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『11月15日2巻発売!』願ってもない追放後からのスローライフ?  作者: シュガースプーン。
第六章お弁当屋の七番弟子

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第217話 ニュース2

「さて、今日は新潟で話題のお弁当屋さんに来ています。早速お邪魔してみましょう、お邪魔します」


本日はテレビの取材が紗夜の弁当屋に来ている。


「お母さん、緊張してますね」


「そうだな」


黎人と風美夏はカメラの後ろ側のイートインスペースで、コロッケをつまみながらインタビューを受ける紗夜を見ていた。


「この商店街を盛り上げた立役者と聞いてます。なぜ、冒険者とお弁当屋さんを両立しようと思ったんですか?」


「それは、尊敬する師匠のおかげです。経営の傾いたお店の為に色々とアドバイスしてくれました」


「なるほど、師匠と言うのはやはりタソガレエージェンシーの方ですか?」


「いえ、私はタソガレさんの所属ではなくフリーランスですから」


「そうなんですね、商店街の方はみなさんタソガレエージェンシーの所属と聞いてましたので、失礼致しました」


レポーターは驚いた様子でリサーチ不足を詫びた。


「いえ、私はタソガレさんが新潟に来る前から冒険者でしたから」


「そのエピソードも凄く聞いてみたいですが、時間に限りがありますのでお弁当の話に移りましょう!お店の看板メニューは何ですか?」


「男性に人気なのはカラコロ弁当、女性には豆腐ハンバーグ弁当が人気ですよ!」


レポーターは、限られた時間の中で、冒険者がやっているお弁当屋さんだと言う事をアピールしながらお弁当の紹介に移っていく。


「それを今日は作っていただけると言う事で、あ、ちょっと待ってくださいね」


レポーターは耳に手を当てて、インカムでスタジオからの質問を受け取った様だ。


「スタジオから、カラコロ弁当とはどんなお弁当なのか質問が来ていますが、説明をお願いできますか?」


「カラコロ弁当は満足度の高い唐揚げとコロッケのお弁当です!」


実はこの質問はリハーサルで決められていた内容なのだが、略語になって疑問を抱く人にも分かりやすい様に紗夜は簡単に説明をした。


「それでは、今から早速作っていただきましょう。話題になっているのは、美味しさもさる事ながら調理姿が冒険者らしくカッコいいのだそうで、スタジオのみなさんも一緒に拝見しましょう!」


レポーターの合図と共に、紗夜は調理を開始する。


いつものように、作り置きをしない、手際のいい調理工程がテレビで放送される。


揚げ工程もあるから、早さに限界はあるが、一から作る弁当としては、異様な早さである。


しかも今回は間を持たせる為にレポーターやスタジオの質問に答える様に会話しながら行っている。


「早い!私も料理をしますが、作り置きなしでこのお弁当なら1時間はかかってしまいそうです!」


レポーターの発言は少し大袈裟かも知れないが、それを紗夜は手際よく会話をしながら10分たらずで作ってしまっていた。


「それでは、出来立てのお弁当をいただきたいと思います!」


レポーターは出来上がったお弁当を少し食べて顔を綻ばせた。


少し沈黙したので、インカムにスタジオから呼びかけがかかった様だ。


「は、すみません、とても美味しくて言葉を失っておりました」


レポーターはそう言い、気を取り直して食レポしていく。


と、ここで、生放送特有のハプニングが起こってしまった。


「あれ、今はお弁当やってないのかしら?」


お客の来店に、紗夜は笑顔で「大丈夫ですよ」と答えた。


「これはラッキーなハプニングですね、いつもの接客風景が見えそうです!私もお弁当をいただきながら拝見しましょう」


普段の食レポなら、一口食べて終わりなのだが、レポーターは持ち上げたお弁当を置かなかった。


「あれ?」


レポーターはお弁当に集中する前にある事に気がついた。


弁当の注文を済ませた人物が振り返った時であった。


「い、板野奈緒美さんですか?」


突発的な事に、つい声を掛けてしまったレポーターはレポーターとしては失態なのだが、番組的には面白い登場人物であった。


「そうだけど?」


「なんと、あの有名な板野さんもここのお弁当をご購入しています!」


「会社の支店も近いですから、こちらに来た時は利用しています。美味しいですから」


急なインタビューにも、奈緒美は笑顔で答えた。


さすがタソガレエージェンシー社長と言ったところで、仕事柄、インタビューには慣れている。


「あの有名冒険者、板野奈緒美も通うお弁当やさん。味もとても美味しいですし、冒険者の街を支えるとても良いお店です!」


紗夜の弁当屋を筆頭に紹介された冒険者商店街は話題を呼び、冒険者スタンダードの世の中に貢献する事となった。

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