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『11月15日2巻発売!』願ってもない追放後からのスローライフ?  作者: シュガースプーン。
第六章お弁当屋の七番弟子

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第183話夜間の指導

「お母さん、ただいま!春風師匠もこんばんは」


風美夏が勢いよく学校から帰ってきた。


「またジャージで帰って来て。マネージャーになったんじゃなかったの?」


風美夏は冒険者になると決めて、部活を辞めた。辞めたと言っても、選手を辞めてマネージャーになったので、帰りの時間は部活をしていた時と変わらないのだが。


冒険者は、部活ができない。


それはステータスの関係で公平さを欠くと言った理由からだ。

正確には公式の試合に出られないし、怪我をさせる恐れがある為、練習試合にも参加できない。


冒険者が一般人に暴力を振るってはいけないと言う決まりがある以上、それは部活であっても同じ事だ。


海外だと、部活ではなく授業だったりするが、大学のサークルの様に同じ競技でも分かれていたりする。

将来は日本もそうなっていくだろうが、今はまだそこまで進んでいなかった。


風美夏は高校を卒業してから冒険者になる道もあったが、本人の意思で紗夜と一緒に思い出を守る為に冒険者になる事を選んだ。


マネージャーとして部活に参加しているのは、冒険者として上がったステータスをアドバイスやマネジメントに利用して一緒に頑張って来た部活の仲間達の力になれたらと言った理由からだった。


風美夏が帰って来るのが大体夜の7時。


今はまだチンピラの影響でお客さんの少ない紗夜の弁当屋はピークをすぎて同じく7時に閉店する。


黎人はせっかくなので、指導をする日は紗夜の弁当を食べ、店のメニューを制覇しようと早めにやって来ていた。


紗夜は「お代は要りません」と言っているが、黎人は、毎回「師匠のやる事だから」と言って《《3人分》》の弁当を購入する。


そして、紗夜は苦笑いで自分の店の弁当を晩御飯にたべるのだ。


そして、8時頃から会社終わりにジムにでも通う様に3人はダンジョンへ向かい、紗夜と風美夏は指導を受ける。


それが最近の3人の日常である。


「だいぶ良くなったんじゃないか?」


「本当ですか! なんか魔石を吸収しだして初めは分からなかったんですけど、最近これがダメなのかなってわかる様になってきたんですよね!」


嬉しそうに話す風美夏は、部活でやっていた剣道の癖が抜けず、一撃で突っ込んでいく癖があった。


今はゲート付近で魔物が弱いのでなんとかなっているが、この癖は早めに直した方がいいと黎人からアドバイスを受けながら日々矯正中である。


黎人は、良くなっているが、まだまだだからと釘を指す事も忘れない。


風美夏は調子に乗りやすいタイプなので、そうしておかないと中途半端に先に進もうとしてしまいがちだ。


一方、紗夜は周りを見まわして戦えるタイプだ。

黎人は、盾を使っての戦い方も考えたのだが、紗夜の器用さを最大限に生かす武器は盾ではなかった。


紗夜は、意外と力強い。


重い寸胴を運んだりする為、体の線の細さからは想像できない体幹の良さと腕の筋力があった。


そして一人で当時の忙しい弁当屋を回す視野の広さと物事を同時にこなす才能があった。


言ってはなんだが、ぽやぽやした性格に似合わない天才型だ。


包丁より少し長い程度の短剣を2本持ち、ヒットアンドアウェイと、寸胴運びで培った腕の力で魔物の攻撃を受け止めて風美夏のフォローもきっちりこなしている。


まだまだ始まったばかりだが、血は繋がって無くてもさすが親子と言うべきか相性がいい。


夜間の指導になる為、他の弟子よりも時間が短い分、成長はゆっくりだが、2人は地道にけれど着実に成長していくのだった。


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