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142話会見

 今の日本は冒険者におんぶに抱っこである。

 冒険者とそうで無い一般人での貧富の差が大きくなり、一般人は施しを受けて生きている様な状態である。

 勿論、貧しい生活を打破する為に行動する人間もいる。

 その人達はダンジョンに潜り、魔石を手に入れて外国通貨を獲る。

 なぜ外貨かと言えば、造幣に割く電力は足りず、円の発行は止まっている為に日本では今、紙幣の取引は基本外貨に変わっているからである。


 閑話休題


 そしてダンジョン探索をした結果、一般人から冒険者になる人が多いので、冒険者と一般人の貧富の差と言う意味では変わる事はない。


 勿論、ダンジョンに入っても冒険者にならない一般人もいる。

 そういう一般人はダンジョンに挫折した人達だ。

 Gクラスの魔物とはいえ恐怖が拭えなければダンジョン探索を続ける事はできない。

 しかし、そう言った人達は、今更ながらどれだけ冒険者が大変な仕事かを理解し、日本を支えてくれていた事実に直面し、人によっては現政権に投票した事を悔やんだ。


 勿論、今や残党と呼ばれている犯罪グループもまだ存在する。アンチ冒険者のデモ隊と呼ばれていた人達である。

 冒険者排除を掲げていた癖に、今の状況になったのはすべて冒険者のせいだと叫び、自分達の意見こそ正しいと言い張る支離滅裂な団体である。


 圧倒的な戦力差があれば戦争は起こらない。

 しかしこれは、双方に知力があってこそ成立する。

 知力が乏しく、理解力が低ければ、絶対に勝てない強大な敵という事を認識できず、我を通す為に向かって行く。そして、知力が乏しい為に学習しない。

 それが今のデモ隊だった。




 今日も、冒険者ギルドやマネジメント会社では一般人の為の炊き出しが行われている。


 しかし、いつもと違う所があった。

 それは、日本が今の状態になってから見る事が無くなっていたテレビモニターが炊き出し会場に設置されており、誰でも見られる様に1番大きなモニターは注目を集めやすい炊き出し現場の上に設置されていた。


 勿論、基本電気が止まっている為、テレビ局は運営停止しており、放送など流れていない。


 炊き出しも中盤になり、粥を受け取った人々が各所に座って食べ始めた頃、設置されていたモニターに電源が入った。

 この場所からは見えないが、渋谷の大型モニター等、日本各地の大型モニターにも電源が入っていた。


 映し出された画面には、記者会見の様なセットが用意されており、そこには、有安團蔵総理大臣他、内閣の大臣が数名座っていた。


 テレビが放送されておらず、電気がない為パソコンやスマホ等も使えず、通信手段は冒険者免許の通信機能だけになっている日本において、この放送は日本にいるほぼ全ての人間が見る事となった。


「国民の皆様、今の日本の状況は、日本の先導を間違えた私の責任であります。

 冒険者を犯罪者予備軍と決めつけ、日本から追い出したが為に、日本の経済は崩壊し、先の見通しが甘かったが為に日本のライフラインは停止し、国民の皆様の命を危険に晒す結果となりました。

 そして今、いや今も、日本を支えてくれているのは冒険者です。

 私は間違いを犯し、日本を危機に陥れた最低な総理大臣です。本当に、申し訳ない」


 放送されたのは有安総理大臣の謝罪会見だった。

 内容を聞いて総理大臣をなじる声も所々で聞こえるが、ほとんどの人はじっとその放送を聞いていた。



「今の日本は冒険者によって支えられている。それは国民の皆様も知る所だと思います。

 日本を過去の生活基準に引き戻し、元の生活に戻る為には他国へと去ってしまった冒険者との和解が必要不可欠だと感じます。

 私がするには、とても難しい問題です。

 払い除けられた手を差し出されて、誰がその手と手を取り合おうと思うのか。


 私と違い、黒川前総理大臣は冒険者との融和を求めた人でした。

 冒険者と歩み寄る為の鍵になる人は彼なのだと私は確信しています。

 黒川氏やその他大臣を務められた方々は今議員ではありません。

 しかし、私は前黒川政権への回帰を国民に提案します。

 黒川政権への回帰を私の政治家としての最後の仕事にさせてほしい。


 冒険者と手を取り合う国を作る為、皆さんの意見を聞かせてほしいと思います」


 有安團蔵の謝罪と提案は国民の中でも賛否が別れた。

 そして、冒険者ギルドやマネジメント会社に設置された投票箱に各々の意見を投票していく。


 この時の投票率は、87%と国民の注目を集めた事は言うまでもないだろう。




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