第279話 失敗報告
どこなの国のどこかの場所。
薄暗いその部屋で、部下の報告を受けた人物が部下に向かって暴言を吐いていた。
『はあ? 失敗作が逃げ出しただ? ふざけるなよ、あの中にはリーダーが眠ってるんだぞ!』
暴言を吐いてそのあたりにあった物を投げる。
部下の1人は投げられた物が頭に当たるが、反応を見せずに、部下の中でも位が高そうな1人が謝罪をして頭を下げた。
『謝ったってどうにもなんねえだろ? お前らちゃんと希釈エリクシルの摂取はしてんのか? ステータス上げてちゃんと物考えろよ!』
ヒステリックになる人物に、部下は言い訳を口にする。
『偶然成功体が日本のエラーと出会いまして。私共では対処のしようがなく……』
『そんなのはお前ら全員原液接種して対応しろよ! ガキ1人連れ帰れねえとはどう言う事なんだよ? それに、あの失敗作を成功とか言うなって言ってんだろ!』
言い訳をする部下に、今度は何かの魔法を使い、リーダーであろう部下は魔法によって消し飛んだ。
隣に居た部下も片手が吹き飛ぶが、声を必死に抑えて肩口を押さえた。
『荒れてますねぇ。お薬飲みますか?』
『あ、なんだ、殺すぞデブ!』
『ムフ、ひどい』
『言い合いをしても仕方がないでしょう。これからどうするかが問題ですよ』
『兄貴の言う通りです』
怒る人物を、肥満体型の男と薄笑いの男、ガッチリした男が宥める。
『それもこれもお前らのせいだろ! あれが成功だなんて言うから』
『それはマルクスさんと伊集院さんが推しすすめたからでしょう? 昔の話を引きずるから』
『オレ達が悪いってのか!』
『そりゃそうですよ。初期の頃は魔石を吸収できるのは遺伝子的に認められた選ばれた人間だけだって言われてましたけど、今は誰でもできますから。SSSの遺伝子なんて無意味だって言ったじゃないですか。彼らは魔石の力で自ら進化した超人類ですよ』
『超人類など認めない! 魔石は悪だ!人を死に向かわせる悪でなくてはいけない! そうでなければ、あの人は死ななかったはずだ!』
唾を吐き散らして怒鳴る人物に、薄笑いの男は日本語で「はいはい」といって話を流した。
『だから《エリクサー》を改良してエリクシルを作ってるじゃありませんか。魔石を使わずに失敗作をあの人に変える為に』
『そうだ。あの人は普通の人ではいけない。魔石を使わず、あの人を取り戻すんだ! あの、強くて美しいあの人を』
『血圧上がりますから少しお休みしましょうねぇ』
肥満体型の男が、怒る人物に注射をした。
すると、怒る人物にその効果はすぐに現れ、白眼と黒目が逆転したかのようにおどろおどろしい目がゆっくりと閉じていき、寝息を立て始めた。
「老害にも困った物ですね。エリクシルは魔石を使っていないだけで魔物の素材を使ってますし、今の現状魔石を核にしなければ大概の人は人型ではなく化け物になります。 魔石を使っても、希釈せずにエリクシルを使えば人型の魔物になると言うのに」
「理想ばかりで現実が見えていないんですぅよっ」
「その話し方気に入ったんですか? 気持ち悪いですよ?」
黒服の男達は怒っていた人物が眠ると好き放題に話している。
「まあ私達に取ってはあの子はいらないですし、放っておけばいいでしょう。私達の目的は、今の魔石社会を壊して新しい秩序の上に君臨する事ですから」
「そう言う事だからあんた達は気にせず帰っていいよぅん。あ、お前は死にそうだから最後に使ってやるからこっちに来いね」
片腕をなくした男は、肥満体型の男に引きずられていった。
腕が無くなっても、あれだけ声を我慢した男が、必死に助けを求め喚いていたが、仲間の部下達は、自分に火の粉がかからないように無視して解散した。
その後、眠る人物を残して誰もいなくなった部屋は、薄暗かった灯りさえもけされ、真っ暗になった。
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