第286話 給食
アンナの小学校初日は順調であった。
1限目の《がっかつ》のフルーツバスケットでクラスメイトと仲良くなり、2限目以降の勉強の授業も、火蓮や紫音との予習のおかげで問題なく、当てられてもキチンと答える事ができた。
「アンナちゃん、お昼の時はね、4人で席をくっつけるんだよ!」
給食の時間になり、隣の席の女の子、友里ちゃんに教えてもらいながら机をくっつけて給食の準備をする。
アンナにとっては、自分で取りに行くのも新鮮で、友里に教えてもらいながら席のグループ毎に順番に並んで、給食当番のクラスメイトに食事をよそってもらう。
「お、アンナは転校生だからちょっと多めに入れといてやるな!」
アンナに話しかけながらスープをよそってくれたのはクラスの人気者である幸であった。
とは言っても、口が達者なだけで、おたまで掬う量はアンナの前に並んでいた友里と同じでおたま一杯分なので、おんなじ量である。
「さっちゃん、1人だけえこ贔屓はいけないと思います!」
幸の言葉に口を挟んだのは、アンナのグループの後ろに並んでいた眼鏡をかけた女の子だった。
「大丈夫だって。ちゃんとみんなと一緒だよ!」
「紛らわしい事しないでよ。……アンナちゃんが可愛いからって」
「あん? 千代里、なんだって?」
「なんでもないわよ! はやく配膳しなさいよ!」
「分かったよ」
眼鏡の女の子は千代里ちゃんと言って、クラス委員をしていてアンナがわからない所を友里と同じように教えてくれる子である。
「ごめんね、チヨちゃん」
「な、アンナちゃんが謝る事じゃないわ。さっちゃんが浮かれているのが悪いのよ!」
その後は、なにも問題なく配膳が終わって、給食の準備は整った。
「それじゃあ、今日はせっかくだからアンナちゃんに頂きますの挨拶をしてもらおうかな?」
先生の提案に、クラスメイトがみんなアンナに注目した。
「手を合わせてください! いただきます!」
「「「「「「「いただきます!」」」」」」」
アンナの初めての給食の味は、正直お家で食べる火蓮の料理の方が美味しいとは思ったけれど、クラスの友達と仲良く話しながら食べるご飯は、給食の味を何倍も美味しくさせた。
「やりー!今日もおかわりいっちばーん!」
「あ、おれみょ!」
「竜騎君、ちゃんと飲み込んでからお代わりしなさいよ!」
「委員長うるさいな。もう飲み込んだよ!」
幸が1番に食べ終えてお代わりに行くと、競うように男の子が席を立つ。
その様子を千代里が注意をして男の子がぶうたれている。
アンナは、その様子を見て、友里と「さっちゃん早い!」「ねー!」などと言って笑っている。
同じグループの席をくっつけたクラスメイトから、家族の事や好きな遊びなど色々質問されたり質問したり、楽しい給食の時間は、和やかな雰囲気のまま進むのであった。
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