115話印象操作の結果
DHMO
それは、工業用の希釈液として使われることのある溶液で、酸性雨の主成分。
又、電気事故の原因になる事もあり、金属を腐食させる。
場合によっては人に重度の火傷を負わせ、更に死亡の原因になる事も多い。
これだけ聞けば、この物質はとても危険だと思う人も多いだろうが、これはただの水の事である。
印象操作。
情報の与え方によって自分の都合のいいイメージを植え付ける事は意外と簡単だったりする。
その情報操作を行う側の規模が大きければ尚の事。
有安團蔵は自宅の自室で笑いが止まらなかった。
苦節数十年。ついに時代をひっくり返す時が来た。
冒険者を擁護し、優遇しようとする与党を排除して、我が党が日本のトップとして舵を取る時が来たのだ。
その手始めとして今の内閣に不信任案を出して、結果賛成多数で可決された。
与党からも多くの離党者をだし、後世に語られる事になるだろう。
今の国民は冒険者など求めてはいない。
だから、今回の選挙も与党よりも野党最大の我が党が票を集めているのだ。
冒険者と言う犯罪の温床を無くし、ギルドの解体、又は民営化して冒険者に使われている税金を国民の為に使う。
この様なマニュフェストを掲げる我が党と日本の発展の為に冒険者が必要だと説いて来た与党。どちらが支持を集めるかは明白である。
私は既に解決策として火力発電の再稼働やギルドの民営化など、脱冒険者に向けて色々と考えがある。本当は原子力発電を再稼働させたいが、今は無理だろう。
脱冒険者をしたいならば冒険者が居なかった時代に戻せばいい。
ただそれだけの事。
冒険者を犯罪集団に仕立て上げる準備は整っている。
後は日本から出て行ってもらうだけだ。
残ったとしても、表に出てこれないだろう。
後ろ指さされて生きていけばいい。
私の元で、日本は生まれ変わるのだ。
数日後、選挙の結果は有安の思い通りに与党と野党が入れ替わってしまう。
冒険者擁護派だった前総理大臣や他の大臣達は当選さえしないと言う結果になってしまった。
その後、政権交代した日本がどうなって行くのか。
まだ、始まったばかりである。