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147話黎人の背中を追う者《エヴァンジェリン》

 黎人が、日本の冒険者がイギリスを去って数ヶ月。

 イギリスの街はいつもと変わらない日々が続いている。


 勿論、冒険者ギルドから日本人が減ったり、日本の出張レストランが日本に戻って行ったり少しは影響がある。


 しかし、日本の冒険者達がいた一年半程の間に、意欲ある料理人はこの機会にと料理を習いに通っていたそうで、イギリスの外食事情は激変した。これが1番変わった事かもしれない。


 王宮の料理人も例外では無く、お父様は城で日本のクリームシチューが食べられる様になった事をとても喜んでいた。


 閑話休題(それはさておき)


 エヴァは今、飛行機で飛び立とうとしていた。

 王族の公務でドイツへ向かう途中である。

 兄妹弟子達と共に過ごした時間はとても濃い時間で、エヴァは実姉達を抜いてCランクまで冒険者ランクを上げた。

 その為、姉達を差し置いて今回のドイツでの王太子である父の公務に同行する事になったのだ。

 勿論、私が黎人の弟子の1人と言う事実を使って今回の公務を有利に進めたいと言う思惑もあるだろう。


 今回の日本の騒動はそれ程まで各国に黎人(魔王)の恐怖を刻み込んだ。


 飛行機の窓から、小さくなっていくイギリスの街が見える。


 私は何か起こった時、この景色を守る為に黎人の様に世界を手玉に取れる様になるだろうか?

 黎人が私に師匠として見せてくれた背中は大きすぎる。


 日本に渡った時は、憧れの冒険者の元で日本の刀を習ってこれるくらいの能天気な考えだった。


 しかし、魔石を吸収してステータスが上がる度に、自分がどんな人物に師事したのかを思い知らされた。

 そして、私が黎人の弟子になる事は、お父様と黎人の取引の一つだったんだと考えさせられた。


 黎人は、自分の弟子に甘い。

 今回の騒動の計画は私が弟子になる前から決まっていたのだと思う。

 そうでなければ、あのタイミングで日本の冒険者に向けられる悪意が爆発して政権交代が起こるのは少し不自然である。


 勿論、私が弟子になる事で、王族と言う私の特殊な立場で将来必要な力を見せてくれたというのもあるだろう。


 今回の騒動の中で、姉弟子達と一緒に、日本の状況を考察していた。

 やはり姉弟子達はステータスが高く、黎人の弟子だと言う事で考察が凄かった。

 あれは、黎人の凄さを理解していないとできない考察だ。私はまだまだだと思い知らされた。


 全てが終わって、皆んなが日本に帰る時、黎人が笑いながら私に言った一言がある。


「どうだ、凄かっただろう?」


 まるで、父親が子供にお父さんは凄いだろうと言うくらい軽い感じだった。

 しかし、これが私の目標なのだと思った。


 将来王位を継ぐ姉を陰で支えながら、国が危機に陥った時は圧倒的な力でねじ伏せる。


 黎人の背中はまだまだ遠いけれど、ずっと、追いかけよう、追い付きたいと思った。


 エヴァは雲の上に上がってイギリスの街並みが見えなくなったので、機内に視線を戻した。

 そして、胸元に付けた姉弟子達とお揃いのネックレスに軽く触れた。

 そのネックレスにあしらわれた宝石の様に何よりも強くなれる様に。

 黎人との硬い絆を感じながら、ドイツに着くまでの間、目を瞑った。




 第四章完



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