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星の降る日、君に出会った  作者: 吉川 青
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二話 中学卒業

「お前高校行かないってマジなの?」

さっさと帰って死のうと思っていたのに、邪魔が入った。正直鬱陶しい。

私をいじめてきた女子達がこっちに向かって来た時点で嫌な予感がしたが、最後の最後まで、暇なんだな。


「うん」

行かないんじゃなくて行けないんだよとか、これから死ぬからとか言おうかと思ったが、どんな反応が待ち受けているのか、だいたい想像できるから言わないでおいた。

「うわ、マジで?!人生終わってるじゃん!」

女子達はそう言うと、皆で嘲るように笑った。


しかしあれだな。人が人をいじめるときの顔ってかなり酷いものだな、こんな人達の人生も嫌だな、とか逆に冷静に考えられるようになった。慣れって恐ろしいものだ。

「ねぇねぇ。負け組の気分ってどうなの、ねぇ」

主犯格の人が私に煽るように聞いてきた。



なんて答えるのが正解なんだろう。

『そんな言葉、よっぽどの人生をこの先歩めるから言えるんだよね』

とか

『お前らも負け組じゃん。どんな気持ち?』

とか

『これから死ぬし、もうこんな気分味わうことないから、どうでもいい』

どれが正解なんだろう。少し考えて見たけど答えが見つからなかった。



わからないから何も言わずにいると、

「無視すんじゃねーよ!!」

と言って、私に蹴りをいれてきた。もう慣れてる。本気じゃないのもわかるし、所詮女子の力だから、痛くはないけど気分が悪くなる。仕方なく一番無難な言葉を彼女らにあげることにした。


「別にどうでもいい」

これから死ねるからとは言わなかったことを褒めて欲しい。

それだけ言って、義理は果たしただろうし、急いで死ぬ場所へと向かうことにする。後ろからなにか喚いてる声が聞こえるけど、どうでもいい。

「あいつやっぱ頭がおかしいんだよ」

そんな言葉だけはっきりと聞こえたので、私は小さく

「お前らもおかしいよ」

と呟く。聞こえると面倒なので、本当に小さな声で。



夢の中の女の子が本当に生きているのかわからないけど、私達のような人にならなければいいな。

人を人と見ないような子にはなってほしくないし、自分の意見を持たず、頭のおかしい人の言うことしか聞けない子にもなってほしくない。

あの子には平凡でいいから幸せな人生を歩んでもらいたい。なんでそう思うかわからないけど。



そういえば、今朝はいつもと違って夢の中で別の言葉も言ってたな、ふとそう思い出した。なんて言ってたっけな。確か、はじめは

『今日だよ』

って言って、その後

『やっと会えるよ、楽しみだね』

って言ってたな。そういえば。


どういう意味なんだろう。もしかしたらあの子は悪魔か死神なのかもしれないな。そんな風には見えなかったけど、人は見た目で判断できないし……。

まぁ、もうどうでもいい。そう思い直して、私は考えに考え抜いた死ぬ場所へと向かった。



クソな人生終わらせてやる。自分らしく。

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