131話不登校
「俺は悪く無い、俺は悪く無い」
男はそう繰り返しながら電気を消した暗い自室で布団を頭から被ってそう繰り返していた。
この男、大浦はデモに参加した事を自慢げにSNSに投稿したり、デモの翌日から学校へ行けばそれを自慢げにクラスメイトに話したりしていた。
一緒に参加した友達も得意げに話しているし、クラスメイト達に次のデモには一緒に参加すべきだと勧誘もしていた。
SNSニュースで自分がされたインタビューもネット掲載され、犯罪者の冒険者に立ち向かう俺かっこいい!と自分に酔っていた。
デモに参加したことからクラスカーストが一気に上がった様な感覚さえ覚えた。
たまに冒険者を擁護する様な発言をする生徒もいたが、その時は、その《《何倍もの正論》》で論破してやった。
そんな日々は、数週間の内に終わりを告げた。
ネットに掲載された冒険者を擁護する様なインフルエンサーの発言を皮切りに、冒険者を擁護する人々が現れ始めたのだ。
それだけにとどまらず、自分が参加していたデモ隊が、石を投げるシーンが大きく取り上げられ、冒険者よりもこういった過激な行動に出るデモ隊の方が問題では?と世間が騒ぎ始めた。
更に、その石を投げるシーンから、俺がいる場所が切り抜かれてクラスのSNSに貼り付けられた。
それも、「イギリス王女に喧嘩を売ったのはコイツです」と悪意のあるコメント付きで。
そしてその画像に「1番初めに石を投げ始めたのは大浦だったよ」「なんか王女のナンパに失敗した腹いせらしい」と一緒にデモに参加した友人が自分を擁護する為にコメントしやがった。
その後は、俺はクラスのSNSで犯罪者扱いされ、それだけでは終わらずに、誰かがスクショを誰でも見れてしまうSNSに転載してしまった。
その結果、そのスクショは拡散されて俺を非難するコメントで埋め尽くされ、そして、遂にはスクショの顔写真から俺の氏名、年齢、学校、そして俺のSNSアカウントまで特定されてしまい、DMで俺を非難するメッセージや通報したと言う主旨のメッセージが大量に届き、通知が鳴り止む事が無くなってしまった。
犯罪だと言う意見もあるが、俺は未成年だし、あの冒険者は問題にしないと言ってるわけだから大丈夫だと思っている。
しかし、それで安心できるわけではなく、鳴り止まない通知に嫌気がさして電源を落とし、学校に行けばどうせみんなの見る目は冷たいだろうと家に閉じこもった。
親には何も言っていない為、病気を心配しているが、煩いと追い出している。
スマホの電源を落とす前に、怖くなって警察が来るならこの位とか情報を見てしまい余計に怖くなってしまった。
その時見た日数が過ぎるまでこの恐怖は続くのだろうか?
早く安心できる日が来ればいいのに。




