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『11月15日2巻発売!』願ってもない追放後からのスローライフ?  作者: シュガースプーン。
第七章公務員の弟子達

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第254話 凄い人

黎人は、ひまわりと氷那を連れて、Fクラスダンジョンの最深部までやって来た。


最近はこの辺りでの探索が多かったが、そろそろダンジョンをEクラスに行っても良いかと思っている。


辺りに出現した魔物を倒し終わった時、黎人達は後ろから来た冒険者に声をかけられた。


「春風さんじゃないですか。その節はお世話になりました」


声をかけてきた冒険者に見覚えがない黎人は、失礼ではあるが首を傾げて思い出そうとした。


「いや、お会いしたのは一回でしたから、私は河野と言います。お弟子さんの亜桜さんを織田社長から紹介頂いた時に一度お会いしました」


冒険者の言葉に、黎人は冒険者を思い出せないものの、いつ会ったかと言うのは思い出した。


昔馴染みの織田悠馬に頼まれて、末期癌の部下に紫音を紹介してほしいと言われた時である。


「その様子だと経過は順調みたいだな。だけど、ダンジョン探索しても大丈夫なのか?」


黎人の心配は魔石吸収による癌の再発のことであった。


「今はもう魔石を吸収していません。私はDクラスまでなら安全に指導できますから、魔石を吸収せずに後輩の育成に努めています。私だからこそ、ダンジョン探索以外にも伝えられるものがあると思っていますから」


「そうか」


ステータスアップもせず、安全な探索範囲であれば大丈夫であろう。

冒険者マネジメント会社に所属しているならその辺りの無茶はさせないだろう。


「それに、今は1人をマンツーマンで見ていますから」


そう言われて紹介された人物は見知った人物であった。


「君は」


「知り合いでしたか?」


河野は指導している永井が黎人の指導を断った事を知らないようであった。


「永井くん」


永井が返事をする前に、ひまわりが永井の名前を呼んだ。


「君達ももうこんな所を探索してるんだな。春風さん、その節は生意気な口を聞いてすいませんでした」


素直に頭を下げた永井の姿に、黎人は頷いて、ひまわりと氷那は驚いた顔をした。


「君も良い成長をしているみたいだな。君自身が選んだ道はひまわり達とは違うだろうが、信じて進むといい。彼は、師匠として信頼できるだろう?」


永井は文句を言われると思っていた様で、黎人の言葉にすぐに返事をできなかった。


「さて、そろそろ魔物も湧く頃だろう。俺達は先に失礼するよ」


永井の返事を聞かずに、黎人はひまわりと氷那を連れてギルドへと戻って行った。


残された河野と永井は、少ししてから湧き出した魔物を全滅させた後、永井が河野に質問をした。


「あの、春風さんって有名な方なんですか?」


「そうだな。これは秘密だから大っぴらには言うなよ。織田社長の恩師で黒川総理も頭が上がらない。表舞台には立たないが、数々の有名冒険者を教えたすごい方だ。俺の手術をしてくれた亜桜紫音さんもその1人でな。織田社長が頭を下げてくださったから俺は今も生きてるんだ。頭が上がらない人の内の1人さ」


「そんな凄い人だったんですね……」


永井はそう呟きながら手を握りしめた。


「俺はそんな事も知らずに坂井さんが紹介してくれたのを断ったんですね」


「ああ、そう言う事だったのか」


河野は後頭部をガシガシと掻きながら永井に話しかけた。


「その時のお前はミーハーのガキだったんだろうな。俺のところに来た時も、自分の状況をちゃんと理解できてないガキだった」


河野の歯に衣着せぬ言葉に永井は反論したかった。


「でも、俺のところに来てからのお前は成長してると思うぜ。だから春風さんが凄い人だと分かっても怒ったりしない。俺はお前に期待してるんだ。俺が育てた冒険者が、将来警察のエースとして活躍するのを娘に自慢させてくれよな」


「はい!俺は河野さんの元で立派に成長してみせます。実際、春風さんの指導を受けている毒島や小柳津に成長は負けていませんから!」


「おう、その意気だ!」


話をして気合いの入った河野と永井は、新たに湧いてきた魔物を討伐して、本日のダンジョン探索を終えるのであった。


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― 新着の感想 ―
あの前に怪しいヤツから受け取った「物」が発動!?しなければいいね。
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