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『11月15日2巻発売!』願ってもない追放後からのスローライフ?  作者: シュガースプーン。
第二章落ちてきた二番弟子

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42話《紫音》の新しい日々

最近は日々の生活が楽しい。

普通の高校生活とはかけ離れているし、そもそも、学校には行っていない。

ダンジョン探索をして、その為に勉強会をする。勉強も、学校でやる様な数学や国語ではなく、ある人から指定された専門知識だ。

目標もできて、充実している。


少し前の私は、正直毎日が辛かった。

小さい頃から引っ込み思案で友達も少なく、車椅子の所為で揶揄(からか)われたりした。

しかし、中学になれば同級生も成長して、私が車椅子なのは仕方がない事だと納得して揶揄われる事も少なくなった。

勿論、元の性格から友達が苦手だった私は、教室で1人でいる事が多かった。


児童養護施設(いえ)でも、少し居心地が悪かった。

年下の子供達は、私に何か頼むよりも、他のお兄ちゃんやお姉ちゃんに頼んだ方が早いからか私に頼る事は少なかった。

だからと言って、仲が悪い訳ではなく、ご飯等全員で行動する時は一緒に食べるし話もする。

しかし、外でみんなが遊んでいる輪に入れず中から見ていたり、大浴場で皆んながお風呂に入るのとは別に、介助が必要な私は個別で入るのにも何処か疎外感を感じて壁を作ってしまっていた。


そんな私が、少し変われたかなと思ったのは中学3年の時、転校生の少女、藤原萌香ちゃんが私の壁を破って話しかけてくれたのだ。

初め、その子は私なんかと話す様な感じの子ではなく、クラスでもすぐに友達を作ってしまう様なキラキラした子で、私なんかは、初めは席が近いから話しかけられただけだと思っていた。

だけど萌香ちゃんは、根気よく私に話しかけてくれて、車椅子を押しながら買い物や遊びにも誘ってくれて、私は、初めて仲のいい友達ができたのだと嬉しくなった。


状況が変わったのは高校に入ってしばらくして。

周りの環境が変わって、小学校からの同級生がいなくなったからなのか、周りの同級生は車椅子の私を見てまた、揶揄われる様になった。

それだけなら耐えられたし、萌香ちゃんと同じ学校に進学したから萌香ちゃんと一緒に居れば怖くなかった。

揶揄われるのも段々とエスカレートしていき、ヤンチャな男子やギャルな女の子に邪魔だと邪険にされたり、車椅子を蹴られたり押されたりする事も多くなって行った。

萌香ちゃんと一緒に先生に相談しに行った事もあったけど、先生は、「お前にも悪い所があったんじゃないか」と真面目に取り合ってくれはしなかった。


そして、そんな日が続いた高校3年のある日、チラッと目に入ってしまった萌香ちゃんのスマホに届いたメッセージ。

その日、私は萌香ちゃんが私を虐めていた主犯格だと知った。


それからの事はあまり覚えていない。

感情がぐちゃぐちゃになって、気づいたら施設に戻って来ていた。

テレビで流れていた神様にでも助けを求めたくて、私はなけなしの小遣いで伊勢へと向かった。


そこで、私は運命の出会いをした。



初めの出会いは自暴自棄になった私が海に身投げした所を助けてくれた。

私のこれまでの話を黙って聞いてくれて、新しい道を示してくれた人。


目標があると日々は変わる。

初めの頃より、魔物と戦うのは様になってきたと思う。

最近はゲート前の広場より少し森に入った所で、少し強い魔物とも戦っている。

魔石を吸収して判断力とDEX(器用さ)が上がったおかげで車椅子をうまく使いこなせる様にもなってきた。

まだ魔法は使えないし、自分の足で動ける様になるか分からないけど、私は目標の為にこれからも頑張って行こうと思っている。



よろしくお願いします。黎人さん。


私は自室のベッドで眠る前に、誰にも気づかれない様な声でそう呟いた。




カクヨムにて100話ほど先読み掲載してます。

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