さすがにソレは難しい。どういうタイミングで体を爆発させるのか決められないからな」

「そ・・・そうだよな」


全員がホッと胸をで下ろした。


「この呪印じゅいんに込められている呪いは、オレが組織に所属していた頃と変わりなければ、イチ『一時間おきに決められた言葉を声に出して呪いを解除する事。そうしなければ心臓が停止する』二『敵に捕まった場合、魔法で組織の事を聞かれて話そうとすると心臓が停止する』こうした物が込められている。どちらも命を奪う為の呪いだ。これを解除するには命令を遂行させて拠点アジトに戻って自然魔法士ドルイドに呪いを解呪かいじゅしてもらう必要がある」

「だからか・・・僕が眠らせちゃったから解除の言葉が言えなくて死んじゃったんだね」


ゼナが哀しそうな顔をした。


「ゼナ。気にしなくて良い。もし生きていたとしても目的を聞く為に口を割らせようとすれば二つ目の呪いでコイツらはどうせ死んでいた」

「でも・・・」

「任務が達成出来なければ命は無い。出来ない以上、死ぬ事も仕事の内に入る。それが組織の裏にいる者達が背負った宿命だ」


場に沈黙が落ちた。余りにも情け容赦のない使命を背負って死んだ者達に対して闇葉族ダーク・リーフの者達は敵ながら哀れみを感じてしまっていた。


「あ、そう言えばヴィーゴは〝呪印〟大丈夫だったのか?」

「あぁ。オレはこの島に来た時に自然魔法士ドルイドのシーラ殿に解呪かいじゅして貰ったから問題ない」

「そっか・・・なら良かった」

「皆に改めて言うが同情や情けはコイツ等にもオレにも必要はない。そんな物を持っているとイザって時に敵に隙を見せて殺される事になるぞ?コイツ等の事もオレは知っているし、昨日、オレが発見した連中も元は生徒だった者達だ。だが、オレは始末した。オレもコイツ等も今まで散々、色んな仕事で手を汚している。だからこそ甘い感情はいらない。慣れろとは言わん、だが躊躇(ためら)うな。迷えば大切な物なんて守れやしない」


逃げ場のない環境に置かれた彼らに何か選択肢はあったのだろうか。その場にいた誰もがそう思わざるを得なかった。だが、ヴィーゴの言う通り、この島が〝国〟になろうとしている今、誰もが覚悟を決める必要がある事も理解していた。


「話は変わりますがマーリン様。南西の転移門から出て来た一人が〝転移〟の呪文を使ったという事ですが心当たりがあります」

「何?本当か」


ヴィーゴは頷いた。


「そんな事が出来るのはオレが知る限り組織の中で一人だけ。組織の表と裏の両方の幹部を務めている人族ヒューメナスの男がいるのです」

「何者だ?」


一瞬、間を於いてヴィーゴが名を告げた。


「〝幽霊ファントム〟のレザリオと呼ばれる男です」







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