159話リハーサル
「皆さん、流石ですね!」
オカケンとマーベラスの面々は、リハーサルがてらFクラスダンジョンにやって来た。
Gランクダンジョンでは出現しない人型の魔物、ゴブリンをクウタンがあっさりと倒したのを見て、岡本が流石ですと言って持ち上げた。
「それに、テントさんも戦えるんですね」
「ん?ああ、俺達はBTuberになる前からダンジョンに行ってたからな。慣れてる」
「そうなんですね」
「まあ、人型は初めてだけど喧嘩の延長みたいなもんだろ?」
攻撃的に笑うクウタンを岡本はカッコいいと憧れた。
「レンナさんずるいっすよー」
「ちまちまやってるアンタが雑魚なんでしょ」
ケンケンはレンナに最後のいい所を取られた様だ。
撮影してないので、その辺りは関係ないのだが、ケンケンは不満そうだ。
その後も、なんのトラブルもなくリハーサルのダンジョン探索は終了した。
リハーサル後は、飲み屋に行って打ち上げをしている。
「でも、BTuberになる前からダンジョンに行ってたんですね」
「昔は昔でダンジョンで稼ぐ方法はあったんだよ」
「へー」
「あの時代は魔石を吸収するなんて馬鹿だって言われてたけどな」
「でも私達が入ってたダンジョンが閉鎖されちゃってさ。だから東京に上京してきたのよね」
クウタンが自慢話をする中、懐かしそうに言いながらレンナが相槌をうちながらレモンハイを一気に流し込んだ。
「おいおい、勢いが良いじゃないか。
岡本、レンナはあんまり飲ませると絡んで来るから気をつけろよ」
テントは2人の話を聞いている岡本にそう声をかけて、ケンケンに「これも美味いぞ」とおすすめのアテを勧めた。
ケンケンはそれを受け取り、美味そうにほおばっている。
それから、Fクラスダンジョン探索配信の予告動画を出した時の反応や、今日リハーサルをしてみてどうやって動画を撮っていくか、企画として募集したダンジョンでする内容を話し合って、大体決まった後は楽しく飲み会をした。
「あんたたちぃ、よくやっらわね!ほめれあげるわ」
もうお開きにしようかと言う時間になればレンナはベロベロになっていた。
「おいおい、大丈夫か?」
なれているのか、テントが雑に介抱している。
酔えば酔うほど毒舌は増していくが、BTubeで慣れているからか不思議とイラっとはしなかった。
「あんたらがおきざりにしらときはすかっとしたわ」
「おい、もうやめとけって」
レンナはそのまま潰れてしまい、飲み会はお開きになった。
会計はクウタンの奢りで、テントは先にレンナを抱えてタクシーを拾いに行った。
「お前ら、次の配信は絶対成功させような」
酔いながらも、別れ際にクウタンは岡本、ケンケン、サトシにグータッチして激励した。
「今日はごちそうさまでした」
「「ごちそうさまでした!」」
いよいよ配信の日が迫ってきた。
オカケンのチャンネルでは、面白がっているアンチコメントも多く見られる。
『GでもダメなのにFとか受けるわw』
『マーベラスに寄生とか終わってる』
『コラボする女の質が下がったなw』
そんなコメントを黙らせ、意見をひっくり返してやるのだとオカケンのモチベーションは上がっていくのだった。