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『11月15日2巻発売!』願ってもない追放後からのスローライフ?  作者: シュガースプーン。
第六章お弁当屋の七番弟子

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第184話部活

風美夏はマネージャーとして部活に貢献できる様に一生懸命頑張っていた。


これまでこの部活、剣道部にはマネージャーがいなかったので、道着の洗濯等は各自であったし、風美夏がマネージャーになってからは休息の時間にスポーツドリンクが用意される様になった。


そして、ステータスが上がれば身体能力が上がると言う事は、動体視力も上がると言う事であり、練習する部活の仲間や後輩に的確なアドバイスができる様になっていた。


その指導の仕方が、黎人に似ているのは今は置いておこう。


後輩達は風美夏のアドバイスでここ数週間の上達具合は以前よりも早いし、風美夏の友達も、風美夏のアドバイスを聞いて自分の癖が取れて、上達する感覚に喜んでいる。


しかし、それをよく思わない人達も勿論いる。


幸いと言うべきか、顧問は部活の指導に力を入れているわけではなく、試合の時の引率くらいしか部活を見に来ない。

夏になれば、以前は脱水症状で誰かが倒れれば、責任問題にもなりかねない為、水を飲めと言いに来たりはしていたが、マネージャーができた今は、風美夏に任せて来なくなった。


だが、そんな顧問だったからこそ、これまで自分達で部活を盛り上げ、後輩を指導して来た先輩や同級生の中には、風美夏の行動に苛立ちを感じているグループがいるのだ。


ましてや、今や風美夏のアドバイスは部長までも自ら教えてもらいに行っているのだから。


「ちょっとマネージャー、またスポドリ薄いんだけど!」


「すいません!次からは気をつけます」


風美夏が目の敵にされている事は風美夏自身も気づいている。


そこで対立しても部活としていい様にはならないと分かっている。


なので、自分が的になって頭を下げる事で穏便に済ませている。


これを見ている後輩達は、先輩達に文句を言いたそうにしているが、風美夏が先輩達に見えない様にテヘッと舌を出す事で気にしていない風に見せているのでまだ大きな言い合い等にはなっていない。


それに、これは毎回の事なので後輩達も恒例行事の様になってきているのもある。


風美夏は先輩達に言われようとも、スポーツドリンクの濃さは変えていない。


水分の補給をする時には少し薄めの方が効果があると分かっているし、こうして薄めに作り、先輩達に文句を言わせる事で、先輩達のフラストレーションを下げようと思っているのだ。


先輩達もスポーツドリンクは薄い方が効果がある事は分かっているだろうから、文句を言う場所を作ってあげるのが大事だと考えた結果の行動である。



部活が終わって、皆が部室へと移動したあと、風美夏は1人、体育館のモップがけをしていた。


後片付けも、マネージャーの立派な仕事である。


「柏木さん、最近辛くない?」


モップがけしている風美夏に声をかけて来たのは部長の木村であった。


「あ、部長。お疲れ様です!」


「柏木さん。最近の状況は辛くない?」


「大丈夫です。先輩達の気持ちも分かっているつもりです。でも、私が部活に関わるのは私の意思ですから」


「そう」


「でも、部活の雰囲気的が少しギスギスしているのは分かっています。 もし、私がいない方が部活の為になると思ったら言ってください。 その時は、私はマネージャーを辞めます。 これは、私が選んだ事なので」


「そんな事ないわ、すごく助かってる。でも、あの子達も少し意地を張ってるだけだと思うのよ」


「はい」


こうして部活終わりに風美夏の所に木村が来るのは毎日の事である。


今回は木村がこの様な話を切り出したが、いつもはもっと簡単な話でおわる。


話とは、風美夏と対立している先輩達へのアドバイスだった。


風美夏が部活中に気づいた事、こうした方が良くなると思った事を部長の木村に代わりに伝えてもらう。


風美夏が直接言えば角が立つし、言わずに先輩達だけ成長が遅く、後輩達の成長が早ければそれはそれで部活の空気は悪くなるだろう。


今、風美夏の通う高校は練習試合などでどんどん成長しているのが分かる。


風美夏は木村にアドバイスを書いた紙を渡した後、掃除を終わらせて、黎人の指導を受ける為に足早に家へと帰るのだった。


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