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『11月15日2巻発売!』願ってもない追放後からのスローライフ?  作者: シュガースプーン。
第三章三番弟子は冒険者

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77話初講義

ある集まりの為に用意された個室に十数人の参加者が並べられた椅子に座っている。

ギルドでこう言った場所を借りるのは冒険者であれば、利用目的を伝えれば難しくない。

防音でもあるし、クラン認可前のクランルームを持たないパーティなんかの利用頻度は高い。

今回の場合は後輩達への探索指導といった名目で貸し出されていた。


主催者が来るまでの間、参加者達は今から来るであろう()()に緊張してソワソワとしていた。


その中には孝久、和馬、志歩の3人もおり、緊張した面持ちで、いつもより口数が少ない孝久を相手の凄さを理解しておらず、あまり緊張していない志歩が茶化している。

和馬はと言えば、周りのグループが何を話しているかに聞き耳をたてていた。


ヒソヒソと話される周りの言葉には、「緊張する」や「ゼロってどんな人物だろう」といった話の他に、この集まりを最後まで疑っていたパーティもいた様で、「ギルドにこうやって部屋を貸して貰えるんだから本物だな」「ギルドが認めているなら安心だな」といった会話も聞こえる。


和馬も、そう考えていた1人であった。

勿論、周りから集めた情報で大丈夫だと思っていたのだが、やはり聞けば聞く程ゼロは大物である。なので最後まで少しの不安はあった。

倍率の高いコンサートのチケットが取れたのが信じられず、購入完了画面などを日を跨いで確認してしまう現象によくにている。


しかしここまで来てやっと実感が湧いてきていた。

この部屋に入る時に確認が入り、参加者と認められてこの部屋へ入った。

ギルドの会議室を使って開催されるという事はギルド側も確認している為、それだけ安心できるという事だろう。

和馬は、自分も興奮でソワソワとしたいところだが、隣でよりソワソワしている孝久を見て、周りからこうは見られたくないと思って余裕の態度を取り繕うのだった。


時間になると、扉から3人の男女が部屋へと入って来た。

1人は受付を担当していた男。

1人は《秘書》と言う言葉が似合いそうな眼鏡をかけた綺麗な女性。

最後に、身長がよく、ガタイがいいとわかる体に、高級品であろうパリッとしたスーツを着て、歴戦の猛者である事が分かる傷がスーツの襟元から顎にかけてのぞいている。


彼が、日本の最高峰。ゼロなのだろう。


彼らがこの部屋の学校で言う教壇のある場所にたどり着くとゼロ以外の2人は一歩後ろに控えて、ゼロと思われる男が話し始めた。


「諸君、この集まりに参加してくれた事、上を目指していく若者がこれだけいる事を嬉しく思う。

私は今は最前戦を離れた為に服部空(はっとりそら)と名乗っている。以後はそう呼んでもらいたい。騒ぎになると、困るからな」


男、服部が話し始めてから部屋の空気は緊張に張り詰めた。

参加者は初めて肌で強者を感じているのだろう。


「さて。皆そんなに緊張していては講義にならん。少し力を抜こうか。

その間にサポートしてくれる2人を紹介しよう」


紹介された2人の名前は白鷺伽奈(しらさぎかな)丹羽冠麻(にわかんま)

2人の自己紹介が終わる頃には、皆体から緊張が解けていた。

これが、服部が威圧を解いただけだとは誰も気づいていない。

服部はニコリとその厳つい顔を笑顔にすると話し始めた。


「それでは緊張もほぐれた様だし初めての講義を始めよう。

まずは、基本的な事から話していくが、冒険者とは死戦を潜り抜けただけ強くなっていく。

なので、自分達が勝てるか勝てないか。ギリギリの戦いを続けていく事が早い成長につながる。

勿論、普通そんな事をすれば待っているのは死。だが、今回この少人数に絞って指導するのは3チームに分けて、俺たちがサポートする事で安全に今より強い魔物と戦い、強くなってもらう。

勿論、俺たちは基本手出しせずに危なくなった時だけ手を貸すから、自分達の地力が向上するのも必至だろう。

必ず安全とは言い難いが、強くなる為には必要な事だ。己の力を磨き、頑張ってほしい」


こうして、講義は進んでいくのだった。


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― 新着の感想 ―
ああ、ハッタリとサギとニワカ、ってことか
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