第269話 必要な勉強
今日は氷那が紫音と2人でダンジョンに来ている。
氷那が紫音に魔法の為にテキストをもらって数週間、テキスト読み込んで完璧に覚えたと胸を張って言えるまでになったので、紫音に見てほしいとお願いしたのである。
いつもよりレベルを下げたEクラスダンジョンの最奥にやって来たのは、氷那1人の為である。
最奥の魔物をサクッと倒し終えると、開けた空間で魔法の練習を始める。
氷那は今まで氷魔法を使おうと努力してきた。
しかし、氷魔法はこれだけを扱おうとしても無理だったのだ。
勿論感覚派の天才なら使えてしまうのかもしれないが、氷那はバリバリのマニュアル人間だ。
惜しかったのは姉弟子の1人明水子は早めに福岡に帰ってしまったので魔法を教えてもらう機会が無かった事だ。
まあ、彼女はどちらかと言うと感覚派の人間なので、参考になったかどうかは分からないが。
氷那は深呼吸をして意識を集中した。
氷那は『猿でもわかる』シリーズを読んだ後に分かったのは氷の知識だけでは氷魔法は使えないと言う事であった。
氷を作ってただ投げるだけでは氷魔法では無い。
それに氷を作る為の水も必要になる。
空気中の水分を冷やすだけではそれは雪になってしまう。
それを相談した時に、紫音の隣に居た火蓮からとんでもないヒントをもらった。
「ダンジョンって常識では起こり得ないことが起こってできてるじゃない? ステータスも、遠い昔には存在しないものだった。昔の人は今の状況をまるでゲームのようだって言ったそうだから、昔のゲームの本とか、ゲームを作る人の勉強でもしてみるとか?」
今のダンジョンが当たり前になった世代には分からない感覚だが、昔は今のような世界を空想と呼び、システムとしてゲーム、遊び道具にしていたらしい。
昔の本なら電子書籍で読む事ができる。
次に勉強したのはプログラミングの本だ。
空想を現実にする。VRやARのプログラミング。
そして、それはマニュアルだけではいけない。
マニュアルだけでは現実の物として作用しない。
姉達を見て学んだ。自分に合ったマニュアルと感覚の融合。
「<CODE>___」
氷那は独自のコードを呟き、空中に氷の柱を作り出した。
ここまでできたと言う事は、魔法の発動には成功している。
後は、これが実態であれば魔法は成功である。
氷那は更にコードを口ずさみ、氷柱を正面の壁に射出。
大きな音を立てて壁にぶつかった氷柱は壁と共に崩れ去った。
「やった、やったあ!」
「おめでとう。氷那、自分のやり方を見つけてものにした。良くやったわ」
「紫音さんも、ありがとうございます!」
「でも、まだ速さが足りないわ。瞬時に出せるようにならなければ、実用できないわ。まだまだ練習はいるけど、とりあえず、今日は美味しい料理を作ってお祝いしないとね!」
氷那は、ついに魔法を使えるようになった。
『願ってもない追放後からのスローライフ?』
2巻11月15日発売予定!
書籍版はwebよりボリュームアップ!
火蓮と紫音のエピソードも!是非予約してださい!
1巻は既に書店、Amazonなどで購入できます!
もう少し下にスクロールしてもらうとリンク貼ってありますので買ってくれたらとてもとても嬉しいな。




