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『11月15日2巻発売!』願ってもない追放後からのスローライフ?  作者: シュガースプーン。
第三章三番弟子は冒険者

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間話先代との出会い

これは、過去のお話。


春風黎人はEクラスダンジョンを探索しに来ていた。


幼少期に手違いによって魔石を吸収してしまった黎人は、父親の面影を追いかけて冒険者となった。

黎人の父親は黎人が小学校3年生の時に亡くなった。

ダンジョン探索中の事故という訳ではなく、子供を助け、車に轢かれた交通事故。

居眠り運転でノーブレーキのトラックはCクラス冒険者と言えど無事では済まなかった。

ただ一般人と違ったのは、轢かれた時に庇った子供は黎人の父に抱き抱えられて一緒に轢かれたにも関わらず無傷だったと言う事。

猛スピードで突っ込んだトラックがまるで壁にぶつかったかの様に黎人の父親の背に受け止められてその場で停止し、二次災害が起こらなかった。

直後はなんともない様な様子で子供を親のいる家まで送り届け、病院に運ばれたトラックドライバーの代わりに警察の事故処理に立ち会い、何事もなかったかの様に黎人と手を繋いで家に帰って来た。


その後、頭を強く打っていた黎人の父親は硬膜下出血により次の日の朝に目覚める事は無かった。

冒険者だからと病院の検査を後回しにした結果だった。


9歳だった黎人はそんな亡くなった父親をヒーローの様に感じ、そして憧れ、冒険者になった。


その結果、ダンジョンの壁を背もたれにして何とか体を支えて座っている。

元から魔石を吸収していた事もあり、Fランクの魔物は簡単に倒す事ができた。

そして今日は、初めて出来た彼女(かおり)とのデートに使うお金を少しでも多く稼ぐ為に、Eクラスダンジョンまでやって来た。


自分の力を過信した。ただそれだけの事。

ダンジョンは、ただそれだけの事で簡単に命が失われる。


自分の額から流れた血が目に入って片目は見えなくなり、ぼんやりと見える視界の先にはオーガと呼ばれる鬼の様な魔物が2体、ゆっくりと迫っていた。

ここで終わりか。そう諦めかけたその時、目の前のオーガが大きなハンマーによって2体同時に横へ吹き飛ばされた。

そのハンマーは投げられたハンマーの様でオーガを巻き込み飛んでいくと、吹き飛ばしたオーガを壁と挟み潰してオーガを絶命させた。


「おーい、生きてるか、少年。マリア、早く治療してやってくれ!」


騎士鎧に身を包んだ大柄の男は笑いながら後ろに居る美女にそう言った。


これが《黄昏の茶会》初代リーダー飛鳥夕日(あすかゆうひ)との出会いであった。


Eクラスダンジョンにたまたま後輩の面倒を見に来ていたAクラス冒険者の夕日とマリアがいた事で命を救われた黎人は、無茶な探索をしない様にと夕日の弟子となる事になった。

このダンジョンに夕日が連れて来ていた後輩冒険者である坂井五郎と一緒に指導を受けることになる。


この出会いがきっかけとなり、黎人は才能を開花させて行く事になる。

その裏側では、スパルタな夕日の指導と、マリアの回復が欠かせなかった。

どれくらいスパルタだったかと言うと、五郎が途中で逃げ出すくらいには。とだけ言っておこう。


黎人がそのスパルタな指導に耐えられたのは、成長して行く黎人を見て笑いながらガシガシと頭を撫で誉める夕日の笑顔に父を重ね合わせていたからかもしれない。


人とあまり関わらなかった黎人の日常は夕日と彼女(かおり)のおかげで人と関わる様になっていく。


夕日の指導を受ける黎人の姿はまるで本当の親子の様だったと言う。

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