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第189話 調子乗ってる?

「あんたさ、最近調子に乗ってない?」


唐突に言われた言葉に、風美夏は戸惑った。


この言葉をぶつけて来たのは、あまり話したことのないクラスメイトで、なぜそんな事を言われるか分からなかったからだ。


「あんたさ、先生に気に入られていい気になってんじゃない? なんか部活でもマネージャーの癖に指導に口出してるらしいじゃん。なに?あんた、長山とできてんの?」


長山と言うのは、剣道部の顧問の名前だ。

年齢は40代後半で、やる気のある先生とは言えず、授業も作業と言った感じだ。


なので授業中に生徒を当てる時も、正解率の高い生徒を指名することが多い。それは、間違った回答だと説明をしっかりしなくてはならず、面倒くさいからだと予想される。


なので、成績の悪い生徒はラッキーと言う者もいるのだが、風美夏の場合はステータスが上がったこともあり、間違える事もない為、よく当てられる。


今までパッとしなかった同級生が注目を集める事を、面白く思わない生徒もいたりするのだろう。


「別に調子に乗ってるわけじゃ──」


「それが調子に乗ってんじゃないの? 聞いたら星空せいらのお姉ちゃんとかにもたてついてるらしいじゃん、何様なの?」


「え? 星空さんのお姉さん?」


風美夏は今部活のマネージャーの仕事中でスポーツドリンクの9.5Lの給水サーバーを抱き抱えている。


ステータスが上がっているのでしんどい訳ではないのだが、早く持って行かないと剣道部のみんなが休憩に入ってしまうので早く話を終わらせて部活へ向かいたかった。


「自分の先輩でしょ? 松井先輩よ」


「ああ、松井先輩。でもたてついてるって──」


松井先輩とは風美夏とは反りが合わず、ギスギスとしてしまっている先輩の1人だった。

その先輩の妹が同級生に居るのはなんとなく知っていたが、仲がいい悪い以前に話したこともないのだから名前を把握していなくても仕方がない事だろう。


「おい、柏木、給水まだか?」


噂をすればその松井先輩であった。


「話してないで早くしろ! みんなが待ってるんだぞ!」


「はい! 今行きます」


風美夏はその言葉で部活に向かう事ができた。


「松井先輩、お疲れ様です!」


風美夏に絡んできた同級生が挨拶をしている。


しかし、松井先輩は部活に真面目なのか「ああ」とだけ返して風美夏と一緒に部活へと戻って来た。


体育館の剣道部スペースへ向かう間、風美夏と松井の間に会話はなかった。


___________________________________________


「あいつ、惚けたふりして、やっぱ気に食わないわ」


「松井先輩が途中で来ちゃったんだから仕方ないでしょ」


風美夏に絡んだグループは部活に所属していない為、あの後下校しながらまだ不満を口にしていた。


「でもさ、あいつも空気読めってね。先輩達には嫌われて、おんなじ部活の同級生もうざがってる奴が居るの気づけよ」


「ね。 夏帆もこの前愚痴ってたよね。アイツが口出す様になって部活がしんどくなったって。自分はドロップアウトしたのにしゃしゃり出んなっての」


「しかも大会にアイツで出てないのにアイツのおかげみたいな雰囲気あるんでしょ? やっぱ長山とできてんじゃね?」


「だとしたらウケるけどね。パパ活じゃん」


「でも他の先生達も贔屓してるよね」


「いい子ちゃんぶってるからでしょ? やっぱむかつくわ」


帰り道、ファミレスに入って、愚痴を言うのが止まらない。


「やっぱさ、アイツに分からせるのがいいんじゃね?」


「でもどうやって?」


「アイツ呼び出してさ、夏帆達呼んで、はっきり伝えてやれば言いのよ。 迷惑だって言われてそれでもしゃしゃり出るぐらい図太かったら、その時は長山とのパパ活の噂流してやればいいのよ」


「わー。あんたひどーい」


ファミレスの中では、楽しそうで下品な笑いが響いていた。

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