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『11月15日2巻発売!』願ってもない追放後からのスローライフ?  作者: シュガースプーン。
第六章お弁当屋の七番弟子

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第205話 スパルタな練習

いきなりモンスターに囲まれてしまった星空は、焦って狼狽えてしまった。


焦る星空の背中を、指導冒険者の富永あさぎがパチンと背中を叩いた。


「慌てない。ダンジョン内は、どんな時でも慌てたら寿命が縮まるわよ」


笑顔で指摘するあさぎの言葉に、星空は落ち着きを取り戻した。


そうだった。自分にはAランク冒険者のあさぎさんがついているんだと思うと、この魔物が大量に迫り来る状況も安全に思えた。


星空の指導冒険者にあさぎが付いているのは、単純に、まだ新潟での新規社員が少ない為である。


勿論、通常時でも、この状況位はなんとかできる冒険者が指導に着く為、あさぎが居なくても大丈夫である。


しかし、それよりも強いあさぎがいる事は、この出来事を楽観視できる要素の大きな要因になった。


「それじゃ、ついでだし多数を相手にしてみよっか。あぶなくなったら助けるから」


「ええ!」


「あなたならできるわ」


否、楽観視できるからこそ、あさぎの指導はスパルタであった。


星空は、落ち着いて、今まで習った戦い方の基礎を、あさぎの指示通りにリズム良く倒していく。


勿論、魔物の数に飲み込まれそうになる一面もあるが、その前にあさぎの攻撃一振りで魔物がリセットされた様に倒され、余裕を持った位置から再び討伐が始まる。


イレギュラーな出来事ではあったが、大量に迫り来る魔物達を討伐し終える頃には、ステータスが上がっていないにも関わらず、何回もの反復練習によって、星空の動きは最適化されていき、この数十分でいつもの数倍の成長を果たした。


魔物を全て討伐し終えると、あさぎが笑顔で拍手をした。


「ね、星空はできる子」


あさぎの褒め言葉に星空は苦笑いだ。


討伐し終わったは良いものの、体力は限界間近でへとへとである。


「疲れたでしょ、今日はこれでおしまい。この魔石は全てあなたの物だから、今日と明日に分けて全て吸収しなさい。だから、明日はお休みね、土曜日だし」


魔石は一気に吸収すると疲労を伴う為、あさぎは明日を休日にする事を提案した。


「一気に進んじゃったし連携も覚えて貰いたいから、奈緒美さんに頼んで春風さんに連絡してもらおうかな、星空も友達と練習した方が気が楽でしょう?」


あさぎの言葉が誰のことを言っているか分かった星空は、緊張した様な顔つきで、あさぎに質問した。


「いや、でも、柏木さんはお母さんと頑張ってるみたいですし、私なんかが、その……」


星空は風美夏の事を尊敬している。


なのでぽっと出の自分が足を引っ張りそうで怖いという感情もあった。


「ふふ、友情の力で頑張りなさい」


「いや、だから私は柏木さんと友達ってほどの関係では……」


あさぎはそんな言い訳を口にする星空を無視して次の指導の内容を考えるのであった。

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