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154話コミュ症

明水子は、不思議な感覚だった。

黎人さん。私の師匠になったこの人には、何故か緊張する事なく話す事ができた。

まるで、歩幅が合う様な、焦る事なく、安心できる。そんな感じ。


中学の時の塾の先生の様に、何故分からないんだと責め立てた挙句、黙ってしまった私にため息を吐いて、先生はお前が分からんよ。と自分語りを始める様な指導者とは違った。


手取り足取りではない。

ただ私がする事に対して、こうすればもっと良くなると言って、少しアドバイスをくれる。

ただ、それの繰り返し。

私が配信を行っていたエリアよりも手前のエリアで、魔物を倒せる事など当たり前のエリアなのに、アドバイスをもらってその通りにやってみれば、いつもより、すんなりと魔物が倒せてしまう。

それを、この程度は当たり前だと言わずに、良くやった。と言ってもらえる事が、とても嬉しかった。

次はどうすればいいのか。もっと褒めてほしい。

そう考える内に、私は自分から師匠に話しかけ、緊張する事なく自然に話せる様になっていた。

話がドギマギとうまく話せなくて詰まっても、ゆっくりで良いからしっかりと話しなさいと、待ってくれているのも、師匠が話しやすい要因の一つだと思う。


私は、師匠が戦っている所もあまり見ていない。

この前のコラボ相手のオカケンとは全然違った。

彼らは、私の戦い方を見る事なく、道中の魔物は自分達に任せておけと言って魔物を倒し、どうだ。とでも言わんがばかりにアピールしてきた。

勿論、指導をお願いしたわけではないので比べるのもおかしな話かもしれないけれど。


それとは対照的に、師匠は私の戦い方を見て的確なアドバイスをくれる。

そのアドバイスの正確さだけで、強い人なんだと分かるほどに的確なアドバイスなのだ。


まだ師匠に教えてもらう様になって数日だが、今までより、魔石を吸収する事にも気を遣って、食事や、学校の勉強にも身が入る様になってきた。


ちょっと調子に乗って、強くなった気がする。と師匠に言ったら「まだまだこれからだぞ」と笑われてしまった。


今日も、この後は師匠とダンジョンへ向かう予定だ。


「柚木さん、大丈夫やったと?」


不意に話しかけられて固まってしまった。

こんな風に、学校で同級生に話しかけられる事なんて滅多にない。


「ほら、配信の時、魔物にやられそうやったやろ?」


なんと、私は気づかれてないと思っていたが、アリスの配信を知っている人がいたと言う事実に返事が返せなかった。


「でも、元気そうっちゃね。無理したらあかんけんね」


クラスメイトはそう言うと、明水子が返事を返す前にどこかへ行ってしまった。


やはり、師匠が特別なだけで、クラスメイトとは今だにうまく話せなかった。

私はこのコミュ症が治るのだろうかと不安に思いながらも、準備を終えてダンジョンへ向かった。


「本当にこのコミュ症が治るとやろか?」


私は、思い切って師匠に相談してみた。


「一気に変わるわけがないさ。まずは自信をつける為にステータスを上げないとな。

その後は少しずつ話せる人間を増やしていこう」


師匠が言うにはステータスを上げて頭の回転率が上がれば、詰まる事なくスムーズに話せる様になるそうだ。

そうすれば、会話をするのに自信が持てる様になってくる。

少しずつ、話せる人を増やしていけば、徐々にコミュ症もマシになってくるだろうと。

それに、ステータスを上げて強い魔物と戦ってみれば、人に緊張するのもバカバカしくなるかもしれないぞと笑っていた。


確かに、人と話すのに緊張するのはどう話していいか分からないからだと思う。

師匠の言う様にゆっくりでいいから話せる人を増やしていこうと思う。


「今日話しかけてくれたあの子とも話せる様になるとよね」


その同級生の名前も知らない事に気づいて、明日調べようと決めたのだった。

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