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『11月15日2巻発売!』願ってもない追放後からのスローライフ?  作者: シュガースプーン。
第五章カメラを持った六番弟子

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177話指導員《明水子》

年が明けて、新年度になり、明水子は学年が一つ上がった。


新しい気持ちで、ダンジョンの入り口に立って、首のネックレスをそっと握って深呼吸する。


学年が上がる事を区切りに、明水子は黎人にネックレスを貰った。

青く透き通った青玉(せいぎょく)のネックレスは、姉弟子達と同じ師匠(れいと)に認められた卒業の証。


そのネックレスを触る事で、微かに震えていた手が落ち着いて、震えが止まった。


「それでは、リーダーより挨拶をしてもらおうと思います!」


「初めまして。これからあなた達のリーダーを務めさせていただきます、柚木明水子です」


元気の良い心の紹介の後に、明水子は挨拶をする。


今年度から、明水子は心や瑠奈と同じ椿アドベンチャラーでアルバイトを始めた。


アルバイトと言っても、見込み就職の様なもので、まだ高校3年と言う事で、受験するにしても、このまま就職するにしても、椿アドベンチャラーに来なさいと楓や翠に誘われたのだ。


そして今日から、黎人や翠のコネもあって、チームリーダーと指導員を兼任する。


明水子の挨拶に、心と瑠奈が拍手をして、それに釣られる様に2人の新人アルバイトが拍手をしている。


明水子がこのチームリーダーと言う仕事をする事を決めたのには理由があった。


明水子。いや、アリスの最後の動画はBTube史上快挙と言える程の再生数を叩き出した。


そして、同時期に投稿された危険な配信や、ダンジョンへのカメラ持ち込みの規制などが重なったこともあり、冒険者に憧れる人は大勢居るものの、配信者の人気は下がっていっている。


明水子は、些細な事で、知らず知らずのうちに危険に足を踏み入れる人がいる事を身を以て知っている。


そして、自分の動画を見て、冒険者を目指す人がいるのも理解している。


だから、自分が黎人に指導を受けて立派に冒険者になった様に、これから冒険者になる人達を責任を持って面倒を見たい。そう思った。


今だに人見知りはするし、人になれるのにも時間がかかるから、本来、リーダーや指導員には向いていないと思う。


でも、そんな明水子には支えてくれる親友がいる。


新人のアルバイトは今年から高校生のぴちぴちの一年生で、あのアリスの動画を見て冒険者を目指す事を決めたそうだ。


明水子は黎人にしてもらった様に、急がず、着実に、この後輩達を親友の力を借りながら立派に育てて行こうと思う。



澱みなく挨拶を終えた明水子に、心と瑠奈は安心した顔で微笑んでくれる。


後輩の装備の最終チェックを済ませて、チームはゲートへと向かう。


その途中に心と瑠奈は明水子の元にやって来る。


先程の挨拶の成功を喜ぶように、3人はハイタッチを交わす。


ロビーのライトに照らされて、お揃いのブレスレットがキラリと光った。


「それじゃ、行くよ!」


明水子の気合いの声と共に、明水子のチームはゲートを潜ってダンジョンへ入っていった。






               第五章完



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